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ミュージアムへのいざない。アートだけではない楽しみがある

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入り口までの期待感や周りの風景を取り込んでいること、アートの展示だけでないミュージアムの魅力。アートとよい関係をもつミュージアムに物語を感じる。素敵なミュージアムを求め旅に出よう。
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東大阪にあるANDO建築を訪れて

東大阪には魅力のある建築が散りばめられて ANDO建築はひとつのカテゴリーにも 近畿大学の東大阪キャンパスに散りばめられた様々な デザインの建築を楽しんだ。東大阪にある魅力のある 建築といえば、ANDO建築もそのひとつ。木々の中に ひっそりと建つコンクリート打ち放しのシルエット。 そこは偉大な作家の自宅の、いくつもの物語がつむぎ 出された書斎の側に記念館として2001年に開館した。 建物は地下に掘り込まれることで、雑木林に包まれる 司馬遼太郎は東大阪氏の名誉市民にも

きぬかけの路には美術館も

龍安寺を後にし、きぬかけの路を北へと小さな自転車 を走らせる。路の途中では、傾きつつある太陽の光に 染まる白亜の建物が、圧倒的な存在感で迫ってくる。 1966年に開館し、2018年にリニューアルオープン した堂本印象美術館。大正から昭和にかけて京都で 活躍した日本画家の堂本印象により、外観から内装 までのすべてが自らによってデザインされたという。 日本画の域を超え彫刻、陶芸、ガラス、金工、染色 なども手がけた、マルチアーティスト・堂本印象の 集大成として、75歳の時に建て

当時の感動を伝えるEXPO'70パビリオン

万博記念公園をぐるりとめぐり、EXPO'70パビリオン にやってきた。それは1970年に開催された大阪万博で は鉄鋼館という名で、前川國男によって手掛けられた。 閉幕後はパビリオンは解体され、残るのは太陽の塔、 日本庭園の迎賓館、大阪日本民藝館、それと鉄鋼館。 そこには1970年当時の最新・最高の技術が集結され、 コンサート等が開催されていた立体音楽堂「スペース シアター」やフランスの彫刻家フランソワ・バシェ氏、 音響技師のベルナール・バシェ氏によって鉄を使った 音響彫刻な

その建物は愛され使い続けられて

福岡にある日本を代表する建築家が設計した建物。 建築家の名は前川國男。1960年代後半から晩年に 国内各地の美術館を手掛けている。福岡市立美術館 は施設の老朽化により2016年から休館し、2019年 にリニューアルオープンした。建築家の熱い思いが つながれて、建物は愛され、使い続けられていく。 ちりばめられたデザインはこれからも生き続ける 建物そのものや、そこにある仕掛け。好きを考える それは館内の高さ3m、幅13mの壁に展開される 2022年12月までのKYNEによ

嵯峨嵐山文華館のもう一つの展示へも

旅先で楽しむミュージアム。ここ嵯峨嵐山文華館は、 元は2006年1月に開館の百人一首専門ミュージアム 「小倉百人一首殿堂 時雨殿」。2018年にリニューアル オープン後も、百人一首の展示が引き継がれている。 嵯峨嵐山文華館では百人一首にもふれることができる 和楽のサイトに藤原定家についての記事も 南蛮貿易でポルトガルからもたらされたカードを意味 するcarta(カルタ)。そのカルタの伝来が、かるたなど の室内遊びにつながった。室内遊びにはボードゲーム を楽しんで。南蛮貿

100年先への思いに応える美術館

ゼロからわかる江戸絵画を満喫した後は もちろん美術館の建築も楽しもう。すでに美術館が姿 を現した所から、あふれ出すメッセージに目が止まる。 その佇まいは喧騒を静寂へと導いていく。こぢんまり とした入口から吹き抜けの空間へ。統一された納まり によって、建物全体がそのデザインの気配に覆われる。 副館長による楽しい案内動画。英語も勉強しないと 様々なこだわりや思いが込められた福田美術館 福田美術館。オーナーの福田氏は、安田氏が日建設計に 在籍中に設計したポーラ美術館を見た上

旅先ではミュージアムも楽しんで

松尾大社の重森三玲による庭園を後にして、京都の 西側を小さな自転車でめぐる旅は北へと続く。その すぐ先の嵐山には、様々な見どころであふれている。 次は嵐山の桂川の側に建つミュージアムを楽しんで。 かつての阪急電鉄の保養所がホテルへとリニューアル 嵐山もまた訪れよう。今度はゆっくりと時間をとって 竹中工務店の設計施工の嵐山の風景に寄り添う建物 ここは嵯峨嵐山にゆかりのある芸術や文化にふれる所 旅先で楽しむミュージアム。そこには知らない世界が 待っている。江戸絵画や東海

