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元カノからLINEが来たから、最高の離婚を見た

4連休初日、やり残してあった仕事を家でチマチマと進めていると、1通のLINEが。机に置いてあるiphoneの通知バナーには、大学時代付き合っていた彼女の名前が表示されていた。心臓がバクバクした。さっきまで凝視していたディスプレイの中のプログラムが頭に入ってこなくなった。僕は席を立ち、部屋の中を右往左往。数分ほど歩いて、心が落ち着いたタイミングで改めてiphoneを手に取り、おそるおそるLINEを開いてみた。

「久しぶり!東京に引っ越してきたんだって?近々、ご飯でも行こうよ」

まじか。え、どうしよう。嬉しい。でも、え、うん、どうしよう。大学時代、長く付き合って、今もどこか心に引っかかっていた相手から連絡が来て、素直に嬉しかった。そう、確かに、嬉しいんだけど、なぜかその嬉しさを食い止めようとする謎の感情も同時に生まれて、複雑な感情で心が埋め尽くされた。心を落ち着かせて、返事を考えた。「久しぶり!」とだけ文字を打って、その続きをしばらく考えた。これって実際に彼女と会ったら、お互い昔の気持ちに戻って、復縁するドラマみたいなパターンじゃねぇ???でも、僕はまだ25歳だし、転職してきたばっかで仕事も大変だし、大学時代の彼女とヨリを戻すというのも、なんか恥ずかしいなとか考えてた。いや、まだ、何も始まってねぇだろ!ただ、ご飯に誘われただけだ!と、この文章を書いている僕は、ツッコミを入れる訳ですが、もうこの浮かれ具合が、彼女のことを、まだどこかで好きでいるという証なんだろうと思うのです。どれだけ、気持ちを落ち着かせようとしても、もう気持ちが浮かれまくりで止まらないのです。きっと、この自分の気持ちを素直に受け止めないと、いつか後悔するんだろうなと思ったら、この機会を逃してはいけないと思い、僕は、「ご飯行こう!再来週なら空いてるよ!」と続けて文字を打ち、彼女と会う約束を取り付けた。

(ちなみにですが、別れてから彼女と会うのは約3年ぶり2回目なんですね。前会った時のことは、noteの方に残してある。なんか同じようなこと書いてある。この時は、彼氏ができた報告をされております。)

後日、元彼女から連絡が来たんだということを、最近よく遊んでいる大学の後輩、YとGに伝えた。2人とも大学が同じなので、その彼女を知っている。実際に会おうと思っているということも伝えたら、2人は僕よりも気持ちが浮かれて、キャッキャ、ウフウフ言い出した。どんな顔して会えばいいかな?と相談をすると、Yが「それは、あれですよ、最高の離婚を見ましょう!」と言ってきた。「最高の離婚」は、坂元裕二脚本で2013年に放映されたドラマだ。

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「離婚?離婚って、僕はまだ結婚もしていないし、付き合っていもいないし、なんなら、まだご飯を食べに行く約束を取り付けただけだよ!」と返したら、「最高の離婚をとにかく見て欲しい!」と。どうやら、Yは最近の自粛生活の中で、最高の離婚を見返したらしい。気持ちも浮き足立って、何も手に付かないし、そこまで言うなら、最高の離婚を一から見てみるかと、休日を使って、「最高の離婚」を見てみることにした。

最高の離婚は、瑛太が演じる細かいことを気にする光生と、尾野真千子演じる、ガサツな女、結夏の真逆な性格の夫婦がメインとなる話である。喧嘩を繰り返し、離婚しようとするところから物語が始まっていくのだが、これが面白い。外に出れば、誰かに妻・旦那の悪口を言い放ち、家に帰れば細かいことでお互い悪口を言い合い、離婚と言う言葉を勢いで口にするんだけど、心の奥底では光生も結夏も、自分の至らなさを責めていたり、過去の過ちを悔やんでいたりする。しかし、その弱さを見せることができず、相手への想いを上手く言葉にできなくて、すれ違っていく。そんな不器用な2人の姿にとても共感できたし、きっと男と女が別れていく過程って、こんな感じなんだろうなって思ったりした。実際、過去の自分も相手のことを想ってはいたのだが、自分のつまらないプライドが邪魔をして、相手を大きく突き放してしまった。そしてそれを今もどこかで引きずりながら過ごしてきた。

なるほど、Yはこの男女の意地の張り合いは身を滅ぼすよ的なことを伝えたかったのかなと思った。ただ、話が進んでいく中で、今の自分にグサッと来たセリフがあって、それが光生が大学時代の元カノである上原灯里(真木ようこ)と出会って、光生が、今の僕のようにウキウキして灯里を食事に誘ったり、しつこく話しかけたりしにいくのだが、それに対して、真木ようこが言うんですね、「男って不思議だよ。なんで昔付き合ってた女が、今でも自分のこと好きだと思い込んでんだろうな」と。このセリフを聞いたときに、こう自分の胸がグッと抉られたんですね。Yはもしかして、これを僕に伝えたかったのか。すみません、僕も昔付き合っていた人から連絡が来て、まだ彼女は自分のことが好きなんだと思い込んでおりました。つくづく、男というのは馬鹿だなあと自分でも思うのですが、分かってはいるのですが、今も、その希望を捨てきれずにおります。彼女と久しぶりに再会したら、きっとドラマのような展開が待っている、そんな淡い期待を今も捨てきれずにいるのです。

最高の離婚は、一度見始めたら、止まらず、気付いたら土日の2日間で全11話を見切ってしまった。本当に名台詞が多くて、勉強になることが多かった。きっと結婚して見たら、また違った見え方がすると思うので、結婚できたら、その時の奥さんと一緒にまた見返せたらと思う。そんな未来のことは置いておいて、まずは今週末。何の服を着ていこうか。どんな顔で、どんなテンションで会おうか。今から、ソワソワしている。はてさて、安田物語はどのように進むのだろう。乞うご期待あれ。



ムムム。