sRGB/Adobe RGBが必要なカメラの特殊事情。パラダイスシティーは幻想であった。
前回までご説明した、プロファイルによる色変換をの全体像がまだまだ抽象的だと思います。それは、実際にユーザーがどのように、ワークフロ内で各アプケーションやデバイスを、操作するのをお見せしていないからだと思います。
それでは、早速カメラ撮影からプロファイルの扱いについて説明を開始したいとおもったのですが、、、
どうしてもうまく、話をスタートできませんでした。
思考をめぐらせつつ、なぜ話をスタート出来ないのか、やっと気付くことができました。
というのは、カメラはカラーマネジメントシステム(以下CMS)内でも特殊なデバイスだからです。
そのカメラというデバイスの特殊性を、本日はお話ししたいと思います。
まずは復習もかねてCMSの色を正確に伝達する仕組みをご説明します。
インプット・アウトプットデバイスそれぞれの役割は下記になります。
個々のデバイスはそれぞれ、
自デバイスの入力→PCS
PCS→自デバイス
の正確性を保証し、CMS全体の正確性が成り立つのです。
中でもインプットデバイスについ掘り下げてみましょう。
インプットデバイスは代表的なモノとして、スキャナとカメラを上げることが出来ます。
まずスキャナですが、最近はあまり制作現場では見られなくなりましたが、ポジ・ネガなどの透過原稿(光を通して絵柄を入力)や印画紙や紙などの反射原稿(光を反射させ絵柄を入力)を入力する装置です。
原理的には、光源があって、原稿を透過もしくは反射させてCCDセンサで光を読み取り、デジタルデータにします。
スキャナは光源やCCDセンサが固定さえており(走査はしますが)、物理的な動作条件は安定し、原稿も平面なものに限られ、入力はとても安定しており、プロファイル作成は容易です。
しかし、カメラはどうでしょう、様々な日照条件・被写体までの距離、被写体は立体的から平面的なものまであり、動作条件はスキャナと違ってとても流動的です。ゲッソリ
プロファイル作成の条件は、動作条件を一定にさせることですので、そもそもプロファイルがあまり役に立ちそうにもありません。もちろん、日照条件や被写体ごとにプロファイルを作成してもいいかもしれませんが、ものすごい数のプロファイルを扱うことになりそうです。
またカメラの役割は、被写体の忠実な色を入力するだけではなく、綺麗な絵を作ることでもあります。
実際に私たちが目にしている色と、写真の色というのは、実は結構かけ離れているのです。
それはカメラは画像を入力後、青空をより青く、人肌をきれに、赤い花をより赤々など綺麗な絵作りを行っているからです。
また、カメラマンは露出時間や・シャッタースピードなどを駆使して、よりアーティスティックな絵作りをしてます。
そうです、私たちが潜在的にカメラに期待するのは、忠実な色再現ではなく綺麗な絵作りなのです。
※ブツ撮りという、商品を忠実に再現させる撮影もありますが。
このような経緯から、カメラのプロファイルを作成するケースは少ないようです。
しかし、プロファイルなしで撮影データをを印刷してしまうと、プリンタやモニタからの出力がデバイスごとに変更され困ったことになります。
そこで、仮想的なRGB色空間が登場します。カメラマンやデザイナーの皆さんもよく耳にする、sRGBやAdobe RGBがその代表例です。
これは、カメラやモニタなどが、メーカーや製品ごとにあまりも出力がバラバラすぎると困るので、仮想的な色空間を定義しておき、各メーカーはその仮想色空間の再現を目指して製品を製造していこう、というために考えられました。
カメラで行う絵作りも、モードで仮想RGB空間を指定しておき、その中で行うようになっています。
この色空間に対応するプロファイルも作られており、実際にRGBとLab値が紐付いており、その他のプロファイルと同様に使うことが出来ます。
仮想色空間のポイントは、
通常プロファイル作成ではデバイスの色再現特性が始めにあり、それをICCプロファイルに記録し色空間定義します。
それに対し、仮想色空間では、色定義が先で、その実装を実現する製品を後から開発します。
つまり、定義・実装の順番が逆になっていることです。
そのため、カメラマンから入稿されるデータには、sRGBやAdobe RGB等の仮想色空間のプロファイルが添付されていることが多いです。
今日はここまでとします。
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私たちが見ている写真や印刷物は、実は現実の色でなく、人間が綺麗と色に作り替えられていたのです。
私はこれを知ったとき少なからずショックを受けました。
ここで、Guns N'Rの代表曲「Paradise City」の歌詞の一部を引用します。
もしかして、これも写真と一緒で、草原くすんだ緑で、女の子たちもそんなにかわいくないのかも知れません。
わたしの中学生の頃の夢がまたひとつ壊れました。
パラダイスシティーは幻想でした。
これ以上、若き日の幻想が壊れないうちに、
今日もお粗末様でした。
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