製品の回収時期よりも短かった社長任期
下記の過去投稿のように、前兆があったといえ、不信任による事実上の退任による社長交代が、早く来るとは感じていませんでした。
下記記事の通り、東芝の車谷社長が辞任され、後任として以前社長を担っていた綱川智会長が社長に再復帰、という形のようです。
車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO)が同日開いた取締役会で辞任したと正式発表した。後任には綱川智会長が就いた。東芝はアクティビスト(物言う株主)との対立が深まり、英ファンドから買収提案を受けるなど経営が迷走している
綱川智会長の評判については上記の記事に一部書いてありますが、旧東芝メディカルや旧東芝メモリの売却等にも関わった当時の社長でもあります。
また上記の記事を見る限り、車谷社長は辞任を直前まで考えていなかったようです。
あすの取締役会で東芝が社長交代を決める――。6日、財界関係者にこうした情報が飛び交った。しかし、翌7日の取締役会で議論されたのは、綱川智会長が執行役に復帰することと、英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズによる買収提案についてだった。車谷氏は「俺は辞めるなんて一言も言っていない」と強弁した。いったんは立ち消えになった社長交代だが、その1週間後に再び浮上することになった。
一方で投資ファンドCVCからの買収提案を受けた、ということが以前同投資ファンドで日本法人代表取締役会長を一時期務めていたこと、などもアクティビストからの要求以上のスピードで退任となった理由の一つでは、と考えます。
今後の東芝は株主やホワイトナイト的に表れる投資ファンドとのやり取りにより決まっていくところが大きいか、と思います。別の言い方をいうと、社内の方々や今までの取締役等が、会社の将来をリードできなくなる可能性が高い、とも言えます。
またCVCからの提案を受けて、直ぐに拒絶反応を示すわけではなかったことも、他の投資ファンド(KKRやブルックフィールド)が日本国内のファンドとともに買収提案へ繰り出す、後出しじゃんけんの良い機会を与えた、ともいえるでしょう。
一方で日立はリーマンショックを境に、積極的な事業売却や新たな事業買収も進めています。東芝や日立のようなコングロマリットと呼ばれる複数の事業を束ねる大企業自身で、時代の変化に基づいた変革が難しくなると、やはり外圧か後出しじゃんけんか、で変革を余儀なくされる例の一つとはいえるような気がします。
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