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Lionheart / The Reality of Miracles

元IRON MAIDEN~PRAYING MANTISのデニス・ストラットン、UFOの元ドラマー、クライブ・エドワーズ、マイケル・シェンカーフェストに参加中のスティーヴ・マンなど、UKメタル界のベテラン達が在籍するイギリスのLIONHEARTの2020年作。スティーブハリスがアーリーイヤーズのビデオの中で「デニスはいいプレイヤーだったけどTOTOみたいな曲を作ってくるから音楽性が合わなくなったんだ」といった話をしていましたが、まさにそうしたデニスストラットンの産業ロック的なメロディセンスが開花しつつ、ベテランの円熟味と匠の技でそれぞれのプレイヤーの持ち味を作曲面、編曲面で十全につぎ込んだ力作。一見聞きやすいポップなハードロックながらどの曲も工夫が凝らされており、演奏面でも職人芸が楽しめます。大ヒットするような作品ではないでしょうが、2020年のブリティッシュハードロックの名盤です。

2020年リリース

★ つまらない
★★ 可もなく不可もなく
★★★ 悪くない
★★★★ 好き
★★★★★ 年間ベスト候補

1.Salvation
遠くから聞こえるスクリーム
だんだんと迫ってくるオーケストラ
リズムが入る、イントロ
★★

2.Thine Is the Kingdom
1からつながる、アカペラからギターリフ、キーボードがリフをなぞり、ツインリードが入る
王道的なスタート
美しいアルペジオのバックに歌が入る
アルペジオはハープのような音色が入る
リズムは落ち着いたミドルテンポ、全体的に音が上品
ボーカルも暑苦しさはないが、しっかり聞かせる実力派、アンサンブルが繊細
コーラスはハーモニー厚めでメジャーコード展開
最後にフックを入れて終了
再びややマイナー調のヴァースへ、後ろで小さめにツインリードがボーカルに絡みつく
アンサンブルが練られている
ブリッジでは歌い上げる
ベースが下降してきてサビへ
サビはかなりメジャー、雰囲気がかなり変わる
ツインリードから、アカペラのコーラスフレーズへ
キーボードが曲を支えギターソロ、惹きまくるというよりツインリードでアンサンブル重視
開放感あるファンファーレ的なユニゾンで終わり
★★★☆

3.High Plains Drifter
ツインリードでスタート、ベースラインが面白い
ボーカルが入ってくるマイナー調のヴァースからメジャーでブルージーなブリッジへ
そのままロックンロールなコーラスへ
そのままマイナーなツインリードリフ、マイナーなヴァースへ
展開が早く表情が変わる
ブリッジからのブルージーな感じが面白い
どれも取って付けた感じはなく、それぞれルーツに根差してしっかりとした骨格がある
ここまで極端に切り替わるのは面白い、新鮮
ギターソロへ、今度は普通に弾く
弾き倒すというよりはメロディアス、ブライアンメイのような
もう少し即興性はありそう
2人のギタリストがソロを弾きツインリードのリフへ
ベースだけは最初からロックンロール調なのが面白い
再び表情がガラッと変わるヴァースからブリッジ
軽快なノリのコーラス、面白い
★★★★

4.The Reality of Miracles
ツインリードからスタート、少し変わったコード展開
その世界観のままボーカルが入ってくる
メジャー感あり、やや壮大な歌メロ、キーボードが音を広げる
ハーモニーコーラスが合いの手で入り、同じ流れでサビへ
ヴァースとコーラスで表情が変わる曲が2曲続いたが、この曲は同じ表情でサビまで流れていく
しっかり展開していき、落ち着くべきところにメロディが落ち着く
2番のヴァースに変わるときに転調する
少し上がったのか、気づかないうちに下がっているのか
やはり一筋縄ではいかないようだ
再びサビへ、よく聞くとサビに行くときにコードが転調しているようだ
ギターソロへ、音作りとフレージングが上品
雰囲気を変えてコーラスへ
美しく王道のバラードという印象、大団円の和音
★★★☆

5.Five Tribes
今度はギターリフからスタートしてツーバス、疾走
そこからツインリードのメロディアスなリフ、そしてギターソロ
ボーカルが入ってくる、やや高音域で歌い上げる
サビはハーモニー多めのコーラス
短いギターソロを挟んで再びヴァースへ
リズムはツーバスをずっと続けているがあまりうるささはない
丁寧なドラミング
サビではシンバルを打ち鳴らす、ニコマクブレイン的な響き
ギターソロへ、ソロ~ツインリード~ソロ
ボーカルが戻ってくる、少しこういう曲だとボーカルが弱いか
サビへ
展開してコーラス、シンガロング的なパートへ
★★★☆

6.Behind the Wall
キーボードでスタート、キーボードとボーカルだけで歌い上げる
コード進行が凝っている、フックが効いている
ドラムインしてコーラス
再びヴァースへ、ブリッジのコード進行が独特
サビはキーボードで弦楽器的な音色の印象的なメロディが入ってくる
サビがさらに展開してCメロへ
そこからギターソロ
再びボーカルイン、ブリッジからコーラスへ
コーラスは厚めのハーモニーが入る
アレンジは落ち着いている
★★★★

7.All I Want Is You
明るいツインリード、プレイングマンティス的というか
曲ごとにかなり表情が変わるのがすごい
これもマイナー的な歌いだしからメジャーなブリッジへ
サビはポップな感じ
サビの決めフレーズにかぶせるように明るいツインリードフレーズが切り込む
ややマイナーなヴァースへ
メジャー感が強いブリッジへ
サビのポップ感がすごい、歌い方などは違うが、ビーチボーイズ的な明るさ
なんとも言えない感じ、新鮮で面白い
なんなのだろうこの能天気なサビは、アリーナロック的と言えばアリーナロック的なのだけれど
それまでの世界観と合わないというか
さらにツインリードが畳みかける
★★★★☆

