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読書履歴#4_私の転職の背中を押してくれた本(苦しかったときの話をしようか)

読書期間 2022年1月4日〜2月11日
文字数 約6,000

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PdM関連から少し離れて、趣味の読書です。

今回も超人気作です。
USJのターンアラウンドで有名になった森岡毅さんの著書です。
森岡さんの本は今回の参考図書以外にも「確率思考の戦略論」も読んでおり、正直大ファンです。

『苦しかったときの話をしようか』も2年前に読んで、感動していました。
今回は忘れたくない内容をnoteにまとめました。
タイトルにもありますが、この本は私の転職を後押ししてくれた大事な本です。
(北野唯我さんの“転職の思考法“と合わせて読むのがオススメ)

参考図書

第1章 やりたいことが分からなくて悩む君へ

・選ぶオプションがわからないことでも、世界のことを知らないからでもなく、「自分自身のことをよく知らないから」=自分の中の軸がまだない
・軸がないのは自分自身を知る努力を十分に行なってこなったから
・重視する軸は単純に一つでなく複数あることが多いので組み合わせがさらに多様化する
軸は経験を通して価値観と共に変化するし、それで良い。その時々で軸に合わせてアップデートすれば良い
・自分のことを把握している度合いをSelf Awarenessといい、いつ考えても早すぎることも遅きずることもない

会社に依存するのではなく、自分自身のスキルに依存するキャリアの作り方が必要
・スキルこそが相対的に最も持続可能な個人財産であり、時代に合わせたアップデートを怠らないようにする
・スキルを身につけることでプロとして十分なスキルを獲得すれば主導権は自分に移り、会社が自分を選ぶようになる
・職(スキル)でなく会社と結婚すると、長い年月、会社から言われた仕事でまんべんなく分散して5、10年後になんのプロになっているだろうか。「私はどこに勤めている」と言えても「私は何が出来ます」とは言えない

苦しかったときの話をしようか
ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」
ISBN 978-4-478-10782-9
P20〜47

<所感>

私はどこに勤めていると言えても、何が出来るか言えない。
グサッと来ました。
私は転職が一つの人生の選択肢であると認識した後に意識したことは以下の2点です

① いまやっている業務は他の会社でも通用する内容か
② 転職サイトに登録し、自分の職務の棚卸とどのような人から声がかかるかを理解する(市場価値の把握)

実際意識してみると①が驚くほど少なかったです。
ようは、今の会社の中での業務であり、それができたからと言って他に誇れないということです。(具体的には社内調整など)
もっと早くこの本に出会っておけば良かった・・・と思いました。

第2章 学校では教えてくれてない世界の秘密

人間は生まれながら不平等だが、先天的な特徴と後天的な環境の組み合わせの自分独自のユニークな特徴を理解することで、特別な価値を生む可能性がある
・自分がコントロールできるのは
1、己の特徴の理解
2、1を磨く努力
3、環境の選択

・すべてに本質があり、「本質→構造→現象」の順に上位が下位を拘束している
・資本主義の本質は「人間の欲」
サラリーマンの外に資本家の世界があることを知った上で、自分を活かす機会にアンテナを張れる人になるべき
ほどほどにサラリーマンとして出世して心地よくなってきたときこそ、環境を大きく変える挑戦がキャリア向上に極めて有効

◼️ 年収を決める3つのドライバー
①職能価値
・スキルに対する需要と供給で年収が決まる
②業界の構造
・業界特有の構造的な限界があり、儲かっている業界や企業は年収が高くなる
・理由は市場構造が人件費を決めるため
③ 成功度合いによる違い
・自分がどれだけ重要で代替不可能な能力を有しているか

・本当に安定したいなら、今の大企業でなく未来の大企業に入るべき
・将来性のある会社の見極め方
1、需要の変化
・売上を支える市場の需要がどれだけ将来にわたってあり続けるのか
・その会社が今稼いでいる基幹技術に対する代替技術の出現可能性も視野にいれておく
市場の需要は、大きな目で見ると消費者のプレファレンス(相対的な好意度)に従う。そのプレファレンスは必ず「より便利で快適なもの」を求め続ける

2、持続可能な「構造」の有無を診る
・構造とは一過性のものでなく、現在の業績を支えている競争力の源泉であり、それが持続可能かを判断する
・構造の代表的なものとして知的財産(特許権、商標権、著作権)
・マーケターが創る「ブランド」も、勝手に使って商売出来ないので、シェアを維持する強力な構造となる

苦しかったときの話をしようか
ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」
ISBN 978-4-478-10782-9
P52〜106

