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Amaranthe / Manifest

Amaranthe(アマランス)は2008年結成、2011年デビューのスウェーデンのメタルバンドです。メインの女性ボーカルと絡み合う男声ボーカルで、女性ボーカルパートは突き抜けたポップさが特徴的。今は女声ハイトーン、男声クリーントーン、男声グロウルのトリプルシンガー体制です。北欧メタルの一線級バンドらしく作曲能力が高い。ABBA的な展開が美しい耳に残るフックがあるメロディーとトリプルボーカルによる混声の迫力、北欧メタルの最新プロダクションによる高いアグレッションを混ぜ合わせたハイテンションなメタルミュージックを奏でています。本作は2020年作の6thアルバム、順当な進化を遂げています。良盤。あとは曲ごとのキャラクター、バリエーションと、一曲の中のドラマ性がもう少し上がると更に突き抜けた存在になるでしょう。

2020年リリース

★ つまらない
★★ 可もなく不可もなく
★★★ 悪くない
★★★★ 好き
★★★★★ 年間ベスト候補

1.Fearless
荘厳なSEからスタート、いきなりフルスロットルで刻みとバンドが入る
ザクザクしたギターとキーボードのリフ
緊迫感のある歌メロ、女声ハイトーンと男声グロールの絡み合い
サビで転調、開放感がある
ABBA的というか、こういう転調を用いたメロディは北欧勢のお家芸
Beast In Black(BIB)もうまいがAmarantheもうまい
サビの転調はむしろキーを下げているのだろうか、それによって歌いだしを低めにしつつ開放感があり
その後の音の上昇幅を確保しているように聞こえる
間奏を経てのクリーントーンでポップなエフェクトがされたボーカル
こういうパートが差し込まれるところがこのバンドの魅力的
怒涛の勢いのまま終了
★★★★

2.Make It Better
ミドルテンポでヘヴィなリフ
ボーカルとリズムだけになりポップなボーカル、コンプレッサーが強め
男声グロウルが入ってきてロック感あるコーラスへ
ヘヴィなリフを挟んで2番、ヴァースを今度は男性のクリアボーカル
こちらは同じメロディだがロック色が強い、スクリーム
だんだん熱量が上がっていきセカンドコーラス
サビでもメロディが途中から展開する
シンガロングなグロールパートを経て間奏、オリエンタルなメロディが出てきて雰囲気を変える
ふたたびコーラス、女声コーラスと男声グロールが絡み合う
男声グロールのシンガロングパートからツインリード、終曲
★★★☆

3.Scream My Name
ザクザクしたギターの上で連続した電子音、ディスコというかテクノ的
最初からハイトーンでハイテンションな女声ボーカル、男声グロール、ポップ色が強いコーラス
曲の展開が早い、次々と場面が切り替わる
途中ではラップのようなマシンガンで言葉を吐き出すパートもある
コーラスに入るときにコード感が変わる
サビの歌メロはアレンジの激烈さがなくなったとしてもポップスとして成り立つ完成度
この音の緩急、落差があるからこそのカタルシスではあるが
歌メロとアレンジのふり幅が自然に溶け込んでいる
★★★★

4.Viral
リードトラック、サビのリフレイン的なボーカルがわずかに入り、少しヘヴィなリフに
ミドルテンポでどっしりしたリズムの上で女声~グロール~サビの順にボーカルが展開
サビはシンガロング、アンセムな上昇感とシンガロングなフレーズから構成
男声クリアボーカルの存在感がある、男声はクリアとグロール、女声と3人のボーカルが確かいたはず
楽器隊も歌えるので合唱力が高い
ところどころエレクトリックドラム的な音が入る
四つ打ちのディスコリズムのシンガロングな曲だが、踊るよりはヘドバンなノリ、リフの力が強い
★★★★☆

5.Adrenaline
ヘヴィなリフと電子音、BIBほどディスコ感はないがそれはコード進行やヘヴィなギターのパートだろう
男声ボーカルが1番から出てくる、グロールと掛け合った後コーラスへ
パワーメタル、シンフォニックメタル的なメロディをこのバンドらしく電子音とポップさを加えている
サビのメロディが魅力的、長めで展開が続くメロディ
2回目のコーラスの後抒情的なギターソロ
ボーカルパートへ、ブリッジだが展開してかなり盛り上げる
そこからサビへ、メロディが伸縮する
★★★★☆

6.Strong
ザクザクした刻み、ミドルテンポでまさにABBAリズム、ダンシングクイーンとかのややスローなリズム
女声ボーカルで歌い上げる、声のサンプリングがリフにも混じる
歌モノの印象が強い、Endlesslyの絶唱でも思うがそもそもこの人は歌唱力が高い
女声主体のまま2回目のコーラスまで、力強い声が曲のクライマックスを作っていく
サビの後、声が入り組んだパートを経て再びコーラスへ
コーラスもポリフォニーというか、自由に飛び回るボーカルとメインライン
To Be With Youのサビのように、高音で遊ぶパートがある
ボーカルパフォーマンスを堪能できる曲
★★★★☆

