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【生徒発信】PBL(マイプロ・ラボ)〜食堂でウクライナ料理を提供〜

 安田女子高校STEAMコースは、2021年4月に新設されたコースです。
 コースの特徴の一つが、週に4時間おこなっている「PBL(Project Based Learning)」という授業です。第二期のPBLは、2022年11月から2023年10月までの予定でSTEAMコースの一期生・二期生の2学年を対象に実施しています。

 
今回は、マイプロ・ラボで、ウクライナについての探究学習をすすめている自由を運ぶコウノトリチームの活動について報告します。


◎チーム名の由来

 私たちのチーム名を「自由を運ぶコウノトリ」に決めたのは、ウクライナについて調べているときに、コウノトリ(正確にはシュバシコウというそうです)が、ウクライナの人に「神聖、春と新しい命と平和の象徴、自由の象徴」として大切にされていると知ったことです。
 ウクライナでの戦争が長引いている中、私たちの行動がウクライナに自由と平和をもたらす一歩になればいいなと思って、この名前をつけました。


◎これまでの経緯1~アントンさんとの交流~

 2023年1月に広島大学に留学して数学を勉強しているアントンさんと交流し、ウクライナのことや日本での生活についてお話しさせてもらいました。その中で、ウクライナ料理のボルシチヴァレーニキの話しがありました。ボルシチには日本ではあまり食べない赤い野菜・ビーツが入っていることや、小麦粉でつくった皮でチェリーやポテトなどを包んでゆで、サワークリームを添えて食べるヴァレーニキという料理を教えてもらいました。

1月のアントンさんとの交流の様子

 アントンさんとの交流の後に、学校の食堂の方と相談させていただきました。
 ・ボルシチやヴァレーニキを学校の食堂で提供したいこと。
 ・それによって中高の生徒にウクライナのことを知ってもらいたいこと。
 ・できれば、募金などをしてみたいこと。

 食堂の方にいい取組だといっていただけたので、企画書にまとめて学校に提案し、食堂で提供する許可をもらうことができました。

食堂の方との相談の様子

◎これまでの経緯2~調理・試食会の実施~

 食堂での提供に向けての準備として、ボルシチやヴァレーニキのレシピを調べましたが、やはり本場の方に作り方や食べ方などを詳しく教えてもらいたいと思いました。そして、アントンさんに連絡して、広島に長く住んでいらっしゃるアナスタシアさんを紹介してもらって、3月にウクライナ料理(ボルシチとヴァレーニキ)の調理・試食会を実施しました。

アナスタシアさんから食堂の方がヴァレーニキの作り方を教わっている様子

 アナスタシアさんから、ボルシチやヴァレーニキの作り方や食べ方などを教えてもらいながら、楽しく交流することができました。素材の切り方や注意点など、実際に調理しながら教えてもらうことで、レシピを調べるだけでは分からないことをたくさん知ることができ、とても楽しい時間でした。

 できあがった料理もとても美味しくて、多くの人にウクライナ料理のおいしさを知ってもらいたいという思いが、とても強くなりました。

3月の調理・試食会で作ったボルシチ(左)とヴァレーニキ(右)

◎学校の食堂でのウクライナ料理の提供

 食堂での提供に向けて、報道機関に向けてのプレスリリースを作成して、学校から発信してもらいました。また多くの生徒に食べてもらいたいと思ったので、ウクライナ料理のことを知ってもらえるようにチラシを作成して、校内に掲示してもらいました。料理の満足度などを聞いて、次の取組に活かせるよう、アンケートも準備しました。

校内に掲示したチラシ

 そして4月20日と21日に、学校の食堂でのウクライナ料理の提供が実現しました。調理自体は、食堂の方たちがさらに工夫してくださって、ボルシチとヴァレーニキ(ポテトとチーズ、いちごの2種類)、キーウ風カツ、パンというメニューになりました。ヴァレーニキも調理・試食会ではゆでていただきましたが、食堂の方が試行錯誤してくださって蒸しての提供になりました。ボルシチも「何日か寝かすと美味しくなる」というアナスタシアさんのアドバイスをうけて、早めに作って数日寝かしてくださいました。食堂の方、本当にありがとうございました。

