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コスト削減で人気は一時的に取れるでしょうが。。

コロナ禍の中、総務省主導の消費者への『負担軽減』策が2つありました。一つは携帯電話の料金、もう一つはNHKの受信料についてです。

結論から言うと、どちらの政策も負担軽減が実感できた瞬間(たぶん早くて実行後3-6か月後)には、一時的に支持者から政権の人気は上がるでしょう。でも私が思うに、このようなアクションは、日本企業がバブル崩壊後に一貫して取ってきたコストカットの考えに似ているのでは、と感じております。これらの企業のコストカットの先には、果たして何があっただろうか、と思うと、正直更なるコストカット以外、あまり明るい未来が残っていないのでは、と。誰が長期的にWinnerとなるのでしょうか。

政府の圧力という公平ではないゆがんだ競争によってNTTドコモが大幅な値下げをしたことで、格安スマホや楽天モバイルが厳しい立場に追いやられることは間違いない。将来的には、大手3社の寡占状態に逆戻りする危険もあるだろう。そうなると、国民が値下げを喜べるのは一時的かもしれない。数年後、寡占が進んだ携帯電話市場で再び値上げの動きが起こる可能性も十分に考えられる

携帯電話料金を全体的に安くさせることで、結局市場には資金力がない会社が撤退し、資本力のある企業による寡占状況を更に作るのでは。あの楽天のモバイル事業でさえ、5Gへの投資をもっと進めなくてはならない中で、どこまで生き残れるのか、分かりません。そうすると、携帯電話料金の価格競争はまたまたイタチごっこのようになるのでしょうか。

またNHKの受信料についても、訪問による徴収を辞め、また支払い義務化自体は見送られ、一方でNHKの公共放送としての立場は強められつつも、BSチャンネルやAMラジオを削減するなど、所謂見込み収入減に対して、大きなコストカットを行い、受信料削減へ、と騒がれています。確かにNHKの放送内容や番組などに意見が様々あるのは重々承知ですが、料金・コスト以外の、NHKの多面的な役割についてあまり問われることもないのかな、と感じます。

特に、TVやネットも通じて海外に対して、日本のプレゼンス向上を力強く、長期的に継続的に行うためのメディアとしての役割もあるということが見落とされているような気がします。NHKに対するコストカット圧力は、英国のBBCに対する同国の態度と似ているような気もしますが、中国など国家を挙げてメディアを強く推し進める国に、日本はどのように対抗していくのでしょうか。やはり最後は米国のGAFA的なプラットフォームにお願いして、といったことなのか。

目の前のコストカット(負担削減)と支持浮揚以外の大きな絵図が見えてこないのは、この国の高齢化、長年の経済成長の低迷(裏返しとして、貧富の格差が相対的に小さく、安定した社会風土を作り出している側面)を象徴しているのかな、と感じました。

今日のゆるキャラは、岩手県陸前高田市ゆめ大使「たかたのゆめちゃん」です。


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