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Magnus Karlsson's Free Fall / We Are the Night

Magnus Karlsson's Free Fall の3枚目のアルバム、Magnus Karlssonはスウェーデン出身のギタリストで現在はドイツのPrimal Fearにも在籍しています。豪華ゲストボーカルを迎えての作品で、超絶歌唱力で話題になった新世代のボーカリストDino JelusićやRenan Zontaが参加。他にも現リッチーブラックモアズレインボーのRonnie RomeroやバトルビーストのNoora Louhimo、元ブラックサバスのTony Martinなど豪華すぎる顔ぶれ。楽曲的にはオーソドックスな様式美メタルですが、これだけ豪華なボーカリストが次々と出てくるとテンションが上がります。オリジナリティを考えると目新しさは少ないですが、お祭り騒ぎと考えるとこれだけのボーカルにしっかりと佳曲を歌ってもらった良盤、参加ラインナップから期待されるクオリティを裏切らない出来です。スマホで聴きながら読みたい方はこちら(noteに戻ってくればYouTubeでバックグラウンド再生されます)。

2020年リリース

★ つまらない
★★ 可もなく不可もなく
★★★ 悪くない
★★★★ 好き
★★★★★ 年間ベスト候補

1.Hold Your Fire
シンフォニックな始まり、壮大なオーケストラから
ゲストボーカルはDirty Shirley他のディノシュルシック
オーケストラからギターの刻み、ネオクラシカルなフレーズが入り、壮大なシーンへ
妖精が舞うようなわずかな音から歌が入ってくる
歌が入るとバンドサウンドに、途中からオケが入ってくる
素晴らしい歌声、Dioやジェフテイトを彷彿とさせる、コーラスはクワイア的なバッキング
コーラス終わりでリズムを刻む低音リフ
2ndヴァースではバッキングにアルペジオが入ってくる
サビの節回しがボーカルの技巧を感じさせる、コーラスの締めは超ハイトーンでのハーモニー
メロディアスな間奏へ、ツインリードからソロへ、超絶技巧ではないがクラシカルでメロディアスなフレーズ
バッキングはツーバスだが曲のテンポ自体はそれほど早くない、ミドルテンポ
コーラスのバッキングがやや単調、もう少しボーカルと絡み合うギターなりキーボードなりハーモニーのメロディがあればもっと感動的
最後は壮大なオーケストラと絡んで終了
★★★☆

2.Kingdom Falls
キーボードからギターに移り変わりメロディアスなリフ
ゲストボーカルがエレクトリックモブのレナンゾンタ、若手の実力派で1曲目、2曲目を攻めてくる
ソウルフルながらタイプの違うボーカル
シンフォニックさが薄れメロディアスパワーメタル、エピックメタル
爽やかな歌メロ、ボーカルとキーボードフレーズが絡み合う
ボーカルに耳が行く、バッキングは比較的オーソドックスなパワーコード
ブリッジのあたりからアルペジオが入ってきてリフとして展開する
キーボードソロとギターソロ、メロディアスでネオクラシカル、けっこう弾きまくっている
間奏からナチュラルにボーカルパートへ、ブリッジ~コーラス
伸びやかな声
オーケストラとユニゾンするリフ、最後ドラムの手数が増え叩きまくって終曲
★★★★

3.We Are the Night
オーケストラの勇壮な響きからバンドへ、ミドルテンポでツーバス連打、メロディアスなツインリード
テンポは変わらないがドラムの手数が増えて疾走感が増す
ミドルテンポに変わり空間的なキーボード音へ
マーチングバンドのようなリズムになりボーカルが入ってくる
リズムが戻ってきて、加速しながらブリッジへ、テンポは行っていながらリズムパターンの変化が激しい
バスドラとベースが抜けるヴァース、ベースが入るブリッジ、リズムが入るコーラス、途中からツーバス
そこから手数が増えてやや走るようなリズムに
間奏部、ドリームシアター的なプログレメタルのマナーに沿っている
ソロ、ネオクラシカルでスィープするフレーズを弾いている、コンパクトにまとまっている
コーラスへ、リズムパターンはだんだん加速感を増す
ふたたび曲冒頭のリフへ、コーダ、変拍子が入り終曲
★★★★☆

