僕が体験した東京の90年代 第1回 オリジナル・ラヴ

オリジナル・ラヴは僕が初めてトータル・プロデュースとマネージメントを手掛けたバンドだ。

サウンドはもちろん、スタイリングからアルバム・ジャケットの
ビジュアル、ステージの演出まで全てを手掛けた。

1991年10月21日、オリジナル・ラヴ 初のホール・コンサート。
会場は渋谷公会堂。

メンバーの衣装は、僕が当時コレクションしていたスーツ、エルメネジルド・ゼニアの型をモチーフに、特注で誂えた紺のダブルのベルベットのバギー・スーツ。

ちなみにこのゼニアのスーツは、僕がかつてマネージャーをしていた、日本が誇る世界中に多くのファンを持つ、今年結成35年のTHE SKA FLAMESのギター、Mr.宮崎がいまでもステージで愛用している。 
(あのスーツについて…「デザインとシルエットに一目惚れしたこのイタリア製スーツは所有する井出さんに頼み込んで譲り受けた…以来恒例の年末ライブには欠かせないものになった。スカフレイムス宮崎研二)

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大人気だった、萩原健一主演「傷だらけの天使」のファッションを意識したコンチネンタルな世界。テーマ曲のジャケットでは、ちょうどショーケンが白のバギー・スーツを着てる。

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私服通学だった高校生時代、キャロルを意識した革ジャンにリーゼントの
中学生からの流れから、ちょうどカーリー・ヘアにハンチング、バギー・スーツに移行する、当時僕が体感した時代の流れをうまくミックス出来るとは!
キャロルは今見てもスタイリッシュで最先端なロックだ。

僕はキャロルもショーケンも音楽のジャンルは違えど、男の持つ色気のようなものは共通していると思っている。もちろんオリジナル・ラヴにも。

ステージに戻ろう。ジャジー、そして甘美なソウルを中心にクールさの中にも熱さを感じる演奏が続き、「夜をぶっとばせ」で本編が終了する。

赤いベルベットの幕が降りる。
アンコールを待つ大きな歓声、拍手。

ようやく幕が開く。
沈黙が一瞬走る。

そこには楽器やアンプ類が一切ないステージ!
赤のソファのみ。

そしてこの日の為に誂えた白のバギー・スーツをを着たメンバー達が!

大歓声!

まさに泣きながら笑う!とはこのことだろう。
僕の人生のテーマの一つである「妄想を現実に」が叶った瞬間だった!
コンサートを観に来てステージに楽器がないなんて!

田島くんが一言。
    
どうだ!


まるでキザな日活映画でも見たかのようにバカ受け、
そしてその言葉をきっかけに舞台が回り始める。

そう会場の渋谷公会堂は回転舞台構造になっていたのだった!
(事前に会場打ち合わせをした際、舞台が回ると言う。
あ、大人気テレビ番組ドリフターズで見ていたアレだ!とすぐに理解。
これをどう使おうかがこのコンサートのメイン課題だった)

唯一カーテン裏に控えていたドラマーの宮田繁男がブレイクビーツを叩きだす。

舞台がステージに戻り、エネルギッシュな演奏を!

まさに熱狂を感じた格別な夜だった!

僕の「熱狂の誕生」はこの夜から始まったのかもしれない。



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