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Andrew W.K. / God Is Partying

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アンドリュー.W.KことAndrew Fetterly Wilkes-Krier(1979年5月9日生まれ)は、USのロックシンガー、マルチインストゥルメンタリスト、レコードプロデューサー、俳優です。W.Kはウィルクス・クリエの頭文字。パーティー野郎、熱血兄貴としてBurrn!誌の日本のHR/HMシーンでもお馴染みのキャラクターですね。1stアルバムのI Get Wetの鼻血流血ジャケットの印象も強烈でした。

そんな兄貴もすでに活動期間20年を超えるベテランに。本作は6枚目のアルバムですべての楽器をW.K本人が演奏しています。ちょうど、1stアルバムが出たのが2001年なので今年はデビュー20周年。私生活ではことし5月に婚約(離婚歴があるので再婚)の発表もしているのですね。前作「You're Not Alone」もなかなか好評だったのですが未聴のため、彼の音楽を聴くのはそれこそ10年以上ぶりかもしれません。ここ最近は相変わらずパーティー感はあるものの内省的な深みも増したという評判ですが、どんな音像になっているでしょうか。聞いてみます。

活動国:US
ジャンル:ハードロック
活動年:2000-現在
リリース日:2021/9/10

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総合評価 ★★★★☆

Godとタイトルに入っているように、後半はゴスペル、映画音楽的な壮大さがあった。5曲目~9曲目、B面にあたるところは圧巻の作りこみ。壮大且つ荘厳なのだけれどパーティー感というか高い熱量がある。メロディ的にはけっこうエルトンジョンを連想したというか、ピアノで曲作りをしている感じ。むやみと音程が上下せず、しっかりとメロディが展開していきながらもだんだんと熱量が増していく感じ。あと、この壮大さはDevin Townsendの近作にも近いものを感じる。80年代のきらびやかなメタル的なわかりやすさもあり、ハードロック、メタル好きに広くおススメできる1作。今月号のBurrn!編集後記で伊藤政則が今月の10選に入れていたがまさに氏が好きそうな音。

1.Everybody Sins 06:12 ★★★★☆

サイレンの音のような、何かキラキラした音でスタート。そこから壮大なイメージの音像に展開する。そこからミドルテンポでヘヴィなリフに。じっくり攻めてくる。だいぶ待たせた後でボーカルが入ってくる。ギターの音がだいぶ前面に出ている。タメが多いリフ、ちょっとホワイトスネイクみたいだな。ジョンサイクス時代のホワイトスネイク。スティルザナイト的。80年代的なきらびやかなメタル。1曲目から大曲。「誰もが罪人」ということで脳筋パーティー感というよりはパワー、エピックメタル的な荘厳なテーマのようだ。途中からチャーチオルガンのような音も入ってくる。

2.Babalon 04:17 ★★★★☆

シンセの音からうねるリフへ。けっこうリフの音圧は強い。モダンなハードロック感。最近のメタルコア的な激烈さ、たとえばラムオブゴッドとか、あそこまで激しくないが、ギターにはしっかりエッジがありザクザクしている。ドラムはブラストではなくじっくりとしたビート。これも荘厳で大仰なコーラスに後ろでクラシカルなシンセフレーズが乗る。けっこうダークなのだがマイナーすぎず、どこかアッパーでハイテンションな感じがあるのはアーティストイメージ故か。声質はだいぶ違うが後期のW.A.S.P.にも少し近いな。音はこちらの方が良いけれど。カッコいい。バビロンではなくババロンなんだな。何かパロディなのだろうか。音だけ聞くとかなりシリアスなのだが。

3.No One To Know 06:33 ★★★★

SF映画のオープニングのようなちょっとスペーシーで壮大なオープニング。けっこう長い曲が多いな。この曲も6分台。しっかり歌メロがあるからちょっとELO的でもある。じっくりと力強い歌メロが展開していく。鳴り響くファンファーレ。ドラマティックな音像の中に響き渡るギターソロ。むやみとドラマティックな音像。ちょっとUKっぽさを感じるな。歌メロが欧州、UKっぽい。いや、UKというよりちょっとDevin Townsendの近作(Empath)にも近い壮大さがある。ああ、Devinに近いというのは一番いい表現かも。あそこまでハイパーな技巧や(いい意味で)変態感はないが。

4.Stay True to Your Heart 03:46 ★★★☆

少し電子的な音像。シンセポップというにはややヘヴィなビートと音域だが、ギターの音は控えめ。途中からギターが入ってくる。00年代あたりのUSメタル的な感じもする。パワーバラード、と言えばそうなのかな。

5.Goddess Partying 00:57 ★★★

まさに映画音楽的なインスト。

6.I'm in Heaven 03:15 ★★★★

前の曲が断ち切られて、強めのシンセ音が鳴り響く。ちょっとホラー味がある。力強いコーラスが入ってくる。これもDevin Townsendっぽいな。一番それっぽいかも。ミニマルなフレーズの連呼だがクワイアコーラスが入りむやみと荘厳。

7.Remember Your Oath 04:17 ★★★★

前曲の荘厳な音圧から一転し、ピアノとボーカルによるスタート。エルトンジョンのイエローブリックロードの1曲目のような。意外とエルトンってハードロックっぽい曲もあるんだよね。この曲はピアノバラード。メロディセンス的にはUS的、ボンジョビにも近い。高音になるにつれて個性が出てくる。やはり熱く歌い上げてこその兄貴。けっこうギターオーケストレーションが重なっている。

8.My Tower 06:24 ★★★★☆

ピアノの雰囲気を引き継ぐ。今作からは教会音楽、ゴスペル的なものと映画音楽からの影響を感じるな。壮大にして荘厳。いきなり勢いがあるコーラスが入ってくる。ヘヴィブルース。分厚いコーラス、音のエネルギー量が高い。ボーカルは歯切れが良いが、楽器隊、ビートは重く、少し引きずるような感覚がある。渾身のギターソロ。最後にピアノで軽快なビートに変わる。

9.And Then We Blew Apart 04:27 ★★★★★

ピアノとボーカルからスタート。5曲目以降、荘厳さが増している。この曲はどんどん盛り上がっていく。熱量が高い壮大なドラマが展開していき圧倒される。このあとはボートラなので実質的にアルバムのラストにしてクライマックス。

10.I Made It 04:09 ★★★★

ボーナストラックのようだ。Tidalのストリーミングには入っているがBandcampにはない。わかりやすいロック。改めて聞くと、この人のメロディセンスとか和音進行ってエルトンジョンの影響が強いのかもな。悪い曲ではないがちょっと緊迫感は本編に比べると薄目。まさにボートラ。でも、これだけの曲でもボートラにしてしまうのは潔い。

11.Not Anymore 03:12  ★★★★

ちょっとブルーススプリングスティーン的な、ハートランドロック的なスタート。力強いUSハードロック。一番パブリックイメージ通りのパーティーロックかも。ボートラ感が強いストレートな曲。出だしのイントロ部分が一番カッコいいな。...と思っていたら後半どんどん盛り上がり迫力が出てきた。この「どんどん盛り上げる」感覚はやはりすごい。

12.Everybody Sins(Radio Edit) 04:17 ★★★★

1曲目のラジオエディット、短く編集したバージョン。イントロが短めなのかな。ちょっと性急な感じがするかも。それほど印象は変わらない。おまけ的な曲。



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