4.Queen of Fire
弦楽器と女声ボーカル、ゲストボーカルはバトルビーストのノーラ、伸びやかな声
はじまりはバラード調のテンポでボーカルが自在に歌う
バンドが入ってくる、スローテンポでヘヴィバラード、コーラスの最後で高音を活かしたメロディ
この曲の歌い方は誰かに似ている、シンディローパーとか、同時期の誰か
少し巻き舌っぽい、ドスが効きながらキャッチーな声、猫的というか
コーラスの後メロディが展開する、クワイアコーラスが入り、コーラスの展開に戻る
ギターソロへ、ソロからツインリードでネオクラシカルな速弾きフレーズを決め
ドスの効いたボーカルのタメから再度コーラスへ、テンションは高めで維持、歌い上げる
ハーモニーがどんどん高音になっていく、ロックバラードの王道的手法、エアロスミスのミスアシングとか
★★★★

5.Dreams and Scars
オーケストラの演奏から、弦楽器の刻み、そこからバンドが入ってきて壮大なイントロへ
ふたたびゲストボーカルはエレクトリックモブのレナン
歌が舞うヴァースから歌い上げるブリッジ、ブリッジはツーバス
高音から下がってきてまた上がるコーラス、何かが降りてきてまた上がっていくようなメロディ
歌い上げるヴァースの煽情力は高い
コーラスではリズムパターンがやや変わる
歌が前面に出るパートを経て間奏へ、メロディアスなソロ
ツーバスでコード進行が変化してツインリード、メロディ的には何なのだろう
いわゆるメロディックパワーメタルで、クラシカル、オペラティックなメロディか
歌い方も相まって壮大な印象の曲
★★★★

6.All the Way to the Stars
大仰なバンドサウンド、リフから軽快なテンポに変わりフックのあるメロディへ
メロディが好み、ゲストボーカルはマイクアンダーソン、知らない人だ
ちょっとハスキーな声、それほど圧が強くない
リズムがやや変拍子、手数が多いがパターンが変わる
コーラス、ボーカルとオーケストラのメロディが絡み合う
ちょっとアンデッデリスの作るハロウィンの曲っぽくもある。ボーカルがちょっとアンディに似ている声質かも
間奏、ソロが展開する、ツインギタリストでソロを回しているような構成、最後はツインリード
やや機械的な、打ち鳴らす音にオーケストラが入り、ユニゾンでリズムを決めたあとコーラスへ
コーラスは適度な疾走感があり心地よい
ツーバスで疾走して曲の終わりへ、スペーシーなキーボードからドラム連打して終わり
★★★★☆

7.One by One
マーチング、軍楽のようなテンポで上にはツインリード、ややリフはケルティックなメロディか
ゲストボーカルは現リッチーブラックモアズレインボーのボーカルでもあるロニーロメロ
Dio直系の熱いボーカルだが若々しい
コーラスはツーバスで予想の範囲内で展開していく
その後のリフの方がかっこいい
歌い上げるヴァース、ブリッジはギターとボーカルの絡み合い
コーラス、二回目を聴くとそう悪くないメロディ
歌い上げるフレーズからソロへ、途中で場面が展開する、メロディアスなパートと弾きまくるパート
ブリッジへ、リズムパターンが新しい感じ
コーラスへ、バッキングのメロディと微妙にハーモニーを生んでいる
コーラス終わりのリフが入ってくるところがカッコいい
★★★★

8.Under the Black Star
ヘヴィでメロディアス、レインボーのスターゲイザーのような始まり
ただ、クワイアコーラスが入って印象を変えている
ゲストボーカルはふたたびディノジュルシック
こちらはミドルテンポでじっくり聞かせる曲調もあり、よりパワフルに歌い上げている
こちらの曲の方がボーカルスタイルには合っている印象
コーラスはリフと絡みあう、少しエジプト的、オリエンタルの雰囲気もあるバンド全体のユニゾンリフ
ちょっとエスニックなメロディをうまく節回しをつけて歌っている
間奏部の入りはチュニジアのMyrathのようですらある
ソロはネオクラシカル、コンパクトなソロからブリッジ~コーラスへ
★★★★☆

