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建築に込められた想い。時代をこえて受け止めたい

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建築には、それらを作った人の思いが詰まっている。そんな思いを感じることができればと、建築を見に足を運びます。
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2024年2月の記事一覧

反復によってデザインされた建物へ

昨年10月に関西に戻って始めた旅。九州にいた頃の ようにきままな旅は控えつつ、週末の旅を楽しもう。 九州に単身赴任となる前まで、京都の街にはときおり 訪れていた。次には京都の街をめぐる旅の続きへと。 この反復するデザインにはなじみがある 隈研吾氏によりデザインされた古今烏丸 2004年と2021年の2度に渡り手掛けられた つみきは連続して様々な形へと テクタの猫と羅工房の京雑貨の猫 今回リニューアルされたのは光が満ちるアトリウム これからの建築は、閉ざすのでなく

美しい椅子との出会いを思い出して

そしてまた週末に小さな旅へと出る。いつものように 電車に小さな折りたたみ自転車を乗せて、目的の駅に ついたらそれを広げて、目的地へと向かって走り出す。 前回は京都の通りを満喫した旅。今回は京都の南西部、 桂川の西岸へ。旅の始まりは阪急の桂駅で、桂といえば 桂離宮だが、遠い昔に一度訪れたこともあり、今回は 初めての場所へ。桂離宮は、今はインターネットでの 予約もできるようで、京都を一巡したらまたもう一度。 なつかしい教会の風景に、長崎の旅を思い出す 木工家具デザイナーのジ

建物の形にこめられた意図を楽しんで

昨年の11月半ばの週末、カトリック桂教会を後にして、 京都の西側を進む。京都なら小さな自転車でさらに 西の山手へ。いつか地図につけた目印をたどりつつ、 とにもかくにも行ってみることから始まる旅の物語。 ○△□は街角の建物にも。丸い建物は上からの視点で などと賃貸募集のページをのぞいてみたり 圧倒的な凹凸感。柱や梁ではなく、壁で構成された建物 の外観。敷地の高低差にあわせ、建物はらせんを描く ようにずれながら構成されて、とてつもない様相に。 ここは学生向けのマンション。

レンガの街並みのようなキャンパスへ

またいつものように日々を綴る。九州から関西に場所 を変え、週末になればあらためて関西の風景をたどる。 ひとりで出掛けるのは気軽に気ままに、でもたまには 家のことも。今回は次男の英検の試験の付き添いへ。 次男が試験を受けている合間に、キャンパスの風景を 満喫した。長男の英検の付添いのことを思いだす。試験 を待つ時間に、申し訳なくも気ままにランチと街歩き。 出かける先の様々なものが興味の対象になれば、退屈 することはきっとない。以前も今も時間があれば歩き まわり、風景を楽しん

旅先では建築を楽しんで

旅先で建築を訪れることは楽しみの一つ。というより、 目的となることもしばしばで。子供たちが小さな頃の、 いや大きくなってからの旅でも、建築を楽しむ時間は 限られて。でも今はもっぱら気ままな自転車の一人旅。 京都の旅で出会った鳩居堂。優しげな建物の形や素材、 場所に刻まれ歴史と物語。その愛されている建物は、 これからも大切にされるだろう。建物を設計したのは 内藤廣氏。過去の旅でも氏が手掛けた建物に訪れた。 ①海の博物館と志摩ミュージアム 三重県 ②牧野富太郎記念館 高知県

京都の街に散りばめられた素材をたどる

新風館を後にする。そこには銅板の庇、細いルーバー、 金網のスクリーン、木組みの架構。建物を包み込む素材 は異なるものでありながらも、調和を生み出している。 小さな自転車で街をゆっくりと進む。京都の街には、 車輪の小さく、小回りの利く自転車がちょうどよい。 街に散らばる素材に目を止めては、自転車を降りて 眺めたり、もっと近づいてみる。京都には古くから 残る日本家屋もあれば、新しい素材も点在している。 工芸の視点から生み出された建築 代表の細尾真孝氏は、西陣織の未来を切り拓

