
読書履歴#5_センスって言われてもなぁ
読書期間 2022年2 月16日
PdMの学習しながら、デザインが今のビジネスには必須スキルであることが分かりました。
デザインと聞くと、どうしてアートのイメージが強いですが、いまはプロダクトデザインが製品ひいては企業価値すら高めています。
やはりその先駆者はAppleではないかと思います。
洗練されたデザインでもっているだけで格好いい。
ただ超理系の自分はデザインと無縁だったし、重要だと気付いたものの打ち手なし・・・というのも悔しいので「センス」について本読んでみました。
ちなみにこの本は、「イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き、田川欣哉著、大和書房出版」で紹介されていたので知りました。
文字数:約4,200
参考図書
Part1 センスとはなにかを定義する
・センスとは数値で測ることのできない事象の良し悪しを判断し、最適化する能力
・センスがいい商品を作るには「普通」という感覚が大切
・普通がセンスの良い悪いを測る道具になる
・普通とは「いいもの」「悪いもの」がわかった上で、一番真ん中がわかるということ
・数値化できない事象にはありとあらゆるものがある。それを最適化するとなれば多角的・多面的にものごとを測った上で普通を見つけ出し、設定する能力が必要
・子供のころ、お絵描きも歌うことも遊ぶことも楽しかったはず。しかし「絵がうまい、下手」「歌がうまい、下手」「運動が得意、苦手」と数字で測れない基準で判定をする
・芸術や運動のセンスを実技だけで測ろうとし、「センスは自分にない」「芸術は無理」「センスなんて生まれつき」と思い込んでしまう
・美術の授業がセンスのハードルを高くしてしまっている
・美術は学問であり、2つの要素がある
1、学科:芸術の知識を蓄える
2、実技:絵を描いたり、物を作る
・我々は何の練習と知識もないまま実技をやらされる。美術の歴史、見方、技法などの知識を学びながら実技をすることで、センス(普通を判断する力)を育てることができる
・ものの見方が増えることで、センスの良さが養われる
ISBN978-4-02-251174-4
P16〜34
<所感>
えっ。もう面白いですね。
イノベーション・スキルセットの中では、「ジャッジの連続」からセンスは生まれるとあり、それにも「なるほど」と思っていましたが、より分かり易いです。
もっと早く出会うべき本だった。
Part2 「センスのよさ」がスキルとして求められている時代
・人は技術がその時点の限界まで進歩すると、ノスタルジックな思いに身を寄せ、美しい物を求める傾向がある
・技術からセンスへの揺り戻しとも表現できる。技術力がピークを迎えるとセンスが求められる
・斬新なアイデアを生み出しても、すぐに成功するわけではなく、相当な時間がかかることを理解し、長期的な視野を持つことが必要
・売れるようになるまで絶対に売り続けるという企業の信念と体力が必要
・日本企業を弱体化させたのは、市場調査を中心としたマーケティング依存だと考えられる
・市場調査が人材育成の面でも危険な理由
1、調査に頼り、自分は何が良いと思い、何を作りたいかを自分の頭で考えなくなる
2、調査結果で決めたとなると、責任の所在が曖昧になる
・スティーブ・ジョブズは市場調査を重要視せず、自分の本当に欲しいもの、みんなも本当はほしいと自分が思うものを生み出す努力を続けてきた。経営者であり、クリエイティブディレクターでもあった
・失敗恐れず縦割りな組織に横串を刺せる人こそクリエイティブディレクターであり、それには次の3パターンがある
1、経営者または経営陣がクリエイティブディレクターになる。スティーブ・ジョブズのようなパターン
2、外部の人間がクリエイティブディレクターになる。著者の水野学さん、佐藤可士和さんのような人
3、企業特区を作りその中の人がクリエイティブディレクターの役割を果たす。サムスンや資生堂のようなパターン
・どんな良い仕事をしたり、最高の技術を結集しても、どんなに便利なものを生み出しても見え方のコントロールができていなければ、その商品は人の心に響かない
・見え方のコントロールこそ、企業や人や商のブランド力を高めることができ、それこそセンスの良さ
ISBN978-4-02-251174-4
P 35〜71
<所感>
本書の内容があまりにも分かり易く、改めて所感をまとめるまででもないのですが、技術とセンスの揺り戻しは目から鱗でした。
たしかにファッションや音楽のムーブメントは周期的と聞いたことがあります。
お父さんの服を着たがる中高生のニュースも多いですね。
何からインスピレーションを受けるかが重要でありますが、ムーブメントに対して源流を知り、そこに「今」を掛け算するってのが良いかも、と思っています。
Part3 「センス」とは「知識」からはじまる
・ここまでセンスとは何かを理解したので、ここからはセンスの磨き方について説明する
