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生産性向上のためのメンタルヘルス対策


健康経営

メンタルヘルス対策

  • 成果=労働時間×能力×心身の状態

  • 企業におけるメンタルヘルス対策は、企業の目的である企業価値の増加(利益の獲得)に直結する

健康経営の意義

  • 健康経営とは、従業員の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める「投資」

  • 健康管理を「経営的」視点から考え、「戦略的」に実戦する

経済産業省「健康経営推進について」(2020年)
企業が経営理念に基づき、従業員の健康保持・増進に取り組むことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や組織としての価値向上へ繋がることが期待される。
経済産業省「健康経営推進について」2020年の報告書

経済産業省「健康経営推進について」2020年の報告書
  • 「経済産業省」と「東京証券取引所」は、健康経営に優れた企業に対し、当該企業の株式を「健康経営銘柄」として選定している

  • 「経済産業省」と「日本健康会議」によって顕彰制度(※)が2016年度からスタート

    • ※健康経営優良法人 大規模法人部門、健康経営優良法人 中小規模企業部門

NIOSHの健康職場モデル

  • 米国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health :NIOSH)

  • 「従業員の健康と仕事に対する満足度」は、「仕事の生産性」と相互作用がある

  • 「組織特性(※1)」が、「組織の健康(※2)」に大きく影響を及ぼしている

    • ※1 マネジメントの方式、組織風土、組織の方針

    • ※2 生産性、健康・満足感


ワーク・ライフ・バランス

労働契約とワーク・ライフ・バランス

  • 労働者と使用者の合意によって成立する労働契約は、仕事と生活の調和にも配慮すべきとされている

■労働契約法第3条第3項
労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。

六法

仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の定義

  • 2007年12月に「仕事と生活の調和推進官民トップ会議」で2つ策定された

    • 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章

    • 仕事と生活の調和推進のための行動指針

仕事と生活の調和推進のための行動指針(3つ)

  • 1,就労による経済的自立が可能な社会

    • 人物本位による正当な評価に基づく採用

    • パート労働者などが正規雇用へ移行しうる制度づくり

    • 就業形態にかかわらない公正な処遇や積極的な能力開発

  • 2.健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会

    • 労働時間関連法令遵守の徹底

    • 長時間労働の抑制、年次有給休暇の取得促進などのための、労使による業務の見直しや要員確保

    • 取引先への計画的な発注や納期設定

  • 3.多様な働き方・生き方が選択できる社会

    • 男性の育児休業などの取得促進に向けた環境整備

    • 女性や高齢者などへの再就職、継続就業機会の提供

    • 就業形態にかかわらない公正な処遇や積極的な能力開発

    • 柔軟な働き方(※)を支える制度の整備と利用しやすい職場風土づくり

    • ※育児、介護休業、短時間勤務、短時間正社員制度、テレワーク、在宅就業など、

ワーク・ライフ・バランスのメリット

  • 個人

    • 健康が保たれる

    • 仕事とプライベート両面(※)の充実

    • ※育児、介護、地域活動、自己啓発

  • 企業

    • プライベートに費やす時間捻出の試行錯誤 → 生産性向上が期待できる

    • プライベートの充実 → 新たな気づき → 仕事への影響が期待できる



労働時間の改善

労働時間等設定改善法の概要

  • ワーク・ライフ・バランスを実現させるためには、「長時間労働の削減」が重要な課題

  • 労働時間については、法律「労働時間等設定改善法」により、労働時間等の改善に関する事業者の努力義務を規定している

労働時間等設定改善指針

  • 労働時間の短縮

  • 週40時間労働制の導入

  • 年次有給休暇の取得促進

  • 時間外・休日労働の削減に努める

時間外労働の削減

  • 労働時間については、原則として「1週間に40時間」、「1日に8時間」を超えて労働させてはならない

■労働基準法第32条第1項
使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。

六法

労働基準法第32条第2項
使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

六法

時間外労働の法的上限

  • 時間外労働と休日労働の合計

    • 1ヵ月で100時間未満

    • 2~6ヵ月平均で80時間以内

  • 時間外労働が、1年間で720時間以内

  • 特別条項の適用は1年のうち6ヵ月まで

有給休暇の取得

  • 有給休暇とは、労働者が賃金を受けながら休暇を取ることができる制度

  • 労働者の心身のリフレッシュや自己啓発の機会といった効果がある

■労働基準法第39条第1項
使用者は、その雇入れの日から起算して6ヵ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。

六法

有給休暇の取得「年次有給休暇の付与」

  • 計画有給休暇(※)

  • ※1年間に新たに10日以上の年休を取得できる労働者には、そのうち5日の年休については、会社側が時季を指定して取得させなければならない。


アブセンティーズムとプレゼンティーズム

休職・退職者の状況

  • 休職(※):6.7%(50人以上の事業所に限ると26.4%)

    • ※過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1ヵ月以上休業した労働者がいた事業所の割合

  • 退職(※):5.8%(50人以上の事業所では14.6%)

    • ※退職した労働者がいた事業所の割合

アブセンティーズム

  • 休職してはいないものの遅刻、早退そして欠勤が多くなっている労働者の状態

プレゼンティーズム

  • 出勤はしているものの、体調不良などにより生産性が低下している労働者の状態

  • 企業側で見れば、間接的に健康関連のコストが発生している状況

アブセンティーズムとプレゼンティーズム関連データ

  • 2015年度に東京大学政策ビジョン研究センターが実施した調査研究

    • 医療費:15.7%

    • アブセンティーズムは4.4%

    • プレゼンティーズムが77.9%


出典:ポケットセラピストマガジン

ワーク・エンゲイジメント

ワーク・エンゲイジメントとは

  • 以下の3つがそろった状態をワーク・エンゲイジメントという

    • 「仕事に誇りややりがいを感じている」(熱意)

    • 「仕事に熱心に取り組んでいる」(没頭)

    • 「仕事から活力を得ている」(活力)

ワーク・エンゲイジメントが高い人の特徴

【健康】

  • 心身の健康が良好。睡眠の質が高い

【仕事・組織】

  • 職務満足感や組織への愛着が高い

  • 離転職の意思や疾病休業の頻度が低い

【パフォーマンス】

  • 自己啓発学習への動機づけや創造性が高い

  • 積極的

  • リーダーシップ行動が多い

ワーク・エンゲージメントを高める要因

  • 「仕事の要求度―資源モデル」:ワーク・エンゲージメントを高めるための考え方の枠組み

【仕事の要求度】

  • ストレス要因

    • 仕事の量的質的負担

    • 身体的負担

    • 対人葛藤

    • 役割のあいまいさ

【仕事の資源】

  • 職場の仕事が有する強み

    • 仕事の裁量権

    • 上司や同僚からの支援

    • 仕事の意義

    • 組織との信頼関係

【個人の資源】

  • 個人が有する強み

    • 自己効力感(自分がある状況で必要な行動を上手に遂行できていると認識していること)

    • レジリエンス(抵抗力、耐久力、精神的回復力など)

仕事の要求度―資源モデル

  • 「仕事の要求度―資源モデル」は、2つのプレセスから構成されている

    • 動機づけプロセス

    • 健康障害プロセス

  • 動機づけプロセス

    • 仕事の資源、個人の資源→ワーク・エンゲージメントを高める→生産性向上

    • 仕事の資源、個人の資源は、ストレス反応を減少させます。

  • 健康障害プロセス

    • 仕事の要求度(仕事量や仕事の質)が高い→ストレス反応→生産性低下

出典:公益財団法人神奈川県予防医学協会


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