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『SeaBed』聖地巡礼記⑥東京編 Part1

前回の最後に「次回は大阪編」と書いたが、色々とあって東京となった。大阪と異なり、東京編の描写は作中でもしっかりと移動の経路が書かれており、かつほとんど全てが「Tips Ⅱ. 二度目の旅 ランドスケープイマージョン」に収まっている(例外はTipsⅢの「思い出」より「アプリコット」および「ウォーターゲーム」だ。ここでは佐知子と楢崎の東京でのやり取りが描かれている)。こうした経緯もあり、先に東京編を書くことにしたが、実はこのTipsⅡというのが非常に厄介なものとなっていることに、書いている途中で気が付いてしまった。そのため、まずは考察から書き進めることにする。

TipsⅡの視点は、リリィ(明日香)である。このことはTipsⅡの二話である「二度目の度の果てに」での描写から明らかだが、実は一話「ランドスケープイマージョン」の方だけでは、視点が誰だか分かりづらくなっている。

一応、「ランドスケープイマージョン」が開放されるのは第四章「小母さんの話」の後であり、また「二度目の旅の果てに」が開放されるのは第六章「忠告」の途中(内部のスクリプト的には、リリィが佐知子に対して「ぬいぐるみ」が楢崎の依り代となっていることを指摘したあたりだ)なので、佐知子と楢崎の関係が、七重(美紀)とリリィとの関係と似通っていることが示唆される場面なので、こうした点からTipsⅡがリリィの視点であると推測できるにはできる。だが、七重がリリィにとある点を「転移させている」ことを念頭に置かなければ、実は視点主がリリィであるとミスリードさせるような仕組みになっている。

この「彼女」とは誰か?

それは端的に言えば、七重の生来の「鳥好き」の部分だ。第二章「散策」で、佐知子が七重から鳥や野草の名前を教わるシーンがある。しかしこのことを第四章「温泉」で七重は、鳥好きの原因をリリィに転移させている。

七重の言うことを信じると小母=リリィだが、リリィは鳥の話を一切しない

正直、あまりに些細過ぎてこうして書き起こすまで気付かないでいたが、この点は「TipsⅡをいつ読むか」で明らかに印象が異なる箇所の一つであることは間違いない。この「温泉」のシーンは「ランドスケープイマージョン」が開放されるより後の話であり、Tipsが開放された直後に読めば、リリィの視点ということにすぐ気が付く(かもしれない)が、しばらく経ち「温泉」での七重の発言を鵜吞みにすると、「この視点は誰のものだったか」を混同する恐れがある。

前置きが長くなってしまったが、リリィの視点で描かれる東京の各所を見ていこう(とはいえ、東京編はほとんど地名が書かれるため、ほぼ簡単に訪れることができる)。まずはJR品川駅だ。今ではホーム柵が設けられているが、駅の構造自体は変わらないため、比較的容易に割り出すことができた。改めて比較してみると、都市開発が進んで背景のビル群がさらに増えていることが分かる。

JR山手線品川駅
現在も再開発が進むJR品川駅

そのまま山手線外回りに乗り、新宿で中央線に乗り換え、中野へ向かう。今の今に至るまで実は知らなかったが、「中野ブロードウェイ」はサブカルチャーの聖地として有名らしい。確かに、「中野に来たけど聖地特定して帰った」だけでは何となく味気ないので、そのまま突き進んでみると、「まんだらけ」の本店があり、1階から4階までぶち抜きで各階に小規模な分店があり、それぞれに奇妙な店舗名が付けられている(例:「変や」「海馬」「流線型事件」など)。あまり書くと長くなる上に本筋からも逸れるので、最後に中野駅の6番線プラットフォームを見て今回は終えることにしよう。

画像左手に見えるメガネのサワノは2017年に閉店していた。営業年数はなんと93年にも及んだ。
土日だったせいか、人の波が延々と続き、なかなか立ち止まる機会がなかった。
2階からの景色。どの階にもまんだらけがあり、人によっては抜け出せなさそうな場所だ。
目を凝らせば左の文字が「快速」であることは分かる。
JR中野駅。東京での乗り換えはなかなか慣れない。

こちらはTipsⅢの「ウォーターゲーム」で出て来るスチルだ。私自身はこれを見てもどこだか分からなかったが、友人が「6番ホームが中央線(=掲示板の真ん中にある赤い縦線が中央線のマーク)だからそこから割り出した」と言っていた。ただし、電光掲示板のデザインが刷新されていることもあり、もしかしたら駅が異なるかもしれないが、「中野」に聖地があることから逆算して、おそらくここなのだろう。

今回はそこそこ分量が長くなってしまったため、東京編も分割することにする。次回はアメ横・上野動物園・東京タワー編だ。


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