価格設定の6ステップ その②~マーケティングマネジメント第16版を読む

価格戦略第3回目は価格設定の6ステップその②です。

その①の記事はこちらです。
その①の記事では、価格目標を明確化需要弾力性の把握コスト試算競合品価格の分析まで進みました。
いよいよ後半では価格設定方法の選択→最終価格の決定となります。
では、順番に説明します。

価格設定方法の選択

ここまでのステップにおいてコストや競合そして顧客の価格への反応度合いを分析してきました。
あらためて3つの視点から価格設定の方法を選択します。
3つの視点とは3C分析のことです。
3Cは、Cost(自社のコスト)、Competitor(競合価格)、Cusotomer(顧客の価格反応度合い)のことです。
これらすべての視点を網羅する価格設定ができることが理想ですが、現実的にはどれかを重視する形になります。価格設定の方法には5つあります。順番に説明します。

マークアップ価格設定

自社のコストに標準的な利幅を乗せる方法です。要するに、諸々のコストが700円として、利益を300円乗せて、1,000円で販売します。これは、3Cのうちの自社のコストだけに注目した方法であり市場性は全く踏まえていません。

目標利益率ベースの価格設定

マークアップと大きな差異はないですが、販売金額に対する目標の利益率ベースで設定する方法です。卸売や小売ではよく用いられる手法です。

顧客経済価値ベースの価格設定

顧客視点での価値をベースに価格設定をする方法です。例えば、どちらも原価が同じ300円のAとBという製品があったとします。顧客が認めるAの価値が500円、Bが1,000円だっとすると、利益率に関係なく顧客が認める価値で販売するものです。

競争ベースの価格設定

競合企業(主にリーダー企業)の価格に基づいて価格設定をします。コモディティ商品は差別化要因が少ないため競争ベースにならざるをえません。

オークション型の価格設定

日本ではヤフオクくらいしか思い浮かばないのですが、過剰在庫の処分などの際に用いられ人気が高まっています。

以上、5つの中ではマーケター視点では顧客経済価値の価格設定が最も望ましいと思われますが、製品のライフサイクル、社内ルールや商慣習によって対応することが必要になってきます。

最終価格の設定

上記の価格設定方法に基づいて価格を決定します。

価格は一つとは限りません。一回の購入量が大きかったり、頻繁に利用する顧客にはその分の価格メリットを生じさせることで顧客のロイヤルティを高めるということもあります。また、需要の時期に応じて価格を変動させることもあります。
最近ではスポーツイベントなどのチケットの販売度合いで価格を変動さえるダイナミックプライシングなどの手法も用いられるようになりました。

頻繁に価格が変わると顧客の不満や不信を買いかねませんので慎重に、そして、正当性を持たせる必要はありますが、従来のやり方とは違う価格設定の方法を常に考える姿勢は持っておいてもいいでしょう。

まとめ


今回は価格設定の方法と最終価格の設定について説明しました。
価格設定にもイノベーションの糸口はあります。
自社の値付けが利幅の確保と競争ベースの価格設定に重きが置かれすぎている場合は注意が必要です。
新たな顧客価値の創出を改めて検討してみましょう。


最後までお読みいただき有難うございました。




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