9.Temples and Towers
イングウェイを彷彿させるネオクラシカルなスィープフレーズからスタート
けっこうキーボードの和音の上で弾きまくっている
1分ほど弾きまくった後で疾走するリフが入ってくる、アップテンポ
メロデス的なコード変更を伴うメロディアスなリフ
ボーカルは元ブラックサバスのトニーマーティン、ベテラン
若手ほどのパワーはないが、さすがの貫禄で滑らかに歌い上げる
コーラス、ボーカルラインに北欧メロデス的なコード展開がリフになったようなギターが絡みつく
ギターフレーズとボーカルの絡み合いという点では今までで一番の曲かも
リズムは控えめでけっこう単調にツーバスを叩いている
コーラスへ、ギターフレーズで展開して間奏へ、ちょっとエスニックなフレーズが入る
この曲はギターがけっこう前面に出ている、ソロパートも長い
★★★★☆

10.Don't Walk Away
テンポチェンジするリフからヴァースへ、ゲストボーカルではないようだがそもそも固定ボーカルはいるのだろうか
オーケストラのフレーズを挟んでコーラスへ
このゲストではないボーカルは確かにこのバンドサウンドにはなじんでいる気がする
メロディセンスのルーツはどこなのだろう、ヨーロッパ的なのは分かるのだが、ドイツだろうか
コーラスを経て間奏へ、刻むギターリフからVaiあたりが使いそうな空間的な音作り
オーケストラのメロディとバンドが絡み合ってコーラスへ
オーケストラとユニゾンで壮大に終了
★★★☆

11.On My Way Back To Earth
クリーントーンのアルペジオ的な音階移動が多いリフ
その上でメロディアスなソロが入ってくる
ギターメロディが展開して歌い上げる、インストの曲なのだろうか
メインメロディをギターが弾いている
ドラムが生き生きと叩いている、楽器隊がそれぞれ絡み合っている
ベースはそれほど強い存在感はないがしっかりボトムを支え、ユニゾンし、ギターと絡んでいる
アコギで最初のアルペジオリフを弾く、そこにエレキが入ってくる
このフレーズはなかなか美しい
大団円的な明るいキーボード音に加えてギターが弾きまくり、祝祭感が出る
最後はリフのフレーズをユニゾンしてキメ
ツインのアコギで最初のフレーズを弾き、そのままフェードアウト
この曲が楽器隊は一番イキイキしていた
★★★★

12.Far from Over
ヘヴィバラードな始まり方、アルペジオに合わせてボーカルが入る
ボーカルはトニーマーティン、伸びやかな声
ヘヴィバラードだがギターはかなり低音でうねるようなリフを弾いている、メロディアスだがちょっとサバス的
あくまでトニーマーティン期のサバス
ソロのメロディにはトニーアイオミ感はない
ボーカルがじっくり歌い上げる、ヘヴィなリフっぽい響きでギターがコードを鳴らす
コード進行自体はメロディアス
荘厳なリフで終曲
★★★☆

全体評価
★★★★
単曲で見ると魅力的なのだが今一つ突き抜ける曲がない
全体的にクオリティが高いけれど、独自性や新規性、このバンドならではの音世界がない
ただ、どの曲もクオリティは高く、ゲストボーカルが豪華なのでそれぞれのボーカルパフォーマンスも見事
こうしたエピックメタル、シンフォニックなパワーメタルの入門編としてはいいのかもしれない
プロジェクトバンドという性質からかバンドの各楽器が絡み合う、戦うような緊迫感が薄い
インスト曲11だとバンドのアンサンブルはいいので、このテンションで他の曲もやってくれたらもっと面白かった
プロフェッショナルで高品質な匠の技でつくられた作品だが、音楽的な新規性はあまりないという印象
ただ、少し広い視点で見ると若手の実力派ボーカリストをより多くの人に届けるという点では挑戦的ではある

リスニング環境
夜、家、ヘッドホン

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