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感染後に遷延する症状

 COVID-19は多くの方が軽症で治るという認識をお持ちの方もおられると思いますが、回復後も長引く症状に悩まされ、日常生活もままならないという報告も散見されています。海外からの報告では特に全身倦怠感、呼吸苦、関節痛、胸痛などの症状が目立っています。これを受け、厚生労働省は新型コロナウイルス感染者で退院後も呼吸機能の低下が続く「後遺症」のような事例があることを受け、2千人を対象に回復後に長引く症状の原因を調べる研究を8月から始めると発表しました。

 しかし、米疾病対策センター(CDC)によると、入院歴がなく持病のない若者の約2割が数週間後も元の健康状態に戻らず咳嗽や倦怠感が続いていることを報告しており、比較的軽症でも症状が長引く可能性があると指摘しています。

  COVID-19の主要病変は肺炎ですが、全身の血管炎を起こし血栓を生じることもわかってきています。重症肺炎で入院して人工呼吸器を使用した方であれば、肺胞の毛細血管の強いダメージを受けることにより呼吸機能の回復に時間がかかるのも予想はできます。しかし入院せずに軽症と判断された若年者であっても日常生活に支障が出るほどの症状に悩まされている方が少なくはないことから、「若いから回復も早い」「若いから罹っても大丈夫」という考えは持つべきではありません。

 他の感染症でも時に回復後に何らかの症状が長引くことはありますが、COVID-19はまだ病原体が判明してから数か月しか経過していない訳ですから、回復後に長引く症状がどのくらい続くのかは全く未知の領域です。現在まさに長引く症状で悩まされている方々にとっては原因を究明するための調査が一刻も早く望まれるところでしょう。

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