7.The Game
男声からスタート、男臭い
ブリッジで女声とグロール
コーラスは男女混声、少し節回しが入る
サビはメロハー的
ヴァースではポップなメロディながらところどころブラストが入るなど、アグレッションが足されている
リズムパターンも凝っている、サビに入ってもリズムがおとなしくならない
ところどころに手数の多い装飾が入る
曲の景色が変わっていく、グロールパートを経てツインリード
適度にメロディアスでコンパクト、全体がしっかり作曲されて編曲されていることを感じる
アドリブ性をほとんど感じない、多少の余白はあるがそのパートはコンパクト
★★★★

8.Crystalline
バラード、弦楽器とピアノの響き
女声ボーカル、アナ雪に使われてもおかしくない冷たい感じの美しいメロディ
コーラスを経て男声ボーカルへ、芯のあるギターとドラムが入ってくる
男声ボーカルも歌い上げる、デュエット的な作りか
セカンドコーラスは男声のみ
けっこう高音は丁寧な歌い方をしている
女声ブリッジが入り、混声コーラスへ
コーラスを繰り返す
★★★☆

9.Archangel
電子音のイントロから勢いよく飛び出してくるリフとバンド
グロールからスタート、男声グロール~男声ボーカル
アグレッション強め
コーラス、ハイテンションで勢いがある
電子音強めのリフ、再びグロールパートへ
女声ブリッジ、声の絡み合いが上手くなっている
混声コーラス、このバンドならではのハイテンションなサビ
コーラスから間奏、しっかり作りこまれたパート
バロック的なキーボードの反復フレーズに女声クワイアが乗り、シーン展開
たたきつけるドラム、リズムを経てブリッジ
ドラムが雨音のように落ちてくる
疾走する混声コーラスへ
勢いよく終曲、歌メロとリズムのユニゾンもうまい
★★★★☆

10.Boom!
ヘヴィなリフ、ややファンキー
レイジアゲインストザ・マシーン(RATM)的なスタート、ちょっとラップメタル的なヴァース
メロディアスなブリッジ、リズムは少しひっかかるようなヒップホップリズム
ギターの音が気持ちいい、ダウンチューニングしているのだろうか、ヘヴィで弦がゆるめなしなやかな音がする
どこかユーモアがある、楽しい雰囲気があるコーラス
途中で完全に音が終わっていきなり語りが入り、かなりヘヴィなリフとリズム
マシンガンラップが少し飛び回り、男声スクリーム
ラップパート、グロール担当がやっているのかゲストか、堂に入っている
そこからサビへ
ドカンと終わり
★★★★

11.Die and Wake Up
レゲトンを連想させるリズムでスタート、女声が入ってくる
コーラスでポップさが増す、やはりレゲトンというか、レゲエのリズム感
コーラスも後半がやや明るい
ナノウォーオブスティールのノルウェジアンレゲトン的なメタルレゲトン、歌詞はまともだろうけれど
コンパクトながら雰囲気を変える間奏
女声ブリッジからコーラスへ
コーラスで入る合いの手が耳に残る
身体が揺れるリズム
★★★★

12.Do or Die
疾走する曲、爆走ではないが疾走感がある
男声からグロールでブリッジ、混声コーラス
シンガロングのアンセム的なメロディ
展開の多いギターリフ
メロディアスな男声ボーカルヴァースからグロールブリッジ
再び男声ヴァースでグロールと絡み合い、混声コーラス
バックのリズムが変幻自在
Die! Die! Die! Die!の掛け声、マノウォーか
こういうダメ押し的にテンションを上げてくるのがうまくなった
メロディアスでコンパクトなギターソロへ
混声コーラス、声が強い
電子音から一気に終曲
★★★★☆

全体評価
★★★★☆
着実な進歩を遂げている、男声クリア、男声グロール、女声クリアの絡み合いが増えた
女声が一番歌唱力はあるが、それぞれのボーカルの強み、技量も十分
印象的なフレーズはほぼボーカルメロディになるが、楽器隊も存在感は十分で編曲能力が高い
アドリブソロみたいなものはないわけではないがかなりコンパクト、間奏部の編曲が練られている
また、歌メロのバックでリズムやコードが細かく表情を変えていて飽きさせない
全体の絡み合いでアルバム全体のバリエーションを豊かにしている
娯楽性が高く、何度も聞きたいアルバム
ただ、超絶ボーカルによる「あと一歩」の上昇や、各曲のキャラクター立ちなどはやや弱い
もっとポテンシャルがあると思う

リスニング環境
朝・家・ヘッドホン

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