『デモ散文集』ヤスタ過之

ほぼ一発書き、未完作、断片、

『デモ散文集』ヤスタ過之

ほぼ一発書き、未完作、断片、

最近の記事

サンバ

 昨日、家から一番近いツタヤに車で向かっていた。『脳内ニューヨーク』のDVDをリクエストしに行っていた。その途中にある「ほっともっと」の横の駐車場で、車椅子に乗った老爺が弁当を食べていた。前にもそこで弁当を食べている車椅子の老爺を見たことを思い出した。同じ老爺なのかは分からない。前は通りすがりに数瞬見ただけだったのでその風貌まではよく見ていなかった。  老爺の車椅子は「ほっともっと」の店舗の横に直角に並んだ駐車スペースの一番道路側の「1」と白くペイントされた駐車スペースのほぼ

    • コイヌ

       わたしが無職になってから毎日通っている喫茶「カフエエ」での話。  7時30分開店と同時に店の最奥右端のテーブル席に着き、英語の勉強を始め、2時間ほど経った辺りでトイレに立った。トイレに入ると一室しかない個室から、明らかに女性のものだと思われる声がしていた。あヤバい、と思った私は振り帰らないまま後ろに手を伸ばしてドアのバーを掴もうとしたが、私の眼前には小便器という男性が立ったまま尿を処理することの出来る装置がはっきりと見えていた。私の中の性別という一塊がわずかに震えた。   

      • キロギー

        同級生の友人の父のお通夜に行った。 前日に参加している中学から旧友LINEグループに連絡が入った。 まあ通常はこのようなことがない限り機能しないLINEグループで、最近は飲み会などの予定などの知らせよりも、 I からの同級生や先輩後輩の親などの死の知らせが多い。 わたしは I の事を「葬祭奉行」と呼んでいるが、それは自分の中だけにしている。 葬祭奉行は、言葉の仕様に少々うるさい。 うるさい、といっても何か直接的に指摘する訳ではない。 例えば今回のLINEだと、その時iPhon

        • ハイクイ

          「あの、娘さんと結婚させてください」 違う、とわたしは思ったが遅かった。 「はぁ?まだ結婚してなかったとねー」 と彼女の父親は言った。わたしは驚いた。父親は笑っていたが、そう言っているのは半ば本心でもあるようだ。  「いや、まだしてなかったですよー。勝手にはしませんよー」  わたしはいつも彼女の家に入り浸っていたし、夕食をご馳走になった後にそのまま泊まっていくこともしょっちゅうだった。セックスするのはいつも2階の彼女の部屋だった。彼女の部屋でするようになって始めのひと月ほどは

          ダムレイ

          母親はわたしのストーカー。 わたしを体内で生成してから外に追い出し、背が自分を超えてからもわたしをそばに置いている。 ブロッコリーで床を掃きながら、わたしがテレビを見ているテーブルの横を通り過ぎていく。 父親はわたしに言う、ぼくたちはずっとあなたのそばにいる。 あなたを好きになった人があなたの顔が崩れてあなたを嫌いになっても、あなたのに愛想を尽かしても、あなたの身体に飽きても、あなたが何かを殺しても、ぼくたちだけはずっとあなたのそばにいる。 父親は生まれつきイビキで寝返りを打

          余震夢(令和5年8月19日寝の)

          メタン塗料で絵を描いている。銀色でどろどろしている。それを飲み込んで絵を描く。何枚か仕上げたところでTVか何かの映像を見て、わたしはこれまでとんでもない方法で絵を描いていたのだと激しく後悔する。それで実家の裏口から続いている小道を変形させたような小道を開けたところまで、爪先宇宙から湧いてくる吐き気と共に歩く。これまでに起こったことのない身体反応に嬉しくもある。側溝に何度か吐く。その場所から徐々に遠ざかって行きながらわたしは考えている。わたしはメタン塗料をひたすら飲み下しながら

          余震夢(令和5年8月19日寝の)

          余震夢(令和5年8月10日寝の)

          ビルの構造をした建物、パーティー、愚妹も参加している、パーティーの断面や断片は覚えているが繋がらない、パーティーが終わって下の広場に出たところでジャケットを忘れたことに気付く。 愚妹にそれを伝えるともうビルは閉まっているから遅い、と言って歩いてきた外国人のモデルと写真が撮りたいとわたしに言う。わたしが頼んでやろうと「失敗しない英語」という塊を頭の中に追っていると愚妹がすかさずわたしを追い越してモデルに一緒に写真を撮りたいと英単語を矢継ぎ早に繰り出す。ひとつの単語が終らないうち

          余震夢(令和5年8月10日寝の)

