見出し画像

ミスタードリラーが生まれるまでの話 第6回「公園の砂場」

「予想外な大ピンチによるスリルとそれを切り抜ける達成感」が面白さのコア


このゲームの「面白さのコア」はそれじゃないか?という所まではたどり着きました。ただ、大ピンチによるスリルといっても抽象的で具体性がありません。

地底探検アクションというテーマはいったん決めていたので、具体的に地底探検中にで起こりそうな大ピンチのシチュエーションを色々と考えて見ました。

・地底モンスターに襲われる
・閉じ込められて酸欠になる
・毒ガスが充満する
・落盤で潰されそうになる
・地下水に流されそうになる
・不発弾を掘り当てて爆発させそうになる
・古代地底遺跡のトラップに引っかかる
等々

色々考えた中では「落盤で潰されそうになる」が個人的に一番ピンチな感じがしました。
はっきり理由は言えませんが、自分は北九州で生まれ育ったので、小さい頃に炭鉱の落盤事故の話を聞いていたからなのかも知れません。
幼心に地底で落盤が起きて生き埋めになったら死ぬほど怖いだろうなと思いました。

せっせと穴を掘っていた時に、壊してはいけない柱になっている岩を壊してしまった。
遠くからゴゴゴゴという音がして天井が崩れ、巨大岩が落下!
もうダメかと思ったら、岩が壁に引っかかって目の前で止まり、間一髪助かった
…なにかの冒険映画でそんなシーンがあったような気がしました。

このシチュエーションを体感できるゲームメカニクスが考えられたなら、今度こそ面白さのコアを捉えたことになるはず。

もちろん落盤事故を直接体験したことはないので、近いものでイメージしたのが、公園の砂場で遊ぶ「トンネル掘り」「砂山棒倒し」でした。

私たちが小さい頃はテレビゲーム自体なかったので、公園の砂場で友達と、砂がなくなって土が見えるまでひたすらに深い穴を掘ったりしてました。

「砂山棒倒し」は砂山の頂点に棒を突き立てた後にターン制で互いに砂山を削り取っていき、先に砂山を崩して棒を倒した方が負けという、超シンプルな遊びです。
指先の感覚を頼りに、物理的に大丈夫そうなギリギリを狙う感覚。
これくらいなら大丈夫だと思ったら意外にも脆く砂山が崩壊してしまう。
うっかり壊してしまって大崩落!の体験イメージにかなり近いと思いました。

ただ、指先の触感によるアナログな感覚は、そのままではメカニクスに落とし込むことができない。どうにかしてこのアナログな感覚をデジタルに置き換えることができないだろうか?

そんなことをひたすらに考えている内に、気がついたら最初の着想から2年近く経っていました。


つづく




この記事が参加している募集

自己紹介をゲームで語る

心に残ったゲーム

良かったらサポートお願いします!