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過去投稿からの進化・変化④-対中政策

2020年の大きなイベントであった米大統領選で勝利したバイデン大統領が去る1月から政権運営を始めました。当初は対中政策に強固な姿勢で挑むトランプ前大統領と、比較的融和的路線?ではとみられていたバイデン大統領ですが、どうも既にその見立てはずれ始めているようです。(それにしてもトランプ前大統領が退任されてから、米政治についてニュースを通じて聴く機会が減ったな、と若干寂しい感じもありますね)

過去の投稿について、下記リンクもご確認ください。
米大統領選:
米大統領交代の可能性が上昇中?
来る大統領選までのアメリカ①
対中政策は更なる強化の方向か
来る大統領選までのアメリカ②
トランプ大統領のコロナ感染
残り一週間
明日の米大統領選
米大統領選と日中関係
バイデン大統領着任まで
融和の難しさ
次期大統領決定
米国のバイデン政権は3日、外交、軍事、経済政策の基本方針となる「国家安全保障戦略」の策定に向けた指針を公表した。中国に関して「経済、外交、軍事、先端技術の力を組み合わせ、安定的で開かれた国際システムに対抗しうる唯一の競争相手だ」と明記

また通商や軍事以外では、オバマ政権と似たように、バイデン政権も人権について再度中国に注文を付けていく、という姿勢を打ち出しました。

米通商代表部(USTR)は1日、バイデン政権の通商政策報告書を議会に提出した。中国の人権侵害問題に「最優先で対処する」と記載

また人権やこの度のコロナウイルス蔓延の件について中国へ注文を付けている国(オーストラリア、スウェーデンや台湾など)も、ワイン、パイン、ロブスターなど貿易面での様々な圧力を受けており、経済的圧力を通じた『指導』を中国から受けているとも取れる。

米国が中国の前に立ちはだかるのはともかく、中小の国々は米国のように振る舞うことを許されない。…中国に従わない国の「再教育」が成功しているかどうか、断言するのは難しい。何をもって成功というのか、はっきりしていないからだ。…モリソン首相は妥協するつもりはないという。豪政府は大麦に対する関税をめぐって中国をWTOに提訴した。「取るに足りない問題」と中国は考えているかもしれない。だが係争は何年も続きそうだ。

一方でバイデン大統領の戦略とは異なる形で、中国へ歩み寄りをしているのが昨年末12月30日に投資協定締結の大筋合意に至ったEU(欧州連合)であります。

政権発足前に梯子(はしご)を外されたバイデン政権は、EUから対中政策で協力の申し出を受けたとしても、もはや信頼できず、緊密な協力が難しくなるとの見方が強い。…またCAIは、広く欧州で評価されているわけでもない。合意形成は、独仏が最終的に支援したことでなんとか実現されたが、欧州議会では反対の声が強い。ポーランドやオーストリアの閣僚は公然と懸念を示している。…数年前、中国が一帯一路の一環として中国+中東欧諸国16カ国の枠組み(現在はギリシャが加入し17カ国)を発足した。それに対し、独仏は中東欧諸国が中国に近寄りすぎていると懸念を表明していた。しかし、この枠組みで約束された投資が実現しなかったことで中東欧諸国では中国との協力に関し、幻滅が生じていた。今では独仏が、中国と関わりを深めることが国益につながると主張し、その他の加盟国は懐疑的な立場となっている。

経済的な恩恵から各国の諸事情が異なり、対中政策に関して、横のつながりが強まらないことが、中国という国家にとってはやりやすい形になっているとも言えよう。ワシントンコンセンサスから北京コンセンサスへ大きく移ってくる日もそんなに遠くないだろう。


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