見出し画像

Huawei後の中国の対応(半導体)

米中関係は2018年ごろからあまり良くなかったものの、貿易交渉第一段階が2020年1月に合意となり、改善に向かっていると見られていた。しかしコロナショックにより、中国のみならず、米国を含めた世界的な経済が打撃を受け、トランプ大統領の米国は、コロナ対応がちゃんとしていなかったとして、中国への対応措置の一部を2020年5月15日に発動。その1つがHuawei(華為)の規制強化である。

まず半導体業界の流れとして、下記引用をご確認ください。(日経ビジネスさん、ありがとうございます!)
『現在の半導体産業は、開発と製造を分離するという国際分業体制の下で成り立っている。半導体の開発は世界各国の企業が実施し、台湾積体電路製造(TSMC)などファウンドリーとよばれる製造ラインを備えた企業が受託生産する。その製造ラインにはアプライドマテリアルズなど米国企業製の高性能な半導体製造装置が欠かせない。
米国の規制強化の動きは、昨年末ごろから一部報道で取り沙汰されていた。ファーウェイは一部半導体の生産をTSMCから中国国内のファウンドリー、中芯国際集成電路製造(SMIC)に切り替えてきたのも、こうした動きに備えるためだったとみられる。』

日経記事にも書かれているように、Huawei(ファーウェイ、華為)は従前台湾のTSMCに半導体製造を委託、調達していたが、米国の規制強化(具体的には、アプライドマテリアルズのような米国製の製造装置を使った半導体についてHuawei向けの輸出を禁止する処置)に伴い、TSMCからの調達が難しくなった。そこで中国政府は国有企業(SOE)の一つである、中芯国際集成電路製造(SMIC)への出資を増やし、HuaweiもSMICへの委託を増やす方針。加えて、台湾の聯発科技(メディアテック)と中国国有企業の紫光集団系の紫光展鋭(UNISOC)も新たな委託先となる模様。

確かに米国の規制強化は5月になってからであったが、中国政府は都市封鎖などを行っていた期間にも、重要な企業等を稼働させており、国内企業による半導体関連事業の開発(所謂インソーシング)を進めていた。
もちろんSMICもその中の1社だが、それ以外にも、紫光集団に属する長江存儲科技(YMTC)という会社が、128層の3次元NAND型フラッシュメモリーの量産開始を、2020年末から21年上半期にかけて目指すという、発表を出した。同技術はグローバルのライバル(SKハイネックス、サムソン、マイクロンやオキシア/東芝)も2020年中に生産開始するといわれている高レベルの技術、と言われている。Huaweiはこのように、政府のバックアップもありながら、中国国内調達へシフトしていくだろう。詳細は下記記事をご確認ください。

このような潮流の中で、今後も中国はこれから海外に頼っていた様々な技術をできるだけインソースするよう取り組むのでは、と読める。だが一方で中国最大の貿易相手国(製造業など)は米国であり、関税などの貿易障害は中国にとって解決しないで済む問題でもない。また米国の対中規制強化が進んでも、直ぐに開発できない、もしくは難しいものも一定程度あるのではないか、またその延長線上にはもしかして日本や韓国のような、中国の隣国であるが軍事的(また経済的にも)米国とつながりの深い国は恩恵にあずかれるのだろうか。

今度は同じように中国企業の米金融市場での規制についても見ていきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?