水野泰孝 Global Healthcare Clinic

東京慈恵会医科大学大学院修了。タイ王国マヒドン大学熱帯医学部留学、在ベトナム日本大使館医務官、東京医科大学准教授、同大学病院感染制御部長・感染症科長を歴任。専門は熱帯医学、渡航医学、予防接種。日本感染症学会指導医、日本小児科学会指導医、米国熱帯医学会認定医(CTropMed®)。

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東京慈恵会医科大学大学院修了。タイ王国マヒドン大学熱帯医学部留学、在ベトナム日本大使館医務官、東京医科大学准教授、同大学病院感染制御部長・感染症科長を歴任。専門は熱帯医学、渡航医学、予防接種。日本感染症学会指導医、日本小児科学会指導医、米国熱帯医学会認定医(CTropMed®)。

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      日経COMEMOは、様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたちが、社会に思うこと、専門領域の知見などを投稿するサービスです。 【noteで投稿されている方へ】 #COMEMOがついた投稿を日々COMEMOスタッフが巡回し、COMEMOマガジンや日経電子版でご紹介させていただきます。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 https://bit.ly/2EbuxaF

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    新型コロナ・感染症法5類移行後の現況

     新型コロナウイルス感染症(COVID)が感染症法5類に移行してほぼ2週間以上が経過しました。前回の記事「新型コロナ・感染症法5類移行の前に思うこと|水野泰孝 Global Healthcare Clinic (nikkei.com)」では「5月8日以降、医療現場の変化があるのかどうか、流行状況の変化があるのかどうか、患者さんの意識変化がみられるのかどうか、来週以降でまとめてみる」とお伝えしていましたが実際には現場はどのようになっているのでしょうか?  まず5月19日に5類

      • 新型コロナ・感染症法5類移行の前に思うこと

          新型コロナ(COVID-19)の感染症法の位置づけが5月8日から5類に移行されますが、このタイミングに合わせるかのようにWHOはCOVID-19に関する緊急事態宣言を解除することを表明しました。  2020年3月に宣言されて以来3年3か月もの期間が妥当であったかどうかは何とも言えませんが、多くの国々が規制緩和の動きがある中でも深刻な感染拡大やその原因となるべく変異株の出現が大きな問題となっていないことからの結論だったと考えますし、日本での5類移行がほぼ同時期となったのも

        • 何のためにマスクをしていますか?

           脱マスク記念日とも言うべき「3月13日」からほぼ1カ月が経過しましたが、当初の予測通りの記事が掲載されました。先月の記事でも明記したことですが今回も「マスクをし続けることに疑義を唱える」ということではなく、「マスクは要らない」ということでもなく、さらには「声掛けする」までのことでもなく、コロナ前と同じような位置づけに戻しませんかということが前提のオピニオンですのでご了承のうえお読みください。  繰り返しますがマスクをする主たる意義は「咳エチケット」です。自分が体調の悪いと

          • コロナ前の日常に戻りたくないのか??私は早く戻ってほしい

             3月13日からマスク着用は場所を問わず個人の自由となり(といってもこれまでに義務化されたことは一度もなく任意にしてくださいと指針がでただけですが)、4月からは学校での感染対策も大きく変わろうとしています。3月13日は多くの人たちがマスクを着用していたままであまり変化は感じませんでした(やはり「脱マスク記念日」だったが周囲はほとんど変わっていなかった|水野泰孝 Global Healthcare Clinic (nikkei.com))が、4月に入ってからはだいぶマスクを外し

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            やはり「脱マスク記念日」だったが周囲はほとんど変わっていなかった

             3月10日に投稿した「感染対策の域を超えているマスク議論「脱マスク記念日」?|水野泰孝 Global Healthcare Clinic (nikkei.com)」に明記したとおり3月13日は朝から深夜まで至る所での「マスクをしている人・していない人」の話題で持ちきりでしたが、多くの人たちにとっては結局のところ変わり映えのない普通の一日だったのではないでしょうか。(花粉飛散時期ではありますが)むしろ多くの人がかわらずマスクをしていたことで同調圧力が強まったかもしれません。た

            感染対策の域を超えているマスク議論「脱マスク記念日」?

             3月13日が近づくにつれてメディアによる「脱マスク議論」が活発になっている印象で、多くの組織や事業所などでは混乱を招いている状況がうかがえます。そもそも法で規制されたものではないので「脱マスクをする日」を設定すること自体が理にかなっていないと思うのですが、多くの組織において新型コロナ発生当初に定められた感染対策ガイドラインに盛り込まれたマスク装着に関する指針が明記してある以上、勝手に変更したり中止したりするわけにもいきませんので、どうしても線引きをするための日程設定が必要で

            飾りじゃないのよマスクは

             ここ最近、マスク議論が白熱しています。私もそれに追随して「機内でのマスク」「学校でのマスク」について「思うこと」を続けて記事にしました。有識者の見解となるとインパクトが強い印象と捉えられがちなので、基本的な知識(建前)を提供したうえで一部行き過ぎた対応への苦言(本音)のせめぎ合いの中でコメントしたつもりです。ただ「個人判断」というのは着用が義務化されていない日本ではこれまでも一部は個人判断であったわけであり、公式見解としては何とも歯がゆい結論です。  当然ながら様々な人た

