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Alternative(オルタナティブ)ロック史⑩:2020年

1966年から2019年まで、10年代区切りで見てきた「オルタナティブロック史」。全10回(序~⑨)の連載でひとまず完結しました。未読の方は序文からどうぞ。

ここからは現在進行形で、1年単位で追記していこうと思います。連載は2019年で終わっているので、2020年から。

2020年にリリースされたアルバムから新規性・話題性のあるものを選出し、その年のオルタナティブロック、インディーズロックの潮流、トレンドを見ていくというのがこの企画です。次のフォーマットで企画しています。

・1年あたり10~15枚程度を選出します。

・過去の連載で一度選出したアーティストはもう選出しません。1アーティスト1枚(だから、Nirvanaは「Bleach」を選んだので「Nevermind」は選出せず)です。
※主眼として「新しいトレンドや潮流を見る」ことなので、ここで名前が出たアーティストで気に入ったものがあれば、他のアルバムは辿れるからです。


2010年代の振り返り

今までの連載で、2010年代の流れを振り返るとけっこうUSとUKで動きが違ったように思います。個人的には、下記のような流れで捉えています。

US
・バンドからソロアーティストが中心に、おそらく制作環境の変化(一人でDTMでバンドサウンドが出せる)も大きい
・「白人音楽」としてのロックと「黒人音楽」としてのヒップホップ、といった90年代後半からの対立構造は形骸化しつつある(オルタナティブR&Bなど黒人音楽からのロックへの接近が目立つ)
・黒人音楽がロック的、ハードロック的なニュアンスを取り入れたのはBLM活動も一因だと思われる(「社会に対するアジテーション」の象徴としてのロックサウンド)

UK
・ソロアーティストからバンドに回帰しつつある。2016年のブレクジット以降、社会的なテーマを扱うバンド、サウンド的にはポストパンク的なサウンドを持ったアーティストが増えてきた

共通
・LGBT+、女性アーティストの躍進

それでは、2020年、「20年代の幕開け」はどんなサウンドだったでしょうか。見ていきましょう。

2020.ライブシーンの消失

2020年、最大の衝撃はなんといってもコロナ禍により「ライブシーン」が突如消失したこと。前年までは予想されていなかった急激な環境変化により音楽業界、ロック界も多大な影響を受けます。音楽的にはそれまでのオルタナティブR&Bの台頭や女性、黒人といった(ロック界における)少数派の台頭、がより顕著に。逆に言えば、「ライブシーン」と密接にかかわっていた主流派のバンドたちはリリースを控えたり、活動が停滞します。ライブ中心でないアーティストたちが内省的だったり、録音芸術的(=ライブで再現しづらい)な音楽を作り上げたのが特徴的な1年。

SAULT - Untitled (Rise)

SAULT(ソー、またはソールト)は、R&B、ハウスとディスコを組み合わせた音楽性を持つUKの覆面プロジェクトです。このプロジェクトは、Little Simz、Michael Kiwanuka、Jungle、Adeleなどを手掛けているプロデューサーのInfloインフロことDean Wynton Josiah Coverディーン・ウィントン・ジョサイア・カバーによって主催されています。それ以外の情報は謎に包まれていて、参加ミュージシャンも匿名性が高い。コアメンバーとして名前が出ているのはプロデューサーのInfroとリードボーカルのCleoSolクレアソル、シカゴのラッパーKidSisterらです。あまりインタビューなどに応じず、情報発信をしないバンド。「音楽だけを通して語る」というコミュニケーション戦略をとっているように見えます。

