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ミスタードリラーが生まれるまでの話 第10回「面白さのコアを掴む」


四角形バージョンの試行錯誤をする中で課題はいくつも出てきました。

ひたすら真下を掘れば安全になってしまう。

 →壊せないブロックをランダムで発生させて、ずっと真下には進めないようにしよう。初期配置でルートを完全に塞がないように。

横移動しようとして横のブロックを壊してもすぐに上のブロックが落ちてきて進めない。

 →ブロックが落下可能になってもすぐに落とさず、しばらくグラグラしてから落ちるようにしよう。ディグダグの岩のイメージ。

上から順にゆっくり壊していけば安全になってしまう。
 →制限時間をつけよう。タイムアイテムを配置して、取ると制限時間が延びるようにすれば、アイテムをとるためにも横移動するはず。

タイムアイテムを取るのが簡単すぎる。
 
→タイムアイテムの周囲を壊せないブロックで囲もう。囲み方はランダムまかせじゃなくてテーブルで設定しよう。

本制作では「壊せないブロック」→「×ブロック」に、タイムアイテム→「エアカプセル」に変わりますが、基本的なゲーム要素はこの時点である程度存在しました。

どのタイミングで入ったのかの記憶は定かではないのですが、ドリラーの面白さを決める上で非常に重要な仕様も、このプロトに実装されました。
それはブロックの落下ロジックです。

最初考えていたブロックの落下や連鎖のロジックは、ぷよぷよや3マッチパズルと同様に、ブロックが最後まで落ちきってから消滅判定をする仕組みでした。

ただそのロジックだとブロックが落下途中で停止することがないので、一番最初に私が思っていた、「予想外の落盤で死んだと思ったら、落石が途中で止まって命拾いする」という、九死に一生的なシチュエーションが生まれないのです。何か良いアイデアはないかと考えていました。

あれは、自宅で湯船につかってボンヤリと考えていた時でした。
ふいに脳裏に映像が浮かんだのです。

落ちてきたブロックが、直前で同色とくっついてギリギリでストップ! あぶなかった…

それは、高速で落下してきたブロックがプレイヤーキャラのすぐ頭上で同色のブロックとくっついて止まる映像でした。

その時自分自身の「危ない!」という心の声が確かに聞こえました。

これだ!ついに面白さのコアを完全に掴んだ。そう確信した夜でした。


つづく




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