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伝統産業の顧客価値を高めた関市・福田刃物の事例

日本の伝統的な刃物の産地はどこでしょう?

有名な産地は以下の3つです。

  1. 大阪府堺市: 堺市は日本の伝統的な刃物産業の中心地の一つです。特に「堺包丁」は高品質で、プロの料理人からも高い評価を受けています。堺の刃物は、その鋭さと耐久性で知られています。

  2. 新潟県三条市: 三条市もまた、刃物生産で有名です。特に金物産業が盛んで、多様な種類の刃物が生産されています。農具や工具も含めた広範な製品が製造されています。

  3. 岐阜県関市: 関市は「刃物のまち」として知られ、700年以上の歴史を持つ刃物産業があります。伝統的な刀鍛冶の技術を受け継ぎながら、現代の技術も取り入れているため、高品質な包丁やハサミなどが生産されています。

日経新聞(5月20日付)に、関市で創業127年の福田刃物の「KISEKI:」が紹介されていました。

福田刃物は2022年にクラウドファンディングで同商品を販売し、5日間で1450本完売し、1500万円近くを集め、翌年の日経BPのマーケター・オブ・ザ・イヤーに選出されました。

福田刃物は3万円台という当時空白だった価格帯で、富裕層、訪日外国人、料理好きなヘビーユーザーをターゲットにして、高品質な超硬合金包丁の開発に挑みました。代表の福田氏と3人のエンジニア、外部デザイナーでチームを組み、ゼロベースで製造工程を自動化するまでの開発を行い、ユーザーテストやA/Bテストを通じて改善を重ね、「KISEKI:」を発売しました。また、ブランド認知向上に努め、地元の料理店でのユーザーテストや「KISEKI:の会」といったコミュニティ活動を通じて、ユーザーとの接点を大切にし、体験を重視した販売戦略を実施しました。さらに、国内外での販路拡大にも積極的に取り組み、プロダクトとプロモーションの両輪で成功を収めています。

福田刃物にはマーケティングや職人といった職種はなく、エンジニアとして商品をゼロベースから作っているそうですが、マーケティングの顧客価値志向に根差した製品開発を行っていることがわかります。

他の伝統産業もマーケティング思考を実践することでもっともっと価値を増大させることができるのではないではないだろうかと思わせてくれる事例です。

参考リンク:

先日の「伝統産業」×「スタートアップ」のOmomukiも岐阜県関市の包丁です。


#日経COMEMO #NIKKEI

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