<所感>

これは森岡さんが、自分の娘のために書いたものだな。とひしひしと伝わってくるセクションでした。
ただ、ビジネスの基本やお金の作り方など、案外知らない人も多いと思います。
このセクションは実際に本を手に取って確認することをおススメします。

第3章 自分の強みをどう知るか

◼️ キャリア戦略を立てるためには、まず目的をたてる
・人生の夢が明確ならそれを目的とすれば良いが、そうでないなら仮説でも良い
目的もプランも変わる可能性が高いが、ベースとなる大きな目的は持っておいた方が良い
・将来変わるかもしれない仮説を作っておく価値
1、納得性
・さまざまなことが起こって振り返ったときに、歩いてきた道に自分自身が納得できる
2、一貫性
・おぼろげながらでも早めに目的を設定し、その方向へキャリアの専門性を集積する貯金を開始しておいた方が得

目的が見えてくる発想法として、具体的な「こと」からでなく「どんな状態」であれば自分がハッピーかと未来の理想「状態」から発想する
・理想状態を掘り起こしていくことで、具体的なことは何かを発想していく

◼️ 強みの見つけ方
・目的が定まれば、達成するための戦略をたてる
・戦略を立てる際に重要なことは、己の資源(ビジネスでは、ヒト、モノ、カネ、情報、時間、知的財産の6つ)

<強みは必ず好きなことの中にある>
・好きなことをしている文脈をどんどん列挙する
・好き嫌いは生まれ持った特徴の反映
・列挙する際に注意すべきは、好きなことは名詞でなく動詞にすること

<T、C、Lの人>
・列挙した文脈とセットの強み(好きな動詞)となる特徴を、どの職能においても重要なビジネスパーソンとしての基礎能力に分類したもの

Thinkingの人:考える力・戦略性が強み>
・趣味:知的好奇心が満たされるもの(戦略ゲーム、囲碁将棋など)
・傾向:無意識に課題を設定して頭を使って遊んでる人(理屈っぽいと思われることが多い)
・職種:ファイナンス、コンサル、研究職、アナリスト、マーケターなど知的労働の難易度と濃度が強い職能

Communcationの人:伝える力・人と繋がる強み>
・趣味:人脈づくり(人からどう見られるかが気になる人が多い)
・傾向:高いコミニュケーション能力と社交性(人に好かれる能力が高い)
・職種:プロデューサー、営業、PR・広報、交渉人、ジャーナリスト、政治家など人脈構築力がものを言う職能

Leadershipの人:変化を起こす力・人を動かす強み>
・趣味:達成感を味わえるストイックなもの
・傾向:とにかく挑戦する 
・職種:管理職、経営幹部、経営者など人に結果を出させる強みに長けている職能

苦しかったときの話をしようか
ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」
ISBN 978-4-478-10782-9
P109〜150

<所感>

日本人に欠如しがちなSelf Awarenessを実施するフレームワークとその構成要素であるT、C、Lについて理解できました。

数年前に初めてこの本を読んだ時、自分はC寄りかな?と思った記憶がありますが、それからしばらくキャリアを積み役職も得るとTと Lも少し強くなったと感じました。

すなわちこれって

人はみなTCLの素質はもっている

って事だと理解しました。
ではなぜ私はCの人だったのに、この数年でTとLを高める事ができたのか、と考えると

真面目に、謙虚に、愚直に、
目の前の課題を解決したから

だと思います。結局ビジネスパーソンは真面目で謙虚で愚直じゃなきゃいかんな。と深く心に刻みました。

ちなみに私見ですが、新卒でこれから就職活動する人にオススメなのは

・インターンとしてビジネスマンと接する
・その中でモデルケース(こんな人になりたい、こんな人と仕事したい)を作る

ことで、ベクトルは定まるかな、と思います。

第4章 自分をマーケティングせよ

・面接やプレゼンにおいて伝え方(How)よりも中身(What)が重要で伝え方9割でなく、内容が10割
誰に伝えるのか(Who)→何を伝えるのか(What)→どう伝えるのか(How)の順番で考えるのが良い
・緊張から解放されるためには『My Brandを予め設計しておくこと』、これによって上手に話そうと全く思わなくて良い状態になる
My Brandとは簡単に言うと「あいつはああいう奴だけど、こういうところは価値があるから、まあ良いか」と相手に評価してもらうこと
・ブランドとは人の頭の中に作られる「売れる仕組み」の本質
・ブランドの設計は、自分という商品を買ってくれる確率を上げるように設計しないといけない
・自分で設計したMy Brandに沿った行動を心がけることで、My Brandの示す方向へどんどん成長することを実感できるようになる

