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最新の脳科学でわかった!世界一簡単な外国語勉強法〜知識を使った語学は挫折しないためのツールだった〜#英語 #中国語

苫米地英人博士は、著書『英語は逆から学べ!―最新の脳科学でわかった!世界一簡単な外国語勉強法』(フォレスト出版、2008年)の中で、脳科学者ならではの独自の語学方法を提唱している。

まず、「絶対にやってはいけない勉強法」として次の4つを挙げている。

① 母国語の説明を聴きながらの勉強
② 辞書を使った勉強
③ 各単語の母国語の意味を暗記する勉強
④ 外国語の音を効いて日本語の意味を覚える勉強

ほとんど多くの日本人はこれをやってしまっているだろう。
苫米地博士に言わせればこれはNG。

そもそも脳が言語を学ぶプロセスは次のようになっているらしい。

(ア) 生まれながらにして脳は言語能力を持っている
(イ) 特定の言語を見る、聴く
(ウ) 脳がパラメーターを特定の言語にチューニングする
(エ) 脳の中で特定の言語のネットワーク(回路)ができるようになる
(オ) 特定の言語をマスター

では、それを踏まえてどのような学習をすればいいか?

苫米地博士が勧める学習法は、「次の音を予想する学習法」だ。

まず、海外ドラマなど発話状況がわかる学習素材を用意する。
そして、海外ドラマで発話状況を見ながら外国語を聴く。 
何度も同じ海外ドラマを反復してみる。できれば、1シーズン10話くらいのものを繰り返す。
見るときは、次の音を予想しながら見る・
これを繰り返す。

至ってシンプルだ。
このとき、字幕は日本語も外国語も使ってはいけないという。

これは、暗記でない、音韻トレーニングでチューニングをするというものらしい。

次を予想するというのは暗記することとは違う。
暗記とは、
① 脳の記憶をつかさどる海馬のスクリーニングを経てやる作業
② ある特定の情報を長期記憶に投げ込む

チューニングとは、
① 単純に意識して聴く、単に漫然として聴くのではなく、意識して聴く
② 実際に聴こえてくる音に意識をもっていって、その音を聴く
③ そしてその音の次にどんな音がくるかなと想像する
④ 覚えるというよりは単に音韻のネットワークをトレーニングすることが大事

こうすると、数日したら外国語の音がよく聞こえるようになってくるらしい。それまではこの音韻のネットワークが日本語の音を認識することにしか興味がなかったが、外国語も認識できるようになるようだ。

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され、ここからは私の所感。

苫米地博士のやり方は確かに脳の構造から考えて合理的に思える。なぜなら私達は子供の頃このようにして言語を習得してきた(と思われる)から。

でも、この苫米地式語学は2つ難点がある。

一つは、日本語脳を抑えて、外国語の音に集中するということが難しいということ。

二つ目に、継続するのが難しい。海外ドラマを最初は意味もわからず、こういう意識でずっと見るのはかなりきついだろう。効果が現れる希望を持つのが難しいし、実際に効果を感じるまでどれくらい時間がかかるかもわからない。

この2つを乗り越えて継続すれば、たしかに赤ちゃんのように外国語を身につけることができるかもしれない。

そもそも、ここでやっていることの本質は「意味行為としての言語使用に触れる」ということだ。

その代表的なものが、「状況で使われている言葉」であり、それは海外ドラマで大量に確保しやすい。

冒頭のやってはいけないNG勉強法4つがなぜだめかというと、「意味行為としての言語使用に触れる」ことにかけ離れているからだ。文字だけのテキストでは、状況がかなり薄い。背景があり登場人物がリアルな外国語をストーリーの中で話しているものは状況がある。

つまり、ここを意識できれば文字ベースの学習もうまくいく。というか文字ベースの学習でうまくいっているということは、これができているということ。

「瞬間中作文」をするときも、状況を思い浮かべながら言葉を発するというのはそういうこと。

苫米地博士の勉強法は「意味行為としての言語使用に触れる」という語学上達で欠かせない必要な要素に真っ向から取り組んでいるが、学習者が効果を確信できないので継続できずに失敗する可能性が高い。

一方、論理や知識ベースの学習は「意味行為としての言語使用に触れる」からはかなり離れている。しかし、学習者は頭で理解しながら、学習を進めることができるので、学習量を確保できればゆっくりだが前に進む。

つまり、知識は頭で進めていることを確信するために寄与するだけで、それ自体が語学力を高めるわけではない。

語学の肝は、「意味行為としての言語使用に触れる」ことだ。

これがわかって実行できれば絶対に上達する。


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