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対中政策は更なる強化の方向か

来る11月の米大統領選を控え、という脈絡もあるでしょうが、ファーウエイに対する規制を通じた米国の対中政策の強化の色がどんどん濃くなっているなと感じたので、書いてみます。

過去投稿に関しては、下記をご確認ください。
ファーウエイ規制に対する中国の対応(半導体)
漁夫の利(サムソンに関して)
SMICの上場

過去投稿に書いたように、米中摩擦を起点とした、台湾のTSMCなどから半導体を仕入れにくくなった、中国企業ファーウエイなどハイテク企業の将来も含めて、中国政府が主導し中国国内へ半導体製造のインソース化を進めている。しかし、この度中国国内のSMIC自体を米国の禁輸リストにいれることで、ほぼ完全なるファーウエイ包囲網を確立し、技術的にも自国開発がまだ追い付いていないSMICや中国勢とのサバイバルゲームに入った模様。

米商務省は8月、米国の製造装置や設計ソフトを使用すれば、外国製半導体でもファーウェイに供給するのを事実上、禁止すると発表した。9月15日午前0時(米東部時間)以降は原則供給できなくなる。
半導体の開発過程では米国製の半導体設計支援ツール(EDA)を使用することが多い。大半の最先端の半導体製造の現場では、こうしたツールや米国の技術を活用した半導体製造装置を使う。基幹部品である半導体を外部調達できないようにし、スマートフォンや携帯電話基地局の生産に打撃を与える狙いがある。…ファーウェイは対策として中国産の半導体開発を急ぐが、米国はそれも封じようとしている。米メディアによると米国防総省は米企業に対し、中国政府が支援する同国の半導体製造大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)との取引を禁じる方針という。ファーウェイはSMICに半導体生産の委託を増やすとされるが、SMICも米技術に依存しており、禁輸で力をそぐ構えだ。

一連の制裁の影響を受けて、半導体製造大手の韓国のSKハイニックスやサムソンもファーウエイとの取引を中止すると発表。米中対立の間で、第三国の企業は踏み絵を踏まされている状態である。これは間接的に日本企業にも影響が出るでしょうし、以前のように米国勢が失ったシェアを他のアジア勢が取れるということではなくなった模様。(2019年10月の未来投資会議の10-13ページ目をご確認ください。)

このファーウエイ包囲網は2020年9月15日から発動予定であり、時を同じくして、トランプ大統領が大統領令で出した、TikTokの米国事業の売却期限も同日に迫っている。下記ニュースによると、Tiktokは米国政府と交渉中で、先日中国政府による中国企業が海外事業売却には政府との事前承認が必要、という条項も加わったことで、どうにかならないか、と模索しているようです。

いずれにしても、2020年9月15日までのここ数日は様々なニュースが流れてきそうです。



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