・センスを良くするには普通を知る、と説明があったが「普通を知る」ための唯一の方法は知識を得ること
・センスとは知識の集積
・誰も見たことのない新しい企画というテーマに大きな落とし穴がある。手始めに誰でも見たことのあるものに関する知識を蓄えることが大切
・過去に存在していたあらゆるものを知識として蓄えることが、新たな売れるものを生み出すには不可欠
・人はまた未来と過去が引っ張り合いする世界にいる。骨董好きや古いファッションのリバイバルなど、古いものに対する「美しい」と思う感情がバランスをとっている
・この未来と過去のバランスを加味した企画にしないと、先進的過ぎて誰もついてこれない企画になる
・みんなが「へぇー」と感じるのは、ある程度知ってはいるものの延長戦上にありながら、画期的に異なっているもの、すなわち「ありそうでなかったもの」
・知識に基づいて予測することがセンス
・センスを良くするためには、単に流行の情報を集積するだけでなく、数値化できない事象を最適化するために、客観情報が大切
・センスの最大の敵は思い込みであり、主観性。思い込みと主観による情報をいくら集めてもセンスは良くならない
・センスとは研鑽によって誰でも手にできる能力であり、生まれつきのものでない
・センスを磨くには、あらゆることに気がつく几帳面さ、観察力が必要
ISBN978-4-02-251174-4
P74〜95
<所感>
この本の冒頭で「センスは生まれつきでなく、誰でも見つけることのできる能力」と言っていましたが、ここまで読めば納得です。
そして「言うは易しで、自分には無理だよこんなの」って内容でもないのが素晴らしいです。
好きこそ物の上手なれ、という通り、興味があれば徹底的に付随する情報を深堀し、そこに関連する情報にもアンテナ張ることが重要です。
そういう意味ではnoteってアンテナ貼ってる人には相当刺激的な場です。
Part4 「センス」で仕事を最適化する
・ここではセンスを養うための知識を増やし、仕事を最適化するコツを整理する
・効率よく知識を増やす3つのコツ
1、王道から解いていく
・王道の地位を確立するまでに、改良され、洗練され「そのものらしさ」が磨かれてい。つまり、すでに最適化されている
・一方で何が王道かを知るのが難しい
・王道が何かを探るプロセスでセンスアップに不可欠な多くの知識を獲得する事ができる
2、いま流行しているものを知る
・流行を知るうえで最も効率が良いのは雑誌
3、共通項や一定のルールがないか考える
・集めた知識を分析・解釈するプロセス
・センスは知識の集積である以上、言葉で説明できないアウトプットはあり得ない
・自分のセンスで作り上げたアイデアについてきちんと言葉で説明し、ユーザーの心の奥にある知識と共鳴させることがクリエイティブディレクターの使命
ISBN978-4-02-251174-4
P98〜140
<所感>
Part2の所感で感じたことを、ロジカルに説明してくれていますね。
さすがだなと思って読んでいました。
本書ではPart4にはかなり多くの例を出してくれています!
私のnoteではエッセンスだけですが、ちょっとでも面白いと思ったなら
この本は手にすべき
です。良書リストが更新されました。
Part5 「センス」を磨き、仕事力を向上させる
・ここではビジネスパーソンがどのようにセンスを身につけるかについて、すぐにできる簡単なヒントをまとめていく
・知ろうとする姿勢が習慣としてある人には、ますます知識が増えていく
・コミュニケーションは伝えることがフィーチャーされがちだが、聴くことも大切であり、相手の専門性に合わせて自分をチューニングし、深く聴く姿勢が必要
・企画書などいま目の前にあるフォーマットを疑い、好きなことに変換することも、センスを磨くヒント
・センスを磨くうえで、客観情報と対極にある好き嫌いでものを見るのは禁物
・自分の好き嫌いは外して、「誰が、どんな時に、どんな場所で使うのか」を設定し、そこからそれぞれを掘り下げる
・多くの人はセンスがないのではなく、活用できていない
・センスを磨くには活用する技術を持つ事も大切
ISBN978-4-02-251174-4
P142〜177
<所感>
センスがないのではなく、活用できていないだけ
このワードは響きました。
結局私が冒頭で書いたように、センス=アートというイメージが強く、アートは天性の才能という思い込みが強い。
ゆえに自信を無くして活用するつもりすらないのが現状だと思いました。
デザインが企業価値およびビジネスパーソンとしての市場価値を高めるうえで必要不可欠になっています。
センスを磨くには知識の蓄積、とありますが、そもそもセンスとは何か?という疑問が発生しなければ知る由もありません。
常に情報にアンテナを貼り、情報をアウトプットする過程で分析・解釈する癖のある人なら問題ない!と自信を持つことができました。
最後に繰り返しますが、本書ではもっと著者の経験も含めた事例がふんだんに含まれています。
是非、手に取ることを強くオススメする意味で参考図書を再掲します!