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インフルエンサーマーケティングを考える 第3回- 「中の人」

企業の社員、いわゆる「中の人」をSNSにおける発信者からインフルエンサーへと育てる試みを行っている企業の事例は数多くあります。以下に、代表的な企業の取り組みを紹介します。

サントリーの「社内インフルエンサー」活動

サントリーでは、社員が「社内インフルエンサー」として、自社の商品やブランドに関する情報をSNSで発信する取り組みを行っています。例えば、新商品のレビューやエピソードが社員から直接消費者に共有されることで、親近感が生まれ、ブランドへの信頼感が高まると同時に、消費者の購買意欲を刺激しています。また、バーチャル社員の「山鳥水生(やまとりみずき)」さんが情報発信を行い、さらに親しみやすさを加えています。

トヨタ自動車の「トヨタイムズ」

トヨタは、自社の情報発信プラットフォーム「トヨタイムズ」を活用し、社員が自社製品や技術に関する情報を発信しています。社員や役員が自ら出演し、自社の取り組みや技術革新について伝えることで、トヨタブランドの信頼性とイメージ向上に寄与しています。

DELLの「Social Media and Community University (SMaC U)」

DELLでは、社員がソーシャルメディアでのエンゲージメントを高めるためのトレーニングプログラムを提供しています。このプログラムを修了した社員は、自社製品に関する投稿を行い、顧客との信頼関係を築いています。社員が自社の顔として、技術サポートや製品紹介を行うことで、DELLのブランドイメージ向上に貢献しています。

これらの事例は、企業が社員をインフルエンサーとして活用し、ブランドの信頼性や消費者との関係を強化していることを示しています。社員を通じて消費者との距離を縮めることで、より親しみやすく、信頼できるブランドとしての位置付けが強化されています。

「中の人」インフルエンサーの課題

FacebookやTwitterの普及に伴い、堅いイメージの大企業の「中の人」による親しみやすい発信が親近感を生み好評を得た時期がありました。「中の人」の発信は、中小企業でも導入しやすく、積極的に運用している企業も多く見られます。ただし、こういった発信には課題もあります。関わる社員が限られていると発信がワンパターンになりがちであり、業務そのものが属人的であるため、その社員がいなくなると発信が途絶えてしまうというデメリットもあります。

企業がSNS活用を促進するためには、全社員の関与を促し、成果指標を見直すこと、さらにはユーザーとの関わりを深めることが重要です。

まとめ

「中の人」を活用したインフルエンサーマーケティングは、ブランドと消費者の距離を縮め、より親近感を持ってもらうための効果的な手法です。しかし、その運用には課題もあり、社員一人ひとりの関与が必要不可欠です。企業全体で取り組むことで、より強固なブランドイメージを構築し、消費者との信頼関係を深めることができるでしょう。


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