2019年に2枚、2020年に2枚のアルバムを出し、本作は2020年の2作目、マーキュリープライズのアルバムオブザイヤーにノミネートされました(受賞はこちらもInfroがプロデュースしたマイケル・キヌワーカの「キヌワーカ」)。UKの作品ながらUSのBLM(Black Lives Matter)活動に連動し、2020年5月26日から始まったジョージ・フロイトの死に対する抗議活動もテーマにしています。サウンド的にはUKソウル+マッドチェスターの流れというか、UKらしいハウスサウンド、アシッドなテクノサウンドと、UKソウルを組み合わせたような音像で、解放感とエネルギーのある音像です。ビートは力強く陽性。USのブラックミュージックに比べるともう少し丸みを帯びているというか、よりさまざまな音楽的要素を取り入れている印象です。UKジャズや映画音楽的な要素、トライバル(アフリカンリズム)などを取り入れて昇華するのがうまく、サウンドとして特徴的。マイケル・キヌワーカやリトルシムズのプロデュースも含め、Infroは2020年代初頭のUKシーンに強い影響を与えたアーティストとして記憶されるでしょう。

Phoebe Bridgers - Punisher

フィービー・ブリジャーズ(1994年8月17日生まれ)は、US、ロサンゼルス出身のシンガーソングライターです。彼女はスタジオアルバムStrangerin the Alps(2017)でソロデビューし、本作Punisher(2020)は2作目。本作で幅広い批評家の称賛と、ベストニューアーティストを含む4つのグラミー賞ノミネートを獲得しました。ソロアーティストとして以外にブリジャーズは、音楽グループのボーイ・ジーニアスベター・オブ・リビオン・コミュニティ・センターというプロジェクトにも参加しています。

インディーズフォーク、インディーズロックの文脈に位置する女性SSWで、デビュー時はジョンメイヤーが「巨人の到来」と称賛したほど。内省的ながらあまり暗くなりすぎず、どこかさらっとした音像が印象的。ちょっとDIY感のあるホーンセクションの音がいいですね。HAIMとかもこうしたあまりリバーブがかかってない、デッドな管楽器を使うというか。女性アーティストはこういう音を使うのが時代の感覚に合っているのかもしれません。ちょっと口笛的というか。寂しさがありつつもカラッとしたユーモア、「あまり気にしても仕方ないさ」みたいな明るさもある。歌メロも80年代のよりにわかりやすい盛り上がりとか、シンガロングなパートは少なく、つぶやくようなメロディも多いけれど、適度な華やかさ、弾む感覚(ビート感)もあります。そのあたりのバランス感覚が高い評価を得ている所以なのでしょう。地味すぎず、派手過ぎず、USの生活感情に馴染むというか、20代の等身大の感情が日常に溶け込む音楽

Moses Sumney - græ

Moses Sumneyモージス・サムニーはガーナ系アメリカ人のシンガーソングライターです。カリフォルニアで生まれ、10歳の時にガーナへ帰国。16歳の時にまたアメリカに戻り、ロサンゼルスで活動しています。ジャンル分けが難しい音楽というか、本人もジャンル分け、レッテルを貼られることを嫌っている様子。ジェフ・バックリィのような独自の世界観を感じるアーティストです。彼はハリウッドボウルなどの会場で、ダーティープロジェクターズ、ジュニップ、セントビンセント、ローカルネイティヴスなどのアーティストとも共演。2021年のThe Metallica Blacklistにも参加し、メタリカの曲「The Unforgiven」をカバーしています。今のUSインディーズ界、オルタナティブ界での存在感を増しているアーティストです。

自身の音楽を「(ライブ)パフォーマンス中心」と評しており、確かにライブ感があるというか、パフォーマンス的な音像。感情の赴くままに音像が変化する、歌う。スタジオで作りこまれた作品というよりは即興性、肉体性を感じる音像です。本作は2枚組で、タイトルは「グラエ(またはグレー)」。黒と白ではないグレー、混ざった、混交した状態を指しています。LP(CDでも)2枚組で、パート1とパート2に分かれており、パート1が先にEPとしてリリースされた後、パート2が追加されてアルバムとしてリリースされました。タイトルの通り、黒人音楽(ソウル、ゴスペル、R&B)側からの白人音楽(白人的な要素が強い、主に白人が演奏するイメージのある音楽)=ロックやエレクトロニカへのアプローチが行われており、それらが混交した音になっています。パート1の方が実験的で面白い音。

