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建築に込められた想い。時代をこえて受け止めたい

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建築には、それらを作った人の思いが詰まっている。そんな思いを感じることができればと、建築を見に足を運びます。
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重なり、連なる円の先の風景に

宇治の街でつむがれる物語。多くの人が宇治にかかる 橋を渡り、その風景の中をさまざまな人が行き交い、 歴史は交差する。宇治への旅をふりかえり、過去と未来 に思いをはせる。次に訪れたのは、旅の出発と終着点の ターミナル。ここは新たな物語が始まる場所でもある。 これほどまでに連なる形は初めてだ ここには丸のモチーフがあふれている 京阪宇治駅の設計を手掛けた若林広幸氏は 大阪の南海電鉄の南海ラピートのデザインも 駅舎のデザインでも、京阪宇治駅の異空間さは際立つ。 外観の円の形

宇治の物語の続きも楽しみに

宇治の物語はこれまでも、これからも 物語の続きを楽しむように、宇治の街をたどっていく。 源氏物語ミュージアムを後にし、さわらびの道を引き 返す。行きしに見た神輿は神社の中へ。しばらくは入れ そうにないので、旅の最初の案内にあった施設へと。 歴史の遺構は時代を超えて再現されて 宇治はアニメの舞台にも こちらはワークショップの作品かな 今度は内部の展示もゆっくりと楽しもう また360度の動画で建物の振り返って 楽しい歴史公園。そして、茶づなの学芸員の中畑さんは 宇

宇治川の風景を眺めながら

宇治に広がる山と川の風景へ そして次に訪れたのは、宇治川の風景と一体となった 中村藤吉平等院店。1818年に建てられた旧菊屋萬碧楼 という歴史のある旅館が2006年に改修されてできた お店で、その建物が街と人とつながるデザインとして 2022年10月に新たにリニューアルオープンされた。 中村藤吉本店にも旅の最初に訪れた 日本茶の新しい可能性への思いも込められて 可能性が最大限に引き出されていることも評価されて プレゼンテーションの動画で、その内容も 宇治と人との結

旅では道中の風景の記憶もたどって

旅を繰り返し、振り返り、記憶をたどり 旅が終わればまた旅に出て、小さな旅を繰り返して。 関西に戻ってきたからにはまずは京都、そして奈良、 また京都への旅を続けよう。今回は京都でも少し南に 位置する所。前回と同じように橋の風景を越えていく。 振り返っては旅の記憶もたどる その頃から枚方つーしんでも 関西外語大学は枚方の街に建っている 少し離れた場所には御殿山キャンパスも こちらも日建設計が手掛けた施設 見上げれば空に一筋の飛行機雲 いつかの空の記憶もたどる 今

奈良の文化財は次の時代へ

いつかまた十一面観音菩薩立像にも会いに行こう 法華寺を後にして奈良の旅も終わりへ。小さな自転車 で西へと進むと、広大な敷地が眼前に広がる。法華寺 の西側に位置する平城宮跡歴史公園。ここは1300年に 築かれた都の遺構が今に残された場所。その文化財 は様々な研究が続けられ、保存されて次の時代へと。 広大な敷地にさまざまな施設が散りばめられる 平城宮跡は春の桜、夏のツバメのねぐら入り、秋の黄金 に輝くオギの穂、冬の星空の自然の風景も広がる場所 いつかまた平城宮跡の美しい風

コンベンションセンターの隣に建つのは

奈良の旅といえば鹿との出会いを楽しみながら 奈良県コンベンションセンターが作る新しい風景へ。 そしてコンベンションセンターが建てば、そこに必要 なものは国際的なホテルで、同じく2020年に開業した JWマリオット・ホテル奈良。JWはマリオットホテル の創業者のジョン・ウィラード・マリオットに由来 する名で、日本での1号店として奈良の地に誕生した。 それは奈良県で初の外資系ラグジュアリーホテルに マリオットといえば福岡でのホテルの風景を思い出す ラウンジではアフターヌー

奈良はいろんな鹿に会える所

今までもいろんな鹿との出会いを楽しんで また関西に戻ってきたからにはこちらの鹿に 旅で目にする動物たち。旅では風景や建物だけでなく、 オブジェや彫刻など、様々なデザインも楽しんでいる。 そして奈良といえば、やはり鹿。今までの旅でも鹿との 出会いに幸運を感じてきた。また関西にいるからには 細見美術館所蔵の春日神鹿御正体にも会いに行こう。 そして今回の旅では奈良蔦屋書店の鹿に会いに 春日神鹿舎利厨子は奈良国立博物館に そして奈良はいろんな鹿に会える所 ご当地ななみちゃ

