見出し画像

ミスタードリラーが生まれるまでの話 -第5回「面白さのコアはどこにある?」

プレイヤーの感情を生み出すシチュエーションの具体的イメージ、それが「面白さのコア」

本業の方は相変わらず今ひとつな状態でした。
なんとかこなしてはいたものの、メンバーの目には「理由は分からんがイマイチやる気のないやつ」という風に映っていたんじゃないかと思います。

実際、自分が前に書いたような鬱屈した気持ちを抱えていることや、本当に自分が作りたいゲームのことについては同期の数人くらいにしかは話したことがありませんでした。
「話したってどうせ分かってもらえない」
「今の仕事から逃げたいだけだと思われる」
そんな風に、話しても無いのに勝手な思い込みで自己完結していました。

50代になった今でも勝手な思い込みで自己完結する性格は変わってないのですが、「それではダメだ」と思えるようになっただけまだマシかもしれません。当時はそれがダメだとさえ思えていませんでした。

当時からもっと自分の思いを素直に周囲に伝え、相談できていたなら、大好きだったナムコを退社することも無かったのかもしれません。
その話はまたいずれ。

面白さのコアはどこにある?

ドリラーに話を戻しましょう。
「ディグダグ」×「トルネコ」の組合わせから、
地底のステージ配置がランダムに変化する地底探検アクションゲーム
という、ゲームの輪郭がうっすら見えてきました。
ただ、そのゲームの面白さのコアが何なのかは以前として曖昧でした。
面白さのコアとは「プレイヤーの感情の動き」のこと。
どんな風に感情が動けばプレイヤーに面白いと感じてもらえるのだろうか?
それをひたすらに考え続けました。
その中で、トルネコを遊んでいて自分が一番面白いと思ったシチュエーションはなんだったか?を改めて思い返してみました。
一番面白いというかヤバいと思ったシチュエーションは、適当に移動してたら、うっかり落とし穴にはまって下の階に落ち、そこがモンスターハウスだった時です。大ピンチになった時のスリルと、手持ちのアイテムを駆使して危機一髪で脱出できた時の達成感は他人に話さずにいられないくらい楽しいものでした。

そして、このゲームの「面白さのコア」もトルネコのように予想外な大ピンチによるスリルがあって、それを切り抜ける達成感なんじゃないかと思ったのでした。


つづく





この記事が参加している募集

自己紹介をゲームで語る

心に残ったゲーム

良かったらサポートお願いします!