          闇がメニメニ垂れ下がる樹

          こぶし大の闇がメニメニ垂れ下がっている樹を見つけた
無関心を決め込む風を装いながらも、なんだかんだで平成最後とやらに追い立てられる僕 2019.1.15 #平成最後
#那珂川町
#メニメニ闇 191週間前

          闇がメニメニ垂れ下がる樹

          『西郷どん』

          小栗旬の坂本龍馬、事前のわたくし予想を覆してかなり良いな。
このドラマ久しぶりに観たのだけれど、よく西郷と大久保が話している鶴丸城のあの内部のデザイン最高だな。誰がデザインしたのかしら。 2018.8.26 #西郷どん 
#鶴丸城
#坂本龍馬が小栗旬を演じてもおなじように最高なのだろうか 212週間前

          「ルック・アット・ミー」映画祭2022

          「俺を見ろ」
心臓血管外科と示された病院
見ただけで胸のあたりがつかえてくる
中洲は祭りの時の屋台の裏側の匂いがしていた
ビルの上階にある映画館にはスクリーンが壁から半分ほど飛び出している劇場がある
何人かも見上げているので僕だけが気付いているのでもなさそうだけど
街が騒いでいる風でもない
この街の名物の映画館なのだろうか
そこで僕は母と待ち合わせていることに気付いた
そう思うと母ももう隣に立っていた
スクリーンを見上げてはいなかった
見てんほら、スクリーンがはみ出しとる
あ

          「ルック・アット・ミー」映画祭2022

          『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』

          ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生!
終わってみれば、しょっぱなのグリンデルバルド脱獄シーンだけが最高潮だった。
せっかくこの作品最大の特徴である珍獣と奇妙な魔法の積み重ねで進んでいたのに、最後の集会のシーンでの戦いは、まるでX-MENかと見紛うような大味の戦いでちょっとがっかりした。
みんなの力を合わせろっ、パリの崩壊を防げっ、ガーン、ドガーン、ってね。
もっと、運動や移動がある、機動的な戦いを。
 2019.1.17 
#ファンタスティックビーストと黒い魔法

          『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』

          『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』

          マンディ地獄のロード・ウォリアー! 「何を狩るんだ?」
「カルト集団さ」
「いまがシーズンなのか?」 2019.1.12 #マンディ地獄のロードウォリアー
#中洲大洋
#映画
#カルトを狩るのは今が旬 編集済み · 191週間前

          『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』

          『メン・イン・ブラック』?

          メン・イン・ブラック! 撮影中のテッサ・トンプソンの白黒写真素敵過ぎ。旧シリーズは観てないと思うけど、これは相手がクリヘムだし楽しみ。
#テッサトンプソン
#クリスヘムズワース
#メンインブラック 196週間前 2018.12.13

          『メン・イン・ブラック』?

          『ヴェノム 』

          ヴェノム! キャナルシティIMAX!
ヴェノムに感染されてから全開になるまでの、出るか出ないかという場面での小出し演出が実に上手い。
それまでのありきたり展開が冗長に感じるが、後はトム・ハーディのシリアスとコメディを瞬時に行き来する演技に身を委ねられる。レストランでのあの妙技を見よ。ハイライト。
カーチェイスでは、バートン版バットマン、ダークナイト、ブラックパンサーまでを彷彿とさせるが、ヴェノム設定を巧みに使った逃走劇は新鮮に感じた。
アクションシーンでは「ターミネーター」絡

          『デス・ウィッシュ』

          デス・ウィッシュ! トリアス久山!
破れの中の破れ、黒人アイスクリーム屋を殺すワンショットが何より最高。
そして、ポールの弟フランクが兄の自警行為を気付いてから担当刑事がポールの病院の部屋を訪ねていくまでのの強引な編集とテンポの奇々怪界さよ。
結局は何の意味もなかったフランクのあの不穏もとても良い。
ポールの仕事部屋で兄弟が向かい合う場面の、あぁやっぱりこの弟が黒幕か、今から撃たれるのか、と思わせてからの・・・、の演出などもタランティーノ映画にときより感じる「あの」感覚に通じ

          『デス・ウィッシュ』

          『アンダー・ザ・シルバーレイク』

          アンダー・ザ・シルバーレイク!
真夜中のTジョイ博多で鑑賞。
あらゆる謎、に迫っていく内容で様々な映画からの引用と愛で作っている作品だけれども、各場面の俳優の配置だけとっても、こちら側に実に上手く「謎感」を発生させる俳優が選ばれている。リンチ作品でお馴染みのパトリック・眉毛・フィスクラー。
そして、大傑作『ゾディアック』のあのとてつもないエンディングを独特のやさぐれ感で成立させた立役者ジミ・シンプソン。あの映画のジェイク・ギレンホールが演じた役に今回のアンドリュー・ガーフィー

          『アンダー・ザ・シルバーレイク』