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木ノ戸久仁子「世界石化計画」

地球上に於いて何十万年、何百万年という時の流れで様々な物質が生み出される自然のサイクルを、陶芸は人工的に加速させる営みとも言えます。

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木ノ戸久仁子「マグマ」

木ノ戸久仁子さんはその陶芸の技法を用いて石を作っています。
「稀晶石」と名付けて自然には出来上がらない色彩や形の不思議な石を作り出して、最新作はなんと発光します。
地球のサイクルを彼女はちょっとだけ狂わせているのです。

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木ノ戸久仁子「稀晶石茶碗」

「綺麗な石が好きでそれを作りたかった」と動機は至ってシンプル。
しかしその制作には長年失敗の連続。(テクニカルな話を少しだけすると、色の違う釉薬は収縮率が違うため、焼成時にどうしても割れやすいのです)
石としての形を成立させるまでに数年を要したといいます。

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木ノ戸久仁子「稀晶石」

元々は石ばかり作っていたのだが、近年はその技法を使って茶盌やぐい呑といった作品も手掛けるようになりました。
そして「石として求める形と、道具として求められる形のバランスがやっと納得できるようになった」のはつい最近だそうです。

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木ノ戸久仁子「稀晶石茶碗」

今展のハイライトとなるのは最新シリーズ「夜光石」。
蓄光性の素材を焼き付け、夕暮れ時にはぼんやりと光りだす。
かつてオーストラリアで見た岩場に集まる土ボタルの風景を、掌の中に作り出したのです。稀晶石たちは小さな大地となりつつあります。

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木ノ戸久仁子「夜光石」

「人間はその成長の途中で石を最初におもちゃにするようであるが、また最後におもちゃにするのも石のようである」
(室生犀星「庭をつくる人」より)

例えば今の文明が滅亡しても、きっと次の文明の始まりでも石は愛されるでしょうし、珍しい石や綺麗な石は価値を持つのでしょう。
もしかしたら次の文明でこの稀晶石は覇権を握るかもしれません。
稀晶石はオーパーツ扱いとなり、発掘される旧日本エリアの特にこれらが集中している場所(=木ノ戸さんのアトリエだった場所)は何かしらの聖地とされるでしょう。

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木ノ戸久仁子「夜光石花瓶」

木ノ戸久仁子「世界石化計画」は徐々に進行中。
時の果て、全てが石になるその前に、この稀晶石をお楽しみください。



作品撮影:矢島愛子(白白庵/Teaist)

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〜世界の片隅で石を作る〜
She makes stones in a world corner

白白庵 企画
木ノ戸久仁子 個展 『世界石化計画』

http://www.pakupakuan.jp/exhibition/theworldpetrificationplan.html

日程 2020年2月22日(土)~3月4日(水)
   *木曜定休
時間 11:00~20:00
会場 白白庵(ぱくぱくあん)
   〒106-0072 東京都港区南青山二丁目17-14
   TEL&FAX 03-3402-3021
   www.pakupakuan.jp
   info@pakupakuan.jp

長い月日がめぐり やがて全てが石になる前に
人の心が形となり 人の記憶が刻まれる
そんな石をつくりたい

「石」の魅力に取り憑かれて以来、ずっと陶芸の技法で人工の石を制作し続けている木ノ戸。
錬金術のように生み出されるそれを「稀晶石(きしょうせき)」と名付け、日夜研鑽を繰り返しています。
オブジェとしての作品はもちろん、近年では茶碗やぐい呑といった実用の器にも稀晶石を織り交ぜ、茶人や愛好家にも評価されるなど表現の幅が広がっているのです。
そんな作家の白白庵での初個展で、世界は少し石化するでしょうか。乞うご期待!

【出展作家】 Artist

木ノ戸 久仁子
陶芸家 / 滋賀県在住

1976 滋賀県に生まれる
1995 登り窯窯元宗陶苑にて作陶を始める
    若手オブジェ集団SEEDSに参加
1998 ニュージーランドにて一年間作陶
2001 信楽窯業試験所釉薬科 修了
    ニュージーランドにて三ヶ月間作陶
2002 京都に作業場をもつ
2004 信楽町に築窯
2011 比叡平に築窯

【企画・ディレクション】Direction

石橋 圭吾 (白白庵) ISHIBASHI Keigo (PAKUPAKUAN)

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http://www.pakupakuan.jp/exhibition/theworldpetrificationplan.html


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白白庵 マネージャーPAKUPAKUAN Maneging Directorhttp://www.pakupakuan.jp/japanese.html

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