Dua Lipa - Future Nostalgia

デュア・リパは1995年8月22日生まれのUKのシンガーソングライター、モデルです。ビートが強めのダンスポップ、シンセポップで、LGBT+やフェミニズムへの発言も多く、主張する女性アーティスト。UKではナンバーワンヒットを連発し、2020年時点でUKでもっとも人気のあるアーティストの一人です。コソボ系の父親とボスニア系の母親との間で、ロンドンで生まれ育ちました。デュア・リパという名前はアルバニア系の名前です。

本作「フューチャーノスタルジア」はセカンドアルバムで、80年代的なディスコサウンドを取り入れ、どこかエキゾチックな魅力もありながらロック的な盛り上がり、凄味もあります。コンセプトは「ノスタルジックなディスコ&ポップサウンド」を現代のサウンドで再現すること。タイトル通り「近未来感があるのにノスタルジック」という不思議な音像になっています。過度に漂白されておらず、どこか強い意志と主張を感じる力強いポップス。グローバルで通用するビートの強さと、アラビア圏のボーカルの強さがミックスしたような魅力があります。

Rina Sawayama - SAWAYAMA

リナ・サワヤマ(英語: Rina Sawayama、1990年8月16日生まれ)は、ロンドンを拠点に活動するUKの女性シンガーソングライター、ファッションモデルです。所属レーベルはDirty Hit。日本領域はavex trax。avex所属アーティストでもあるんですね。新潟県出身の日系イギリス人で、日本出身ですが4歳でロンドンに移住し、その後はずっとUK育ち。UKの永住権は持っているものの国籍は日本のようです(そのため、ブリットアワードなど「イギリス人対象」の音楽賞は対象外、とのインタビューあり)。ケンブリッジ大学を卒業した才媛であり、現在の活動もUK中心です。自分自身で作詞作曲からMVの監督まで、すべてプロデュースするマルチタレントの持ち主。日本語も話せますが漢字と敬語は苦手とのこと。ただ、J-POPの影響も公言しており最も影響を受けたアルバムには、宇多田ヒカルの『First Love』、椎名林檎の『勝訴ストリップ』、ビヨンセの『Dangerously in Love』、N.E.R.Dの『Fly or Die』の4枚だそう。ちなみに彼女もMetallica Blacklistに参加して「Enter Sandman」をカヴァーしています。このアルバムは凄いんですよ。

本作はデビューアルバムで、かなり雑多な多様性。J-POP的といえばそうかもしれません。けっこう耳につくのがハードロック系のギターサウンドを取り入れているところ。急にメタル化したPoppyほど極端ではありませんが、けっこうギターは前面に出てきます。全体としてはビートが強めのしっかりとした洋楽ポップス、という感じなのですが、UKのトレンドなども取り入れつつなんというかJ-POP的なミクスチャー感覚もあります。このあたりがUKではむしろ新鮮に響くのかもしれません。日本人の感覚でも新鮮です。けっこう日本語も意図的に取り入れられています。ユニークなサウンド。

Porridge Radio - Every Bad

Porridge Radioポリッジ ラジオは、2015年にブライトンで結成されたUKのインディーロックバンドです。ボーカリスト、ソングライター、リードギタリストのDana Margolinを中心とした4人組。ガーディアン紙は2018年に「スラッカーインディー」とラベルを付けています。スラッカーというのはもともとは徴兵制を忌避する若者たちを指していましたが90年代には「怠け者」の意味で使われるようになり、音楽シーンにも「スラッカーカルチャー」という言葉が生まれ、けだるげな音楽性を持ったバンド(代表的なバンドはペイヴメントベックなど)が分類されました。スラッカーロック=ローファイ、とも言えます。確かに、90年代的なけだるさを抱えたサウンド

