英語堪能のはずのわたくしが英語を理解できない瞬間
こにゃにゃちわ。
「鳥のように大空を羽ばたきたい」という時、
みなさんは頭の中に「つばめ」や「すずめ」「白鳥」などを思い浮かべると思います。「ペンギン」や「ダチョウ」を思い浮かべる人はいないと思います。
(1) 鳥は空を飛ぶ。
この文は正しいですよね。真です。
では、これはどうですか。
(2) 厳密にいうと、鳥は空を飛ぶ。
この文は正しいと言えますか。いいえ、偽ですよね。なぜならば、
(3) 厳密にいうと、すべての鳥が飛ぶわけではない。
からです。
このように、人は「鳥」という言葉を使うとき、普段は飛べる鳥だけを思い浮かべます。しかし、「厳密に言えば」という言葉を添えることで、「鳥」という言葉が意味する範囲が広がり、泳ぎが得意なペンギンや、走るのが得意なダチョウも含まれるようになります。
しかし、「鳥」が何を普段意味するかは、その人の住む環境や文化によっても変わってくることでしょう。例えば、アフリカでダチョウと共に暮らす人々にとっては、
(4) 鳥のように速く走れるようになりたい。
と思っているかもしれません。
ところで、最近、こんな経験をよくします。
お互いに英語を使ってコミュニケーションしているのに、意思疎通に困難が生じるんです。
先日、ギリシア滞在中に、友人とこんな会話をしていました。
わたくしは頭の中が「????」状態になりました。
わたくしの中で "animal" は、猫・犬・山羊・羊・馬などのような生き物です。蝉・蜂・蚊・蟻などの虫は含まれていないのです。
もしも「動物」に「虫」が含まれると言うのなら、「人間」だって動物じゃないかと思ったんですが、わたくしは、友人たちに反論せずに、その場をしのぎ、その後に英語の母語話者に尋ねてみました。
結論は、わたくしの "animal" に対する認識が正しかったです。
という結論に達しました。
その後、考えてみたのです。
そこで、数人のオランダ語話者に聞き取り調査をしてみたんです。
すると、そこには「虫」も含まれていました。
さらに、「厳密にいうと人間も動物ですが、普段の会話の中で「動物 dier」という言葉を聞いて、人間もそこに含まれますか。」
その答えはノーでした。曰く、
「確かに、厳密にいうと人間も動物だけれども、例えば「あの人は動物だ」という表現をしたら、侮辱に値するだろう。」
つまり、オランダ語の母語話者は、オランダ語で「動物」を表す "dier" という単語を英語に直訳して "animal" という単語を使っているということがわかりました。本来なら、「オランダ語の "dier" と英語の "animal" との間に意味のズレがある」ことを理解した上で英語を話すべきなのですが、これを怠ったために同じ英語を話しているにも関わらず、わたくしと友人1&2の間で意思疎通が上手くいかなかったのですね。
英語を母語としない外国人と話すときに、意思疎通が難しいときがあるのですが、その理由が「これだ!」と分かってスッキリしました。
みんな、母語に引きずられて外国語としての英語を話しているんですよね。そして、おそらく、、、ですが、英語という言語に似ている母語を話す人々は、英語を話す時に、その現象が起こりやすいように思います。似ているから、そのまま直訳すれば通じる、と思っているのでしょう。日本語を母語とする人々が英語を話す時にカタカナ英語を英文に当てはめてしまい、それが通じないのと同じような現象ではないかと思います。
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