
ユーザーの声を聴く_#6_いよいよ調査開始!
今回の参考図書は前回から学習している第4章が最もページ数を割いています。
計画 → ユーザーを集める → 入念に準備する → 本番直前の心構え → 本番
という流れなので、第4章が最も長くなるのも納得です。
第4章を一つのnoteにしようと思ったのですが、文字数が6,000以上となり少し冗長に映ってしまうので
①本番直前の心構え
②調査本番
と二つに分けることにしました。
今回はいよいよ②のパートです。
文字数:約4,500
参考図書
第4章 ユーザーと向き合う~いざ本番、セッションの中の落とし穴~
34 インタビューその1★ <インタビューの軌道修正>
・話し出したら止まらず気づけば脱線する人が中にはいる
・それた話題をそのままにすると調査の目的を達成できない可能性がある
・ユーザーの話に割って入る秘策
①話が変わる宣言出す
・強引にでも話題を切り替えたいときは勇気を出して強引に行くべきであるが、かならず話を変えるという前置きをする
②調査のテーマを思い出させる
③質問を繰り返す
・話が脱線するパターンは
1、質問の意味を理解しないまま話が進み収拾がつかなくなる
2、気持ち良く話しているうちにとっ散らかり何の話か分からなくなる
・いずれの場合も「質問はなんだったか」をなかなか聞けない心情があるので、自分も質問を忘れたフリをして「なんと質問しましたかね?」と伝え、質問を思い出させる
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P217~P221
35 インタビューその2★ <誘導しない>
・こちらに都合の良い発言をさせることを「誘導する」と言う
・誘導された発言はデータとして使い物にならない
・確証バイアスにとらわれた場合に限らず質問をするときの言葉選びを間違えると誘導尋問は発生してしまう
・誘導させない対策
①作った本人にモデレーターをさせない
・作った本人が最も確証バイアスが強い
②限られた範囲に絞った聞き方は避ける
・見てほしくない部分はなるべく見せず、見てほしい部分に注意を絞ると誘導は簡単にできてしまう
③「こう答えてほしい」があるときは特に用心
・限られた時間内で調査するため、焦点を絞ることは避けることができない
・ユーザーの発言をコントロールして、そのデータを都合よく使おうとする意図が裏にあるかが誘導かどうかの判断基準になることを常に意識する
・落とし所が心の中にある場合は、その相反するものも含めて両方にオープンに意見を問う
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P222~P227
36 インタビューその3★ <理由は自分で考えろ>
・表面的な質疑応答でなく、事実をありのままかつ網羅的に捉えることやユーザーの深層心理に切り込んでいくことを「深掘り」と言う
・深掘りのテクニック
①即答を迫らない
・理由を深掘りすると「分からない」に行き着くことが多いが、一緒に理由を考える歩み寄りが重要
②理由を一つに絞らない
・理由が一つ出てきても、ほかに理由に心当たりがないか複数聞くようにする
・違う文脈や環境を想像してみるのも良い
③理由でなく「きっかけ」を聞く
・「なぜそう思うのですか?」ではなく「そう思うようになったきっかけを教えてください」「そう行動するきっかけはありましたか?」と聞くように心がける
・きっかけを聞くことで、感情的な判断でなく、環境や文脈、その時の感情をひっくるめたシーンを思い出す
・またきっかけをつかんでも、ほかにきっかけがなりうることはないか深掘りすることも必要
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P228~P232
37 インタビューその4★ <どこまで掘るのか>
・深掘りのゴールはありそうでない
・深掘りのアプローチと判断基準
①回答を得たと思ったところから、必ずもう一歩踏み込む
②一直線でなく全方位的に掘る
・状況をもれなく理解するには、以下の3つを徹底的に全方位的に探る
1、ユーザーが取る行動
2、そのときの環境や文脈
3、ユーザーの心の内
③ユーザーに共感し、ユーザーの頭で考える
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P233~P239
38 インタビューその5★ <ユーザーによる正解探し>
・ユーザーが勘ぐってこちらの望む答えを詮索しようとする備える対策
①インタビューガイドは見せない
②同意を求められてもうなずかない
③ゆっくり考える時間を与える
・質問に質問で返してくユーザーもいる
・オープンクエスチョンは自由回答式の問い、クローズドクエスチョンは選択式の問い
・選択式はアンケートでも済んでしまうのでたくさんのオープンクエスチョンを投げかけてユーザーに自分の言葉で語ってもらうことが重要
・ユーザーが質問返ししてくるのは、単に回答が見つからずに困っているからであり、ゆっくり考えてもらう
④かんたんに例を出さない
⑤こちらの話は後出しにする
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P240~P247
