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Majestica / Christmas Carol

Merry Christmas! 先日の記事でも取り上げたアルバム、ネタ盤に終わらぬ祈りと音楽への愛情が詰まった名盤。期待の数倍良いアルバムでした。

今年のメタルクリスマスはこのアルバムで決まりですね。みなさん良い聖夜をお過ごしください。

スマホで聴きながら読みたい方はこちら(noteに戻ってくればYouTubeでバックグラウンド再生されます)。

2020リリース

★ つまらない
★★ 可もなく不可もなく
★★★ 悪くない
★★★★ 好き
★★★★★ 年間ベスト候補

1.A Christmas Carol
壮大で軽快なオーケストラ、クリスマスソング的なメロディを入れつつ勇壮なオーケストレーション
アレンジが凝っている
★★★★

2.A Christmas Story
そのままオーケストレーションを引き継ぎ導入
ギターとツーバスが入ってくる、疾走曲
クリスマス的なメロディなのにメタル、これは凄いな
メタルクリスマスの決定盤かもしれない
ファンタジックメタルの題材としてクリスマスを取り入れる、なるほど
これはアイデアだし、純粋にシンフォニックメタルとして本気度、完成度が高い
ツーバス疾走ながらドラム音がのっぺりしていない
さすがSabaton系(ギタリストのサイドバンド)、プロダクションはしっかりしている
オーケストレーションもシンセだとは思うがチープさはない
歌メロも良い、クリスマスらしさというか、少し道化、サーカスじみた楽し気な感じのあるパートから
祝福感あるサビへ、いやぁ、これメタラー向けの内輪ネタかと思ったら意外と非メタラーも聴けるクリスマスアルバムじゃないか
まぁ、場所は選ばれるが、とにかく壮大とかファンタジックなクリスマスアルバムとして存在しそう
アレンジに鐘の音が入ったり、ゴスペル的なクワイアだったり、言葉の節々に出てくる「クリスマス」だったり
後はメロディもクリスマスソングのモチーフが随所に出てくる
この辺りの取り込み方が上手い
★★★★☆

3.Ghost Of Marley
雰囲気が変わりやや怪物的な曲へ、悪役が出てくるのか
ディケンスのクリスマスキャロルってどんな話だっけな
(調べた)
ああ、スクルージおじさんか、強欲なスクルージおじさんがクリスマスの奇跡で改心する話か
この曲も最初はおどろおどろしい雰囲気がややあったが、サビに至ってクリスマス感が増す
このボーカルもあまり暑苦しくないというか聞きやすい声をしているな
疾走はしているもののキーボード、鐘の音、全体的な和音感などでヘヴィさを消している
ヘヴィでアグレッションのあるパートの後はオーケストラパートが入ってきて緩和する
ディズニーソングみたいだな、まぁ、ここまでメタルっぽいのはないけれど
ディズニー音楽もいろいろな要素を混ぜるじゃない、特にパレードの音楽とか魔改造感がある
これもクリスマスソングを基にメタル要素を加えて魔改造感が強い
素晴らしい
★★★★☆

4.Ghost Of Christmas Past
勇壮なリフからのクリスマスキャロルに
ヴァースもクリスマスソング的な音程、実際にあるメロディなのかな
というか、こういうメロスピ的な音像とクリスマスキャロルはそもそも相性がいいな
そりゃそうか、クラシカルな音像だから昔から歌い継がれているようなしっかりしたメロディがある曲とは相性がいい
ましてクリスマスソングは陽性で、老若男女が歌える分かりやすいメロディだし
これは発明だなぁ、クオリティが高い
惜しむらくはクリスマスシーズン以外には聞きづらいということだが(クリスマスキャロルのメロディが強すぎる)
まぁ、ハロウィン終わったらもうクリスマス気分ですしね! 2か月聴けるよ!
毎年この時期に聞きたい安定盤になるのでは。
いやぁ、いちいちツインリードとかも凝っている
前からこのクオリティなのか、クリスマスキャロルを入れたことで化けたのか
クリスマスキャロル的なメロディに負けないメロディを作るってすごいチャレンジだと思うんだよね
さっき書いたように「祝祭感があり」「老若男女が口ずさめる」という要素がある曲が元だから
しかし、クリスマスソングが楽曲的にいかに優れているかを再認識するなぁ
頭1曲だけハイクオリティ化と思ったらぜんぜんここまでテンションが下がらない
ウィッシュユーアークリスマスンのモチーフが出てきて終わり
★★★★☆

5.The Joy Of Christmas
ピアノでスタートするバラード、ドリームシアターのバラードみたいだ
明るめのコード進行、マイナー感はなくハキハキとしている
いやぁ、クリスマス云々を除いても、こんな陽性のパワーメタルってなかなか珍しいな
ラプソディとかけっこう陽性というか朗々としてるけど
ハロウィンも明るい曲は明るいけど
うーん、まぁ、クリスマスキャロルも讃美歌だからなぁ、クリスチャンメタルにはこういう雰囲気のアルバムもあるのかな
朗々としたバラード、メロディが展開していく
じわじわと、かなり時間をかけて盛り上がっていく
ボーカルの音域けっこう広いな、さすがメタルボーカリスト
朗々と歌える音域が広い
これ、ボーカルとギター兼任なのか、sabatonのギタリストのトミーヨハンソンが両方担当
凄いなこの人
サイドプロジェクトではなく、もともとこのMajesticaをやっていてSabatonにも2016年に加入したらしい
そもそもボーカルギターの人なのか
★★★★☆

