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ミスタードリラーが生まれるまでの話 第7回「脳内エミュレーター」

2年といってもあくまで本業の傍なので、本業そっちのけでドリラーのことだけを考えていたわけではありません。
煮詰まったら考えるのをやめて、時々思い出してはまた考えに耽る、といった感じでした。
当時はUnityみたいな便利ツールはなかったですし、自分でプログラムを組むような技術もありませんでしたから、主に使っていたツールは「脳内エミュレーター」でした。
目を閉じて脳裏にゲーム画面を思い浮かべ、プレイヤーが何をして、結果ゲーム中に何が起きるのかを疑似再現するのです。目的を持った妄想みたいなものですね。

自分のプレイイメージが曖昧だと、脳内に再生される映像はクイズ「ヒントでピント」のモザイク問題みたいな粗いものになります。(古い)

モザイクの解像度を少しづつ上げるために、条件設定を変えて脳内エミュレーターを回し続けるのです。これも企画部時代に上司や先輩から教わった手法でした。

今にして思えば、この脳内エミュレーターをひたすら回し続けたからこそ、自分自身が確信を持って面白いと言える「面白さのコア」にたどり着くことができたように思います。
もし当時Unityのような便利ツールがあって、脳内エミュレーターを必死に回さずともそれっぽいゲームが作れてしまったとしたら、自分はそこそこで満足してしまったかもしれません。

予想外の連鎖

砂山削りのアナログな感覚をデジタルに置き換える良い方法は無いだろうか…?
そんなことを考えつつ、近所のゲームショップをうろついていた時でした。試遊台には「ぷよぷよ」が置いてありました。


試遊していた人はぷよぷよが得意だったようで、高速でぷよを積んでいき、フィールドがほぼ満杯になった状態から連鎖を着火。ぷよは次々と連鎖して消滅し、フィールドはあっというまにまっさらな状態になりました。

その時後ろで見ていた私は、4連鎖あたりから次にどう連鎖するのか予想できなくなりました。

…ん?
予想外の連鎖?

もしこのフィールドに自分がいたとして、なんとなく消したぷよで予想外の連鎖が起き、落ちてくるぷよに潰されそうになったら…
自分のイメージしている落盤事故に近くないか?

何かが私の中で繋がり始めた。
そんな気がしたのでした。


つづく




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