39 インタビューその6 <クローズドクエスチョンの使い方>
・クローズドクエスチョンが誘導の入り口であることは確かだが、使い方はある
①自分の理解に間違いがないことを確認する
②ユーザーの口が重いときに対話の糸口とする
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P248~P250
40 インタビューその7 <喋ってくれないユーザー>
・ユーザーが喋ってくれない状況を生み出す理由と対策
①アンケートに「適当な回答」が混じっている
・疑わしい回答がある場合はリクルーティングの段階でバッサリ落とす
・アンケートに正確に答えようとしてくれる人の方が調査当日も真面目に取り組んでくれる
・どうしても参加してもらいたい場合は疑わしい回答に対して間違いがないか電話で確認する
②グループよりも1人の方が気楽と伝える
・グループインタビューのつもりで積極的に話をしないモチベーションで来ている人がいる
・グループインタビューかマンツーマンインタビューかは応募の段階でしっかり示してあげる
③残り時間を把握していることを伝える
・急に喋らなくなる=ラポールが崩れた
・原因として時間を気にしていることもあるので、残り時間を頃合いを見て伝える
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P251~P254
41 観察室とのやり取り <観察者からの要望への対処>
・残り5分になると監察室でモニターしているメンバーから追加の質問要望がたくさん出てくる
・残りの5分を有効に使う対策
①付箋に書いてもらう
・最後に追加の質問を集めることをガイドに含めておく
・ガイドと合わせて付箋も渡してあらかじめ記載しておいてもらう
②観察室に取りまとめ役を置く
・事前に付箋を取りまとめて「すでに確認した質問」「目的から逸れる質問」「残り時間では無理そうな質問」「参加してくれているユーザーからは得られそうにない質問」を排除しておいてもらう
③リアルタイムで要望を受け取る
・一番の理想は観察室からの要望をリアルタイムで受け取ること
・SMSやチャットで受け取る事も出来るがあまりチラチラ見たり、ユーザーに見えないようにするなどチームワークが必要
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P255~P261
42 行動観察その1★ <視点の切り分けと動線記録の残し方>
・ユーザー調査の目標は「コンテクストオブユース(利用文脈)」を把握すること
・行動として現れた事実を観察により把握することで、嘘やごまかしのないより真実に近いデータを手にできる
・せっかく行動観察まで行けたなら、次に示す3つの観察視点で眺められるように、3人以上の調査チームを組むのが理想
①ユーザーが見ているものを同じように見る
・ユーザーになりきって主観的に目の前の状況を見ようとすること
・どんな刺激情報を知覚し、どのような思考をし、どんな判断をして、どんな行動を起こすのかを本人になりきって追体験する
・ユーザーに張り付いて観察することから「シャドーイング」と言われる
②ユーザーが置かれる環境を客観的に外から眺める
・①の主観的な観察を補足する
・ユーザーが身を置く空間やそこに存在するオブジェクト、他者とのやり取りをひたすら観察して記録する
・ハエのように壁に張り付いて観察することから「フライオンザフォール」と呼ばれる
・ビデオカメラを全体を捉える事ができる場所に固定して、現場を広く観察し気付いたことをノートに記録する
③ユーザーと接する第三者の目でユーザーを見る
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P262~P266
43 行動観察その2★ <行動の説明をさせない>
・ラポール形成が思うように進まず焦りから観察する行動の概要を質問してしまうことがある
・ここで質問してしまうと、ユーザーは質問に答えたように行動し、調査は失敗に終わる
・上述した事態を発生させない対策
①ユーザーに行動を宣言させない
・ユーザーに「〇〇するときはいつもどのようにしていますか?」と聞くと答えた通りの行動をしてしまうので、絶対に聞かない
②行動にも正解はないことを伝える
・調査されるユーザーは正しい行動は何かをついつい考えてしまう
・つい行動について質問してしまっあ場合でも、行動の選択肢が一つではないことをほのめかし、宣言(質問への回答)通りに行動する必要はないことを伝えてあげる
③言動が一致しない場合は行動を信じる
・行動観察の後に結果に対する気持ちを聞いても真意が出てこない可能性がある
・行動とインタビューの発言が一致しない場合行動を信じる
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P262~P266
<第4章 ユーザーと向き合う Part2の所感>
第4章を全部読んで思ったことは
おもてなし精神が必要
です。
調査の場所が相手の場所であれ、自分たちが準備した環境であれ、「調査という環境」にご招待しお客様が普段と変わらない行動ができるようにもてなす、ということが重要だと思いました。
意外とユーザー調査する前にホテルの接客本とか見ておくと良いかもしれないです。