6.Ghost Of Chrstomas Present
オーケストレーションからバンドが入ってくる
音が整理されて陽性になったブラガみたいな感じ
(音が整理されている、これはでかい、ブラガはなんかゴチャゴチャしてるからなぁ)
面白い、サビの後、クリスマスキャロルのモチーフでユニゾンするとか、なんというかちょっとユーモラス
脱力というか茶目っ気というか、音圧でがんがん来るのではなく抜きどころが上手い
これはsabatonにも通じるセンスだな、双方に影響を与え合ったのだろう
Majesticaを組んだのはSabaton入ってからなのか、もともとReinXeedというバンドを組んでいて、そのアルバム名を引き継いでMajesticaにしたらしい
メンバーも引き継いでいるから、Sabatonに入ったことでいろいろな環境が変わり(シンプルに言えば予算が使えるようになったんだろう)バンド名も変えた、と
同じバンドを継続してるんだな
★★★★☆

7.Ghost Of Christmas to Come
これ組曲なのか、同じタイトルの曲が続くが
まぁ、組曲というかこのアルバム全体がクリスマスキャロルによって貫かれたメロディがあるから組曲感が強いが
どの曲もそれぞれキャラクターはある、単曲としても粒がそろっている
オーケストラが入り荘厳なクワイアが入るが陽性
なんとなく重さは感じさせるがヘヴィすぎない、これはsabatonにも通じるなぁ
プロダクションにもコツがあるのだろう
このアルバムをかけていたら「これ誰?」と聞かれることが多そうだなぁ
今年のディスクユニオンのクリスマスにかかってそう
いやベタすぎるから外すかなぁ、どっちだろう
緊張感をやや維持しながら終曲、この曲は少しシリアスだった
★★★★

8.A Christmas Has Come
明るい、クリスマスがついに来た! みたいな感じか
前の曲でクライマックスが終わり大団円、的な
バンドが入ってくる、明るい、祝祭感が強い
メリークリスマスアンドハッピーニューイヤーと歌い上げる
なんだこのアルバム、名曲というか「クリスマスにこんなメタルソングがあったらなぁ」という曲が続く
メタルアーティストによるクリスマスソング、クリスマスキャロルカバーって今までけっこうあった
だからアイデアとしては斬新というわけではないのだけれど、それをアルバム一枚にわたって徹底的にやり遂げたというのは初めてじゃないか
昨年はロブハルフォードもクリスマスアルバムを出したけれど、あれはカバーも多かったし実のところ(このアルバムと比べてしまうと)サウンドにはそこまでクリスマス感がなかった
これ凄いなぁ、しかもコロナ禍の中でレコーディングとかしてたわけでしょ
凄いね、クリスマスの祈りというかある意味奇跡の音像化
ユーモアを通り越してなんか感動的に思えてきた
笑える(笑顔になる)けれど泣ける、祈りが込められているからだな
★★★★★

9.A Majestic Christmas Theme
軽快なオーケストラ、クリスマス的なオーケストラが鳴り響く
鐘の音が鳴る、サンタが空を飛んでいるイメージ、映画音楽的
エンドロールかな
アルバムの余韻を残しつつオーケストラが続く
これはマジカルなアルバムだわー
★★★☆

全体評価
★★★★★
素晴らしいアルバム、なんというかメロディが祝祭的で歌いやすく陽性(クリスマスキャロルを基にしているから当然だが)、それがパワーメタル、メロスピ的な音像と相性が良い
最初はネタ感というかクスッと来る感じがあるのだが、最後まで一切手抜きがなくアイデアが盛り込まれている
これをやり切ったというのは凄いなぁ、一発ネタならよくあるが、アルバム全体でやり遂げている
メタルクリスマスアルバムもないわけではないが、V.A.だったりカバー集だったりするし
「クリスマス・キャロル(クリスマスソング)」という一つのジャンルとメタルを融合させた新しい音像、ジャンルをまたぐ越境メタルですよ
特に今はご時世がシリアスというか、その中でこのアルバムをきちんと作り上げた、ここまで純度の高い陽性なメタルアルバムを作り上げたのは凄いと思う
クリスマスの精神ですよ、なんとなく心が温まる特別な夜というか、その空気感をうまくアルバム内に封じ込めている
非メタラーからすればネタ盤かもしれないが、ここに込められた祈りと音楽への愛情は清々しい
まだ未聴のパワーメタルファンがいたら騙されたと思って聞いていただきたい

ヒアリング環境
朝・家・ヘッドホン

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