そして京都の街のデザインをめぐる

京都の街はこの小さな自転車で、散りばめられた素材 をたどりながら、街のデザインをめぐる。気になった デザインに立ち止まり、最後の目的地にたどりつける か気にしつつ、京都の雰囲気を楽しんでペダルを漕ぐ。 街に溶け込みつつも存在感のあるザ・ひらまつ京都 内部には美しい空間が広がっている 四季の移ろいを描く代表銘菓の「京のよすが」 今度は内部空間もゆっくりと楽しみたい 気になるお店が多すぎて。次はゆっくり時間をとって 俵屋旅館が手掛けるカフェの遊形サロン・ド・テ 俵屋

地域の人々に愛される鳩居堂

姉小路通りを進み寺町専門店会商店街へやってきた。 ちょうど通りが交わる場所に建つ店の名前は鳩居堂。 江戸時代から続く文房具の老舗で、創業したこの地で 2000年に新たな店舗へと生まれ変わった。設計した のは建築家の内藤廣氏。とらや京都の設計者でもある。 魅力的な商品であふれる鳩居堂 平安時代まで遡る鳩の家紋の物語 こちらのサイトで鳩居堂のことがよく分かる 鳩居堂を創業した熊谷直心(じきしん)は平安時代の 熊谷直実から数えて20代目であるといい、鳩の家紋 は直実が平安時

その空間には風が吹き抜けて

エースホテル京都を楽しんだ後、あらためて新風館へ。 新風館とは、1926年に竣工した旧京都中央電話局が 建築家リチャード・ロジャースにより外観はそのまま に改装され、京都に新しい風をという意が込められて 2001年にオープンした商業施設。時は経ち、2020年、 伝統と革新の融合を目指して新たに生まれ変わった。 隈研吾氏により受け継がれた新風館の歴史 コンパクトな4つのスクリーンで構成されている 関西にある名和晃平氏の作品もめぐっていこう ここは植物、器、食、ARTを展

強調された建物の縦と横のライン

九州から関西に戻り、また旅を始める。風景の中に、 興味をひくものをたどる。ときどきの空や移ろう雲、 季節により姿を変える植物や草花もさることながら、 やはり建物をめぐるのが楽しい。調べてから訪れる こともあれば、ふいに目の前に現れる建物もある。 その日、最初に訪れたのは斜めのラインが強調された 大阪学院大学高等学校。そしてその日の最後に訪れた のはエア・ウォーター健都という名のウェルネスに 関わる新事業の発信拠点。今度は縦と横のラインが 強調された建物の形と素材と内部空間を

岸辺駅の周りに広がる健都の街並み

大阪学院大学高等学校を後にして、気になる建物を たどっていつものように旅を続ける。旅といっても、 地元を軽く散策する程度。でもこれから関西をめぐる ことも、また日々の風景も旅するように楽しみたい。 スカイスパ・サウナもあるカンデオホテルズ大阪 JR九州ブラッサム大分の屋上のスパが懐かしい 2019年竣工の建物の設計施工は竹中工務店 君の元気は僕の元気さ。心地のよいCMソング 日本初の時間単位でレンタルできるシェアラボも 健都に広がる建物と風景を楽しんだ 向かった

場所をかえて新たな旅を始めよう

昨年10月の半ばのこと。2年半の博多での単身赴任の 生活を終え大阪へと戻ってきた。五島の旅でバースト した自転車のタイヤも新しいものに取り替え、新たな 旅を始める。地元の大阪だが、これが私にとっての旅 の第2ステージに。気持ちも新たにスタートを切る。 2015年のウッドデザイン賞の奨励賞の受賞も 日本ウッドデザイン協会は、木を活用した社会課題の 解決をめざす取り組みをウッドデザインと定義して、 木を生かした新たなライフスタイルを推進している。 協会会長は木を用いた建物を多

太宰府天満宮へお参りを

太鼓橋を渡って本殿へと進む。太宰府天満宮は全国の 天満宮の総本宮で、道真公の御墓所として唯一無二の 聖地でもある。天神さまとしての道真公は、己の信じる 道を歩もうと努力する全ての人に寄り添う優しい神様 として1,100年以上にわたり慕われ続けているという。 令和9年の式年大祭に向けて、令和5年5月より約3年を かけた124年ぶりの重要文化財「御本殿」の大改修が 行われていた。改修期間中、御本殿の前に建設された 「仮殿」は藤本壮介氏によって手掛けられた。道真公を 慕う梅の木の