奈良の素材が散りばめられた空間へ

図書館でゆっくりとする間もなく 次の目的地を目指し、奈良の街を北へと向かう。そこは 奈良市の中心部の県有地を活用して、新しいホテルや 会議場などが整備された場所。次に訪れたのは2020年 4月に開業した奈良県コンベンションセンター。建物 の外観は正倉院の校倉造りがイメージされて、内装に は奈良の素材を生かした空間づくりがなされている。 下市木工舎 市により鉋で仕上げられた吉野杉 吉野杉皮和紙という手漉き和紙は福西正行氏によって 木工作家の平井健太さんによるもの。吉野杉

その建物は図書館の役割を越えて

中川政七商店の本社屋を後にして 旅では風景はもちろんのこと、建物を巡る旅を続けて いる。市庁舎やホールや城跡、研修所、事務所とくれば、 次は図書館へ。図書館も旅先でめぐる建物のひとつ。 内部の写真は撮ることができないが、それでも内部の 空間を楽しみ、置いてある本に触れ、内部から風景を 眺めることもできる。やはり建物を巡るのは、外部から 内部へのデザインと空間の連続を楽しむこと。時間が あればソファにて、本を片手にゆっくりと過ごすのも いい。今回は旅の途中で、建物だけでも楽し

鹿のシルエットと○に七といえば

旅先の風景を楽しみながら コトクリエを後にし、奈良の街を北へと向かう。小さな 自転車でのんびりと。次に向かったのは、奈良の地に 建つ事務所の建物。その会社のことを知っている。奈良 の旅の途中で、大阪のルクアで、阪神梅田本店で、九州 ではアミュプラザにて、その店舗や商品を楽しんだ。 以前の奈良の旅でも、外観も空間も楽しんで その歴史のある会社は、常に斬新に 未来を切り開いていくようで それは自然体で、本質的で 新しい発想で、よりよいものを純粋に 追い求める形がそこ

建物は時に風景を作り出す

郡山城跡に広がる風景を後にして 北側の県道9号を東へ進む。ほどなく大和郡山市から 奈良市へと入り、流線型の柔らかなフォルムの建物が 見えてくる。その建物は既存の風景に変化をもたらす。 既存の街並みに、馴染む建物もあれば、新しい風景を 作り出す建物もある。そしてまたそれが奈良の風景の 一部となり、受け継がれて未来の風景を作っていく。 建物の設計監修は小堀哲夫建築設計事務所によって 小堀哲夫氏といえば北九州の旅を思い出す ゆるやかにつながる空間は動画にて 内部空間を構成

そして風景の一部となる建物へ

郡山城跡に広がる風景を楽しんで 建物にはあるべきところに建てられ、その役割を終え、 価値が認められ、別の場所に移されて、また新たな役割 が与えられるものもある。建物は新たな場所で、最初 からそこにあったように、新たな風景の一部となる。 以前も瓦をたどり楽しんだ 1908年に建てられた建物は、1968年にこの地へと 移築と呼ばれる技術には、驚かされるばかりだ。建物を 一旦全て解体して、同じように別の場所で建て替える。 建物が大きいほど、素材の数が多いほど、その作業は 難

風景をつくり、地域に根ざす建物へ

今回の旅は大和郡山市をスタート地点として 大和郡山市庁舎を後にして、しばらく進むと勾配屋根 の建物が見えてくる。やまと郡山城ホールは大ホール と小ホール、スタジオ、図書館、レストランなどの複合 施設で、広い敷地を利用して平面的に構成されている。 2001年に竣工した建物の設計は松田平田設計で その建物のネーミングライツを2017年に取得したの は大和郡山が創業の地でもあるDMG森精機株式会社 2022年から奈良にも本社機能を導入した建物には 前々回の奈良の旅で訪れた

次の日帰りの旅の始まりは

大阪の街に散りばめられた建物や彫刻も楽しんで 奈良への旅も楽しんでいる。そしてまた次の旅へ 大阪の街歩きが終われば、また小さな自転車を電車に のせ日帰りの旅に出る。京都、大阪の次はまた奈良へ。 前回の奈良の旅は奈良公園の周囲をめぐる旅。今回は 少し足を伸ばしスタート地点はJR郡山駅からにして。 金魚の世界も奥が深い。未知なる世界も楽しんで 設計は梓設計。そのコンセプトにもふれてみる 2022年に完成の新庁舎。その後、交流棟「みりお〜の」 が建設されて、2023年7月