植物や地形と寄り添うようにデザインされた建物

牧野富太郎記念館 内藤廣 1999 植物園には、今までも何度か訪れている。 その土地の植物や植物園のコンセプトなど により、様々な植物に出会うことができる。 今までで印象的な場所は、京都府立植物園や 但馬高原植物園、比叡ガーデンパークなど。 旅先で出会った高知県立牧野植物園もその ひとつで、中には牧野富太郎記念館が建つ。 牧野博士の蔵書やスケッチ、牧野文庫の展示 もあり、ファンにはたまらない場所である。 記念館は山並みように、うねる屋根を持つ。 抑えられた色彩と素材で

美術館は時代を超えてその先へ

京都市京セラ美術館。1933年にオープンのその建物は 公立美術館として日本に残る最も古い建築だという。 創建当時の和洋が融合した本館の帝冠様式。建築意匠 を最大限保存しつつリニューアルされ、伝統と革新 が混じりあう京都のランドマークであり続けている。 その美術館では、戦後に駐留軍に接収され展示室が バスケットボールコートになったこともあるという。 時は流れ現代へ。そして2014年、開館80周年を機に 京都市美術館将来構想が策定され、2015年の公募型 プロポーザルで青木淳・

旅では美術館にも立ち寄って

鳩居堂を後にして京都をめぐる旅は続く。寺町通りを 越え、御池通りから仁王門通りへ。今まで意識していな かった通りで旅を振り返る。そしてその先の美術館へ。 旅先の美術館は目的地のひとつ。その場所が持つ歴史、 建物に流れる歴史、内包されるアート、外部の彫刻など も楽しんでいる。次は建物自体に歴史をまとい、古さと 新しさが混じり合う京都を象徴する美術館へ向かう。 素敵なカフェへはまたいつか らせん階段にコンラッドとリボンチャペルを思い出す 美しくリニューアルされた京都市京セ

最後に教会と美術館を訪れて

五島の旅も終わりが近づき、帰りのフェリーの時間を 気にしながらも教会と美術館へ。最後まで五島の旅を 満喫しよう。五島市立図書館を後にし、まずはすぐ近く の福江教会へ。祈りの風景をめぐった旅の最後の教会。 夜にはライトアップで異なる印象にも ごとうチャンネルで武家屋敷通りについても学ぶ 天空の城ラピュタの制作のためにスタジオジブリへ もののけ姫の背景も山本二三氏によって描かれた 亡くなられたのはこの旅のほんの1ヶ月前のこと 旅の途中であった山本二三氏。 またその魂は

かつて軍艦島にあった風景へ

長崎への旅で軍艦島を訪れた。思いもよらず、軍艦島へ のフェリーに乗ることができた。徐々に軍艦のように 見える島が近づいてくる。軍艦島には、1890年に三菱 の所有となり1974年の閉山に至るまで、日本の近代化 を支える炭鉱として、そこに住む人々の生活があった。 軍艦島デジタルミュージアム。軍艦島の変わりゆく姿 とかつての風景をデジタルで展開し記録し続ける所 65号棟から70号棟、30号棟が調査された動画も いろんな角度から軍艦島を楽しんで そして訪れることのできない建

そのやさしい歌は未来へとつながって

長崎が生んだスターといえばやはりこの人。来年2月 のランタンフェスティバルの皇帝役にも選ばれている 福山雅治さん。そのやさしい歌声に心ふるわされる。 ランタンフェスティバルにもいつか訪れてみたい 故郷の祖母への想いは歌い継がれて そして思い出すのが、長崎の豊かな島々を舞台にした 青いぜ長崎ブルーアイランズプロジェクト。壱岐島で 見た風景が懐かしい。長崎に広がる島々に憧れている。 そして青い海に浮かぶ長崎の島々へも 壱岐島への旅は大切な思い出となった それと長崎のス

石とガラスとスチールが織りなす空間へ

出島を後にして長崎の旅を続けよう。港の風景の中 を進み、海沿いに建つ美術館へ。そこは2005年に竣工 した隈研吾氏により設計された長崎県美術館。運河を またいで建つ、ルーバーのデザインが際立つ建築だ。 ここには都市型のヨットハーバーも 軽やかに連なっていく石材、風景を映しこむガラス、 リズミカルに並ぶスチール。素材が語りかけてくる 水と運河と自然とつながる長崎県美術館 美術館では、建築そのものも楽しもう 開放的な長崎県美術館は地域と人をつないでいく 動画で長崎県美