実際に提供されたウクライナ料理

 前日までは食べにきてくれる生徒が少なかったらどうしよう・・・という心配をしていました。でも、実際には多くの生徒がウクライナ料理を食べにきてくれて、いつもよりも食堂が混雑してしまいましたが、とてもうれしかったです。食べてくれた生徒のほとんどが、美味しいといってくれました。

多くの生徒が食べにきてくれました

◎アンケートの結果

 ウクライナ料理を食べてくださった方に、アンケートにご協力いただきました。

 まずは感想から。
『私自身ウクライナの問題については表面上だけでしか知らないので、これからこのウクライナ料理を通してもっとウクライナのことを知って、少しでもプラスになる支援ができればいいなと思います!』
『家ではなかなか食べられない、食堂ならではのメニューだった。自分の好きなものを増やすきっかけになってすごくいい企画だと思った。今後もやってほしい!』
『今回はじめて食べてこんな料理もあるんだ!と思い、食べながらいい学びができました!とても美味しかったです!』 

 このような記述から、「ウクライナを身近に感じて欲しい」という私たちの想いは、食べてくださった方に伝わったんだと、本当にうれしく感じました。

味についてのアンケート結果
ウクライナ料理をまた食べたいかどうかのアンケート結果



◎私たちの気持ち・感想

【料理について】
・ヴァレーニキは試作の時はゆでていたけれど、蒸すことによって皮の弾力がより感じられ、食感がよりもちもちしていてよかった。
・ボルシチは、試食の時のバラ肉からブロック肉に変えていただいて、よりお肉の味を感じられて、美味しかった。
・試作の時にはなかったキーウ風カツを食堂の方が用意してくれていた。これも美味しかった。
・サワークリームをまぜて食べること(味が変わっておもしろいこと)を知らなかった生徒もいたようで、チラシだけでは伝わらないこともあると分かりました。次はどうやったら伝わるかをもっと考えたいなと思いました。

【それ以外】
・今回の目標は「みんなにウクライナについて知ってもらおう」だったので、ウクライナのことを知ってもらい、考えながら食べてもらういい機会になってよかった。
・今の中高生は戦争について自分から遠いものだと感じている人が多いと思っていて、食べに来てくれる人が少ないかもしれないという不安があったが、ウクライナ料理の列にたくさんの人が並んでくれていたのを目にして本当にうれしかった。
・企画したものがたくさんの人に協力してもらって、実際に行動に移せて実行できたことがうれしかった。ただ、チラシやプレスリリースの作成がぎりぎりになってしまったので、次からはもう少し早めに取り組みたいと思った。
・今回は校内だけの取組だったけれど、繰り返して行動していくことで、身近な人から少しずつ広げていけたらいいなと思った。次は夏によく食べるウクライナ料理のレシピをアントンさんやアナスタシアさんに教えてもらって、次の提供を実現させてもっと多くの人に食べてもらってウクライナについて知ってもらいたい。

ドキドキしながらテレビ局の取材を受けました

◎これからの活動予定

 アンケート結果から、別のウクライナ料理も食べてみたいという回答が9割以上もあり、同じ料理(ボルシチ・ヴァレーニキ)を食べたいという回答よりも多めでした。なので、これからは暑い季節になるので、ウクライナで暑い時期に食べる料理をアナスタシアさんやアントンさんに教わって、次は別のウクライナ料理を提供しようと思います。そして、今回の反省点を活かしつつ、次回はよりウクライナについて知ってもらったり、募金したりできるようにこれからの活動をがんばります。
 今回の活動・ウクライナ料理の提供にあって、アントンさんやアナスタシアさん、食堂のスタッフの方を始め、さまざな方にご協力いただきました。
 本当に、ありがとうございました!!


■ 執筆者:安田女子高校 二期生(高2)
マイプロ・ラボ 自由を運ぶコウノトリチーム

チームのメンバー

■記事責任者:STEAMコース主任

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