本作はセカンドアルバムで、さまざまな音が詰め込まれたいかにもインディーズな音像。UKで盛り上がりつつあるポストパンクの流れにも乗っているように思いますが、80年代よりは90年代的な感性を強く感じる音像。ロンドンではなくブライトン(UK有数の海浜リゾートでありパーティーシティでもある)というのも少しシーンが違うのでしょうね。けっこうパンキッシュなシーンもありますが、全体的には「社会に対峙する、訴える」というよりはもう少し脱力した「音を楽しむ」感じがあります。ちょっとXTC的(というよりはblurかな)なひねくれた感覚もあり。90年代ということでブリットポップ的でもありますね。

HAIM - Women in Music Pt. III

HAIMハイムはエステ、ダニエル、アラナのハイム3姉妹によって構成されるUS、LA出身のソフトロックバンドです。いわゆるファミリーバンド。3人はユダヤ系アメリカ人で、ハイムとはヘブライ語で「生命」という意味。フリートウッドマックなどとも比較される70年代ソフトロックやウェストコースとらしいサウンドを身上としつつ、よりモダンなインディーズロックの質感やR&Bのスタイルも取り入れています。管楽器(サックス)の使い方や生々しさもある音響も特徴的。

本作は3枚目のアルバム。USよりUKで人気が高まり、1作目、そして本作はUK1位を獲得しています(USでは13位)。本作の制作中、エステは1型糖尿病との闘病を、ダニエルはパートナーが癌と診断され、アラナは友人の死に直面し、世界の様相も大きく変容するなど個人的にも社会的にも大きな変動の中で制作されたアルバム。また、音楽業界のミソジニー(男性優位主義)に対する反感を歌った歌詞もあり、さまざまな出来事に向かい合った等身大の感情をソフトロックで包み込んだ音像。聴きやすいソフトロックながら過度に装飾されない、ナチュラルな大人の女性としての情感が描かれています。

Adrianne Lenker - songs

エイドリアン・エリザベス・レンカー(1991年7月9日生まれ)は、インディアナ州インディアナポリス出身のアメリカ人ミュージシャンで、現在のUSインディー界を代表するバンドの一つ、ビッグシーフのリードボーカル兼ギタリストとして最もよく知られています。ビッグシーフは2019年に2枚のアルバムをリリースし、うち1枚は前回の記事でも選出しました。彼女はソロアルバムもリリースしておりこちらはソロ名義。

レンカーはクィア(LGBTにあてはまらない性的少数派)を自称しており、もともとはビッグシーフのバンドメイトと結婚していましたが2018年に離婚。その後も音楽的パートナー(バンドメイト)としては活動を続けています。本作はアコースティックギターが主体となった素朴なサウンドながら弾き語りというよりは複数のギター、ボーカルが重ねられたサウンドレイヤー、弾き語りオーケストレーションとでも呼べる音像で、8トラックのテープレコーダーを使った作られたとのこと。確かに8トラックに収まる内容かもしれません。とはいえ生活音(鳥のさえずりなど)や弦をこする音など、さまざまな生活音が混じった音像は広がりを感じさせるものでパーソナルな素描ながら豊潤で複雑なハーモニーを持っています。何気ない音やメロディの組み合わせなのだけれど思わず耳を惹かれる不思議な魅力を持った作品。

Yves Tumor - Heaven To A Tortured Mind

Yves Tumorイヴ トゥモアはUSのアーティスト、ショーン・ボウイが主宰する実験的なロックユニットです。Allmusicは「ポスト・チルウェイブ」とも評したその音楽性はプリンスと(ベルリン期以降の)デヴィッド・ボウイの影響を感じさせるサウンド。テネシー州ノックスビルというアメリカの地方都市で生まれたトゥモアは16歳の時「退屈な日常からの逃避」として音楽を作り始めました。20歳でサンディエゴに移り、大学卒業後はLAへ。

本作は4枚目のアルバムで、かなりサイケデリックなサウンド。プリンスレニークラヴィッツといったニグロアメリカンのロックの流れを汲みつつ、電子音楽への本格的な接近も見られます。レーベルもテクノ、エレクトロニカの殿堂とも言えるワープからのリリース。黒人音楽の側からのロックへの進出、浸食を感じるサウンド。古くはジミヘンドリックスにも通じるものがあります。

