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年上先輩部下への対応-「新版 はじめての課長の教科書」に学ぶ(11)

年上先輩部下への対応は、特に経験の浅い管理職にとっては頭の痛い問題の一つかもしれません。「新版はじめての課長の教科書」でも「避けることができない9つの問題」の中に「ベテラン係長が言うことを聞かなくなる」が挙げられています。

管理職として年上先輩部下に対してどう振る舞うのが正解なのでしょうか?

いきなり自分なりの結論ですが「気にしない」です。ただ目標や期待のすり合わせをこちらが気を使って曖昧になりがちですが、逆に他の若手よりも精緻にしておくことがトラブルが起きにくくするポイントかと思います。

そもそも部下がみんな言うことを聞いてくれる状態なんて、理想中の理想でしかありません。部下は皆上司の実力を計りながら、自分なりの付き合い方を極めて合理的かつ利己的な理由で決めていくものです。結局こちらでコントロールはできないので、気を遣うだけ無駄です。

誤解があるといけませんが、これは先輩部下に対して偉そうにしろとか全く配慮せず粗雑に扱えということではありません。丁寧さや敬意を払うことは大前提です。D・カーネギーの「人を動かす」ではありませんが、管理職として部下に重要感を感じさせるコミュニケーションは大前提です。

大切なのは自分の態度の置き方で、自分はチームの中で「管理職」という1つの役割を果たしているに過ぎないと考えましょう。管理職だから人間として部下よりも秀でてると考えるのは勘違いもいいところですし、もはや現場の仕事ができないから管理職をやっているぐらいに思っていて丁度良いぐらいです。(実際はそうでないとしても)

ちなみに今や反抗されたり思うように動いてもらえない可能性があるのは年上先輩だけではありません。年功序列意識やこちらの社会通念が通用しないのはむしろ若手の方です。年下だからコミュニケーションに気を使わなくてよいというのは大間違いだし、年上先輩だからと言って妙にへりくだったり相手を立てすぎたりすることも組織を導く上で逆効果です。

部下との関係性構築の上で目指したいのは「相互理解と相互尊敬」です。組織の中には誰に対しても一定の噂や偏見が溢れています。それに惑わされないでお互いを直接知るところから始めましょう。その時上司の側が待ってはいけません。対話の機会を作るのは常に上司であるべきです。年齢など関係なく部下の経歴や価値観、家族環境なども一人一人可能な限り把握しつつ、自分の考え方や方針も折に触れて丁寧に聞いてもらう機会を作りましょう。

本書にもある通り、年上先輩の方に新人の育成という大切な仕事を預けることで重要感を感じてもらったり、ベテラン係長と若手係長とを競わせるなどの方法も確かに効果的かもしれません。ただ明らかに人を操ろうとする意図が濃すぎると人は自ずと察するものです。マネジメントの最も重要な仕事は部下の強みと個性を活かした適材適所であることは言うまでもありません。常にこの原則にのっとって、一人一人に役割を明示します。

そして先輩社員の場合はその役割を期待する理由や目標をより丁寧に対話しておくことが効果的です。経験ある社員の場合、何となく言わなくてもわかっているよねという会話になりがちですが、こうした曖昧さが結構後になってトラブルになりがちなので注意しましょう。特に若い管理職の場合は達成目標の具体化を迫るのは時に勇気がいるかもしれませんが、ここは正念場だと気を張りましょう。

なお単に協力的ではないというレベルを超えて明かな「反乱」には、毅然とした態度が必要です。ただこれも年上の部下に限った話ではありませんね。とにかく特別扱いは百害あって一利なしです。

参考書籍

組織の管理職としての振る舞いが網羅的に学べます。文字通り初めて課長など管理職になる方、管理職を目指す方におすすめの書籍です。


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