価格戦略の役割と価格心理について〜マーケティング・マネジメント第16版を読む

今回から第11章の価格戦略に入ります。

価格戦略の役割

価格戦略は、マーケティング・ミックスの中で唯一利益を生み出す要素とされます。
というのは、価格を決めるのはそれを買う顧客だからです。
実際に値付けをするのは会社ですが、買うかどうかの決定権は顧客が持ちます。
他のマーケティング・ミックスは顧客に価値を知覚してもらうための投資であるのに対して、価格戦略はそれらの活動の成果となって表れるともいえます。
それだけに適切な価格設定ができなけらば顧客に受け入れられず売り上げも上がらない、もしくは、本来もっと得られたはずの利益を獲得できないという結果に陥ってしまいます。
顧客の価格に対する情報感度は著しく上がっています。スマホを手元に持っていつでもどこでも価格比較ができるようになっています。
それだけに、マーケターは戦略、ポジショニング、ターゲット市場の変化に合わせた価格設定を円滑に行うことが必要になっています。

消費者の価格心理を知るには?

顧客は価格を見て安いか高いかを判断して買うか、買わないかを決めます。
安いか、高いかは顧客が決めることです。
では、どうやって決めるのか?
顧客の価格についての心理状態を知るためのキーワードが3つあります。

参照価格
顧客が過去の購入経験から覚えている価格や「通常小売価格」などの情報などが参照価格として購入意思決定に影響を与えます。
マーケターは、自社製品が何をベースに参照されるのかについて注意しなくてはなりません。
例えば、プレミアム製品として値付けしているのに顧客が一般的な商品の価格を参照している場合は、当然、顧客は「高い」と判断して買ってくれません。
その場合、マーケティング施策のどこかに問題があるかもしれないので全体のミックスを検証してプレミアム製品として認識されるように練り直す必要があります。

イメージ・プライシング
価格を品質の目安とする顧客もいます。
香水やブランド服など高い値段のものを身につけることによってステータスを感じる顧客もいます。
ただし、この価格に妥当性を持たせるためには、独自性や希少性、真正性といった点を維持する必要があります。

価格設定のキュー(手がかり)
500円ではなく、490円の値付けをする(端数価格)ことで割引、値引き感を持たせることはよく見受けられます。
高級品ではあまり有効な戦術ではありません。
また、常態化すると慣れてしまって効果が薄れてきます。

まとめ

価格戦略の役割と価格心理について説明しました。
値付けは会社の利益を大きく影響するものであり、また、マーケティング活動が正しく機能しているかを判断する基準となるものです。
また、それの成否を決めているのは顧客心理によるところが大きいというのも事実です。
次回以降、さらに価格戦略について深めていきたいと思います。

最後までお読みいただき有難うございました。


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