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ソングライティング・ワークブック 第74週:伴奏で性格を表す—ピアノを使って(13)

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後半のテキスト

主体(主人公、話者)の位置を変える

プランの「峠からミカンを転がす」をどう導入するか?

  • 話者自身がする。

  • 話者の想像や願望として語らせる。

  • 誰かがするのを目撃する。

話者自身がするのではなく、目撃(あるいは意識が薄れて幻影を見たのか?)するとして書いてみた。話者自身がその行為をするというのと違ってショックは薄れる。導入は自然にできる(話者の性格がわりと普通なので)だろう。目撃か、幻影か、願望か、というのはある程度曖昧にしておく―オーディエンスの解釈にゆだねる。

何度かここへ来たことはあるけれど
ここまではいつも調子だった
この日は違っていた
もう7割ぐらい来ただろうか
まだ峠の見えない曲がり角に差し掛かったとき
ひとつのミカンが転がってきた
ミカンはコーナーを上手に曲がって
道の外にはみ出ることもなく
私の1.5メートル右をすれ違って
そのまま転がり落ち続け
やがてまたコーナーを上手に曲がって見えなくなった
危ないなあ
下にまだ誰かいないだろうか
こんなとき
山で落石に遭ったときに
ラークッ!
と叫ぶように
ミカーン!
と叫ぶべきだろうか?
それでもまだコーナーを曲がって登っていると
またミカンが転がってきた
今度は段ボール箱ひと箱分ぐらいあっただろうか
見上げると
もっとたくさんのミカンが転がってくる
まるでトラックがうっかり荷台を閉め忘れていたみたいだ
先を行っていた
コルナゴが足を着いて止まった
ピナレロが足を着いて止まった
スペシャライズドも他のみんなも足を着いて止まった
誰かはスマホで写真か動画を撮っている
私も足を着いた

ココロ コロコロ コロコロ
ちょっとだけ loco
言うだけ損 mi corazón
ココロとカラダ
コロカラコロン

ココロ コロコロ コロコロ
ちょっとだけ loco
言うだけ損 mi corazón
ココロとカラダ
コロカラコロン

ロココのコロラトゥーラ
ここからだ
ロココのコロラトゥーラ
ココロから

事件の描写と「ココロ コロコロ」との間にギャップがあるけれど、ここを処理するかしないか?まだ決めないで音を付けながら考えてもいいだろう。

どんな音が来るか?

何か事件が起こる予感を音で表す。「何度かここへ来たことはあったけど」から、もうそれを始めてもいいかもしれない。たとえばスケッチの中でメレンゲのグルーヴを使うアイデアがあったけど、ベースとキックにそれを導入する。その上でミカンが転がることの描写をピアノでやってもいいかもしれない。

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