8.Widows
明るめのギターリフとリードギターのメロディからボーカルイン
こちらも楽し気に歌っている、ちょっと明るい歌の方がボーカルの魅力が活きる気がする
明るいサビ、産業ロックにしては陰りがあるが
ツインリードのメロディでリフというか短い間奏、気持ちいい
再びヴァースへ、ところどころベースがボーカルにユニゾンしたり、さりげない遊びが上手い
底抜けに明るめなサビへ、LAみたいな明るさではなく、北欧的というか欧州らしさはある
再びツインリードの短めの間奏からのギターソロ~ツインリード
ツインリードが楽しそう、笑顔な感じがする
ナイトレンジャーとかもこんな感じだったかもしれない
再び気が付けばサビへ、この曲はボーカルがイキイキしている
ツインリードでしっかり決めて終わり
★★★★☆

9.Kingdom of the East
ちょっとオリエンタルなメロディ、中国的なフレーズからスタート
アカペラのコーラスからリズムイン、やや早めのテンポ
こんどは雄々しい歌い方でヴァースがスタート、ツインボーカル?
楽器隊の誰かとツインボーカルのようだ
片方はワイルドで雄々しい声、メインボーカルの声が対比すると明るくて軽やかで良い
アルペジオなどをうまく使い明るめで爽やかな雰囲気で曲が進行する
ブリッジではブルージーに歌い上げる
サビの決めフレーズから再びオリエンタルなリフへ
リフからツインリードが入り欧州的というかメイデン的なフレーズを奏でる
今度はツインリードでオリエンタルリフを奏でて再びヴァースへ
ボーカルが明るくてよい、これも表情が豊か
コーラスが盛り上がり、再びオリエンタルなリフへ
中国的なメロディがより強調される
★★★★

10.Outlaws of the Western World
雰囲気が変わりミドルテンポなリフからツインリードで美しいフレーズ
とにかくツインリードが気持ち良い
ミドルテンポでブルージーなヴァース
コード進行は凝っている、ブリッジではボーカルとツインリードの掛け合い
サビは転調しつつマイナー色強めのフレーズ
リフでさりげなくコードをつないでヴァースへ
転調の展開が上手い
目まぐるしい展開でどんどんシーンが変わるが一つ一つのつなぎが丁寧
再びコーラスへ
ツインリードでコーラスを終わらせ、ソロ~ソロ、リフ
そこからブリッジへ、ボーカルは上ハモラインでテンションを上げる
コーラスへ、ハーモニーとボーカルの掛け合い
ツインリードが入ってくる
コーラスと絡み合う
★★★☆

11.Overdrive
ギターリフからスタート、その上にツインリードが乗る
組み合わせが上手い
ややAC/DCのようなリズム、ボーカルは軽やかでブルージーだが
ブリッジまで美しいメロディ、コーラス前に面白いコードの動き
サビは産業ロック的な開放感あるサビ、Journeyを彷彿させる
一瞬ツインリードを挟みAC/DC的ヴァースへ戻る
ブリッジを2回繰り返し、コードの展開が面白い
サビも2回聞くと独特、メロディがひねってあるが自然に聞こえる
ソロ~ソロ~ツインリード
AC/DC的リフパートへ
メロディアスなブリッジへ
またコードがぐるりと変わってコーラスへ
どうしたらこういう展開を思いつくのだろう、ひねくれている
ワイルドハーツ的ともいえるかも、あれよりコード展開が上手い
★★★★

12.The First Man
パワーメタル、Accept的な重厚なギターリフとミドルテンポからスタート
ツインリードなくそのままボーカルが入る
ボーカルスタイルは変わらずブルージー
ところどころメロディが激しく展開
ブリッジでコードがかなり動く、ブリッジ後半だけDIOっぽさ
サビへなだれ込み、長尺の下降メロディでヴァースへ戻ってくる
様式美的な印象もある、トニーマーティン期のサバスとかジョーリンターナー期のレインボウとか
様式美だがポップ
途中で急にテンポアップ、UFOのDoctor Doctorのリズムに
ツインリードをその上で軽快に弾きまくり、ソロへ2人のギタリストが交互に弾き、絡み合って終了
再び様式美パートへ
シンフォニックな大団円へ、テンポが元のミドルテンポに戻りコーラス
最後はツインリードで決め
★★★★

13.Still it Rains on Planet Earth
弦楽器的なキーボードの響きに乗ってナレーション
からメロディアスなギターソロがスタート
その流れのまま歌が入りヴァースへ
ブリッジの後ツインリード
サビはメジャーに転換、からのマイナー
コード進行が上手い
コーラス終わりは再び泣きのギター、音の細めなゲイリームーア
マイナーとメジャーの置き所が上手い、適度なバランスでメロディーが進んでいく
コーラスへ、コーラスからギターソロへ
この切り替えがゾクッとする、ギターソロ
コード展開していき長めのソロ
クワイア的なコーラスが入り、美しい和音で終了
★★★★

全体評価
★★★★☆
素晴らしい作曲能力、どの曲もフックがあり、ツインリードが美しい
コード展開も絶妙で、かなり凝っているが不自然さがない
気が付くと場面転換している
惜しむらくはプロダクションがややこもっているのと
洗練されて落ち着いている分勢いに欠ける
ボーカルも器用でうまいが、合う曲と合わない曲がある
テクニカルは匠さはあるが派手さがない
確かメイデンのデニス・ストラットンがいたバンドだった気がするが
そういわれると初期メイデンの香りもする
その後プレイングマンティスに行ったんだっけな
NWOBHM好きにはたまらない名盤

リスニング環境
昼・家・ヘッドホン

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