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米中対立は金融政策まで行くか否か

バイデン政権になっても、米中対立の緊張関係に大きな変化がない、ということはここ数か月で世界も理解し始めてきたところです。

また足元はワクチン接種が急速に進むことで、景気回復が見込まれる米国は、コロナショックに対応するため、中央銀行(FRB)を中心に大量の資金を供給。加えてバイデン政権による巨額の財政出動も加わり、一時的なバブル?のような、高いインフレ状態を許容する、という流れになっています。

バイデノミクスは財政・金融政策をフル動員し、経済の過熱を一時的に容認する政策だ。高圧経済とも呼ばれるが、経済や市場は圧力鍋のように閉ざされているわけではない。高まった圧力は海外にも猛烈な勢いで吹き出していく。いま欧州が直面しているのは、米国の金利上昇に連動した各国の金利上昇と、ドル安基調のなかで勢いづくユーロ高だ。

一方で多くのドルが供給されると、他方の通貨は米ドル対比で価値が向上しやすくなり、他方の経済活動を冷やしかねない。その一例が上記にあるEUの件であり、この手法が所謂『デフレの輸出』である。

実際にヨーロッパもワクチン接種が進み景気回復が見込まれる中、通貨高になりすぎると困るため、金融政策の拡大スピードを緩和するという措置を取りたいのだが、とれなくなるわけである。

そして話題を米中対立に戻すと、中国政府も同じような悩みを抱えている。米ドルが多く供給されることによるカネ余り、それが転換して人民元高へと押し上げ圧力が強まっている。

「海外の金融資産バブルがいつか崩壊するのではないかと非常に心配している」…3月2日の記者会見での中国人民銀行(中央銀行)の副総裁、郭樹清氏…は、海外資産バブルの中国国内への転移を危惧していた。…人民元高は中国への資本流入を加速させる。グローバルな視点では、先進諸国のコロナ有事対応経済政策の副作用として発生した過剰流動性が、世界を回遊して、今年は中国にも殺到した。…更に、人民元高には、輸入に頼る国際商品の国内価格を引き下げる効果もある。これは国内生産者には打撃となるが、川上の製造業部門の企業決算は既に好転している。いっぽう、川下の消費型産業は、消費マインド回復遅れで、苦戦を強いられている。そこに、生産者物価高が消費者物価へ転嫁される事態は避けねばならない。中国経済回復もK字型なのだ。

中国も所謂国際金融のトリレンマ(金融政策の独立性、資本移動の自由、固定為替制度の3つは同時に達成できないという理論)にはまっており、中国は資本移動の自由を制限することで凌いできたが、今後も続けられるだろうか。もしかして、先進国のように為替を変動型へ持ってくることで、資本の自由な移動を再開させる?なんて読みもできるだろう。

私の読みは政治的な側面から、中国も人民元高は容認できにくく、対米政策の一環としても、金融緩和政策のようなものを続けていくのでは、と考える。そうであると仮定すると、既存の金融政策に続いて、世界2大国家の中央銀行による更なるカネ余りの状態を助長するのでは、と考える。資産持っている人には朗報であろう。


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