◼️ My Brandの設計図
A)ブランド・エクイティー・ピラミッド
1、どこに(Where)自分を売るのか
・すべての選択肢から戦場を規定する(例:就活の戦場を金融業界、マーケティングを習得できる会社、女性に働きやすい会社など)

2、誰に(Who)買ってもらうのか
戦略ターゲット(ST:Strategic Target)とコアターゲット(CT:Core Target)の二つがある
・STはブランドが選ばれる確率を高めるために経営資源を少しでも投下する広いくくり
例)無視できない人たち(他部署、同僚、部内の評判など)
・CTはSTの中でさらに集中して資源を投下する、より狭いくくり
例)直接影響を与える人たち(上司など)

3、何を(What)買ってもらうのか
・消費者は本質的には情緒的に意思決定しているため、Whatは目に見えないことがほとんど

4、どうやって(How)買ってもらうか
・Whatで定めた大きな戦略を実行するために、より具体的で周囲から見える「自分のスキルと絡めた実現手段」を書くと良い

◼️ 転職は武器になる
・転職はキャリアの目的達成の手段に過ぎない
・転職が良い悪いではなく、目的に適う転職だけが良い転職
・多くの人は、今の職場におけるネガティヴ要素が理由の「能動的な転職」しかできず、「積極的な転職」という手段をとる事ができない
・転職によるメリットは「目的達成の確率を上げること」と「成長ブースト効果」
・人は心地よい環境に身を置くと成長をやめてしまう生き物であり、うまく行っている時ほど自分の心地よい均衡を意図的に壊さねば成長はできない

苦しかったときの話をしようか
ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」
ISBN 978-4-478-10782-9
P152〜212

<所感>

noteのタイトルにもしていますが、この章では森岡さんの転職の考え方について語ってくれてます。

この本を手にしたとき、まだ転職するぞ!ってほどでもなかったですが、

「自分がどうなりたいかに対して転職は正しい道にもなりうる」

と勇気づけられました。
ここ最近は転職サイトも乱立し、転職がとても身近なものになっています。
ただ日本市場はまだまだ人材流動性が高いと言えません。
これは「終身雇用制度」と「ジョブローテーションによるゼネラリスト美学」の影響と思います。

これを真っ向から否定するつもりはないですが、明らかに時代の流れは変わってきています。

私は転職を決意し実施し後悔はありません。
なぜなら「なりたい自分とやりたいこと」が明確だからです。

きっとたくさん色んなシーンで「前の会社の方が良かったな…」と思う事があると思いますが、それは成長への道に乗ったと言うことです。

第5章 苦しかったときの話をしようか

人が最も苦しいのは自己評価が極端に低くなり、自分自身で自分の存在価値を疑う状況に追い込まれたとき

苦しかったときの話をしようか
ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」
ISBN 978-4-478-10782-9
P214〜264

<所感>

この章は本のタイトルにもなっており、読みながら泣いてしまいそうなくらい素晴らしい内容です。
わざわざまとめるものでもなく、自分が苦しいときに目を通したい内容と思い、ほぼまとめなしです。

自分の備忘メモとして

①周りに合わせず、自分の強みを自分のやり方で伸ばす。ただ強みが周りに伝わるまでは貪欲に学ぶ姿勢と数年に満たない時間が必要
②トップ肝入りプロジェクトを通して学んだこと
・サラリーマンとして後ろ向きな仕事は避けられない
・信念と行動の一致が大切
③海外赴任直後のいじめに近い環境から学んだこた
・強い人間は環境に合わせて自分を変えるか、自分に合わせて環境を変える、このどちらもできる

第6章 自分の弱さとどう向き合うか

自分の行動を変えようと思ったとき、人はなかなか変われない。それは変わろうと覚悟したときの意識変化と、実際の行動変化までのタイムラグに耐えられないから
行動変化には時間がかかる
・行動を変える時のコツは「すぐに変われないことを自覚して、時間がかかることを織り込んで変わる努力を継続する」こと

苦しかったときの話をしようか
ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」
ISBN 978-4-478-10782-9
P266〜264

<所感>

弱さへの向かい合い方についても丁寧な森岡さんの指南が含まれていました。
ビジネスパーソンとして10年以上経た私にとって、特に印象に残ったのは、行動の変え方でした。

そうそう!すぐ変われない

と一人で頷きながら読んでました。
この本が秀逸だな。と思うのは、

自分が部下を持ったときに部下に対して「変われないながらも変わろうとする努力を認める」と言う目線です。

気をつけよって思いました。

ちなみに私自身も娘を持つ父として、最後の「未来のきみへ」は涙なしには読みきれませんでした。
父からの愛情たっぷりの良書でした。

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