            学校でのマスク議論について思うこと

             前回の投稿記事「航空機内でのマスク着用義務化の緩和について思うこと」と同じく疑問に感じていたことがニュースになりましたので続けての投稿です。学校におけるマスクの着脱に関してここまでお膳立てをしなければならなかったとは正直あきれてしまいました。まあそうでもしなければ学校側が独自に判断することはできない訳ですし、何か起これば学校側の管理が問われることになる訳ですから仕方のないことは十分承知の上です。しかし、せめて大事なセレモニーの時くらい柔軟な対応ができるように何故もう少し早く

            航空機内でのマスク着用義務化の緩和について思うこと

             様々な場面におけるマスク着用に関する議論が活発化しているように感じる今日この頃ですが、私が最も懐疑的と考えていた航空機内でのマスク着用のある意味「義務化」についてようやく動きがありました。  私は7年ほど前から釧路市にある事業所の産業医の委嘱を受けており、毎月1回出張しています。新型コロナが発生してからも月1回は航空機を利用した出張を継続していました。振り返ってみると2020年初頭は機内でのマスク着用に関するアナウンスはどうだったか定かではありませんが、いつからか搭乗の際

            新型コロナは感染症法「5類」移行で本当に特別視されなくなるのか? 

             未知の感染症である新型コロナ(COVID)が発生し、ひたすら感染者を探し出し徹底的な感染対策を行っていた2020年、次々と変異株が出現し、それに対抗するためのワクチン接種や治療薬の使用により医療者としてはひたすら戦い続けた2021年、多くの方がワクチン接種を行い病原性の低下によりウィズコロナを見据えた対応の変化が見られ始めた2022年、そして2023年、ようやく国家として「特別視をしない一般的な感染症」として日常生活を送るための法整備が始まることになりました。「特別視しない

            今年こそは新型コロナとうまく付き合っていけるのか?(再)社会へのゆがみへの提言

             2020年初頭から流行が始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ですが、その流行も収束することなく4年目を迎えてしまいました。欧米諸国はすでにウィズコロナあるいはアフターコロナのような体制となり、COVID-19前と大きくかわらない日常に戻っているような印象です。最も厳しいゼロコロナ政策をとっていた中国でさえもその政策を一気に撤廃し、まさに現在民族大移動が起こり始めているところです。中国、ゼロコロナ政策終了 入境時隔離を撤廃: 日本経済新聞 (nikkei.co

            同時流行は本当に発熱外来逼迫をもたらすのか?

             今年もあと1週間となりましたが相変わらず新型コロナ(COVID-19)の話題は尽きることなく、発生してから3年が経過しようとしています。12月中旬あたりから当院でもインフルエンザの患者さんが散見されるようになり、東京都では12月22日に流行期に入ったと公表しました。 このような状況になり医療体制の現状はどうなのでしょうか。  東京都内で定点当たり患者報告数が 1.0 人/週を超えた保健所は都内 31 か所中 11 か所で報告数が 高い順に、北区(2.64 人)、八王子市

            著書「新型コロナとの付き合い方」本日発売です。

             2020年6月からキーオピニオンリーダーとして月2回のペースで主に新型コロナに関する記事を投稿して70記事目となりました。以前より何らかの形にしたいと考えていたところ、ある出版社からご提案をいただき、この度書籍として発刊することになりました。「日経COMEMOの集大成」とも言えるものでもあり本日発売になりました。お読みいただければ幸甚です。  2022年夏の第7波が収まりつつある頃から、ようやくウィズコロナへの舵がきられるような対応が散見されるようになりました。現在再び感

            オンエアされるわずかなコメントの裏にある多くの重要な情報

              新型コロナ感染者数の増加傾向がメディアで取り上げられるようになり、ちょうど昨日放送された報道番組では感染症法の見直しに関する話題が取り挙げられ取材を受けました。年末にかけて発熱患者が増加することを踏まえた上でどのような医療提供体制を構築していくべきかの議論です。 昨日のオンエアされたコメントは以下です。このコメントだけを見た人たちにはよく理解されていないような印象を受けました。 しかしこの部分が使用される背景には以下の質問に対する回答があります。実際に私がメールで回答

            梅毒は昔の性病ではありません

             2020年から感染症の話題と言えば新型コロナばかりが大きく取り上げられていましたが、日常的に感染症患者さんを診療している我々にとっては注目すべき感染症も少なくはありません。これまでも本記事でダニ媒介感染症や帯状疱疹などの話題をご提供してきましたが、今回は最近話題となっている梅毒についてで、ちょうど記事が掲載されましたので概説します。  梅毒は性感染症の代表的なもので、スピロヘータと呼ばれる病原体の梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum subspecies

            もはや水際対策とは言い難い日本入国の現状ー入国者上限撤廃の朝に帰国してー

             本日より海外からの入国者の制限がなくなりました。ようやく日本も諸外国と足並みが揃い始めたという印象です。今回はまさにその現場に立ち会いましたのでそのご報告です。  私は2019年8月のマダガスカル出張を最後に海外渡航は控えておりましたが、9月に入国時の検査が条件付きで撤廃になったことを受け、先週末の連休(10/8-10)を利用してベトナムに出張してきました。ベトナムは2007年に外務省に出向した際に日本大使館勤務を2年間行いましたので知人も多く、実は2019年・2020年