Soccer Mommy - color theory

Soccer Mommyサッカーマミーことソフィア・レジーナ・アリソン(1997年5月27日生まれ)は、テネシー州ナッシュビル出身のUSのSSWです。生まれはスイスながら、育ちはナッシュビル。6歳からギターを始め、大学に進学する2015年にサッカーマミーとしてBandcampに宅録音源をアップし始めました。ニューヨーク大学に通いつつ音楽活動を続け、音楽活動に専念するため2年で中退。ナタリーインブルーリア、Mitski、スロウダイヴ、チックス、テイラー・スウィフトアヴリル・ラヴィーンなどの影響と、ナッシュビルとNYでの生活から音楽のインスピレーションを得ている、とのこと。

シンプルながらどこか90年代的な雰囲気を感じさせる音。USのインディーズシーンでは90年代のオルタナ、ローファイ的なものへの回帰が見られます。歴史のあるジャズやブルース、カントリーやブルーグラスと並び、「90年代的な音像」も「US音楽の典型的なフォーマット」として人々の意識に定着してきたのかもしれません。彼女にとっては「生まれる前の音像」ですからね。親世代の青春の音像、良く流していた音楽が原体験として若手アーティストたちから再生産されるのかもしれません。そう考えると音楽というか音像のトレンドは25年~30年周期ぐらいでめぐるのかもしれませんね。70年代回帰の00年代、80年代回帰の10年代、90年代回帰の20年代。


冒頭にも書いた通り、2020年の最大の特徴は「ライブシーンの消失」です。すでにデビューしていたIDLESFontaines D.C.といったUKのポストパンク勢やThe 1975の新譜も出たりしましたが、全体としてライブシーンで活躍するようなバンドのリリースは控えめ。ツアー延期に伴いリリースも延期にしたアーティストが多かったのでしょう(その分、ライブが一部解禁され始めた2021年はそうした「ライブシーン直結バンド」のリリースが急増した印象ですが、それはまた2021年の記事で)。

その空白を埋めたのが女性と黒人、ロックにおけるマイノリティです。2010年代から(ロックシーンにおける)女性の躍進は続いていますが、本年は白人男性がゼロ、というこの企画初めての結果に。このアルバムの選出はある程度個人的な恣意性もありますが、基本的には各種音楽メディアの評価を元に選んでいます。また、「1バンド1アルバム」なので、過去から評価を得ているバンドはあまり選ばれません(タイミング等で1990年代から活動していても00年代、10年代に選ぶ例も稀にありますが、2010年代以降は基本的に「新しいアーティスト」が中心です)。なので、2020年に出てきた新しい動き、新しいアーティストはほとんどが女性と黒人によるものだった、と言えるでしょう。また、LGBTも変わらず存在感があります。また、アジア系も存在感を増してきているのでしょう。このリストではRina Sawayamaだけですが、ロックシーン以外、米国の音楽市場全体を見ればK-POP旋風が2020年から起こりました。次の震源地たる辺境、マイノリティはアジア系なのかもしれません。

2020年に起きたムーブメントはまだまだ現在進行形なので現時点で総括はできませんが、概して「ライブシーン」の消失によって、大きな地殻変動が起きた年だったと言えるでしょう。

改めて聞いても(現時点では)個人的に「オルタナティブロック」とは感じなかったので選出はしませんでしたが、ソロアーティストのトップスターであるテイラースウィフトがインディーロック、インディーフォークの人脈と組んで作り上げた「フォークロア」「ネヴァーモア」の2作も大きな話題となりました。これは振り返ってみると、2010年代USインディーズサウンド(の一部)を洗練・総括し、メインストリームを拡大/遷移させた作品として記憶されるのかもしれません。それは2020年代の音楽シーンがこれからどう変遷していくかによって評価されるでしょう。基本的に、「オルタナティブ」とは辺境を開拓する試みであり、開拓された辺境はやがて辺境ではなくなる。そうして「メインストリーム」が拡大(あるいは遷移)していくのが音楽史です。

それでは良いミュージックライフを。




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