旅は楽しみ。旅は学び。旅は成長。旅はマインドフルネス。旅は人生そのもの。

旅とはなんだろう？
もちろんひとつには景色や風景、音や風や光が作り出す非日常的世界の時の流れを味わうものである。
しかしそれ以上に、一緒に行く仲間たちでその楽しみが想像以上に変化するものだ。再度同じ場所を、同じ仲間と訪れたからと言って、まったく同じ時間を過ごせるわけでもない。それはまた違うステージであり、違う景色や風景であり、違う光や空気や風だからだ。

もう二度と同じ時間を過ごすことが出来ないからこそ、味わう経験や体験は貴重なものになってくる。もう二度と同じ時間を過ごすことが出来ないからこそ、同じ時間を共有した仲間たちとは心の底から語り合える。

旅をすることで、かけがえのない時を過ごし、かけがえのない体験をする。旅することは『いま、ここ』に生きる感覚。それこそが真の宝物であり、真の旅の魅力なのではないだろうか？

ハワイはかけがえのないたくさんの思い出がある場所であり、私を成長させてくれた場所だ。数多くの人たちをこの地の自然と繋ぎ、この地の人たちと繋ぎ、アロハスピリットと繋げてきた。

時には懐かしい風景や匂いに出逢うこともある。あまりの自然の美しさや驚異に自然と涙が出てくることもある。ハプニングに出くわし、不安になったり狼狽したりしたことだってある。

そうしたひとつひとつの出来事を通して、学び、智恵を得て、強くさせてもらってきたのだ。しかしそのハワイは私にとってもはや遠い旅先となってしまった。

忘れもしない、2016年10月12日。まさかの強制送還によってビザを取り消されてしまった。何ひとつ悪いことなどしていないのに、入国管理官の裁量ひとつで人生が変わってしまった日だ。しかしそれさえ、私が自分で起こしたことなんだな、と今なら思える。きっと他にお役目があるのだ、と自分に言い聞かせてきた。

ハワイは本当に私にとって愛する恋人のような存在だったから、その後数年は抜け殻のような人生だった。ハワイのことをなるべく考えないようにしようとしていた。ハワイに関するものを何も見たくなかったし、聞きたくなかった。ハワイを考えるだけで涙が出てきた。それくらい心にダメージを受けた出来事だったのだ。

でも今はまたこうしてハワイのことを綴っている。ハワイに行けなくなってから、アジアを中心に旅をした。それでもハワイのような感覚を持つには程遠く、ハワイほどどこも詳しくはない。
それでもこうした旅が私にはリハビリになっていた。ひとつひとつの旅の思い出が私の心を強くしてくれていた。そのおかげで今はこうしてハワイを思い出し、学んできたことを思い出し、日々綴らせていただいている。

今はとても幸せだな、と感じている。たくさん旅をしてきたことが私自身のかけがえのない財産であることには間違いない。旅から学んできたことが本当にたくさんあるからだ。本当に私は体験すること、まだ見ぬ世界を見ることが大好きなんだなということを知った。
私にとって旅は哲学であり、心理学であり、文学なのだ。

旅は人生の縮図。旅をすることで人は成長する。そこには決して教科書やマニュアルには載っていない「人生において大切なこと」が学べる。

旅は人を魅力的に変えてくれる。優しさや、大きさ、素朴さ、純粋さ、順応性、臨機応変、感じる目や耳や心を与えてくれる。

流れる時間は決して止まってくれない。だから時間を捕まえに行く。時間を捕まえに行き、それを心という印画紙に焼き付ける、それが旅だ。

『いま、ここ』の瞬間を切り取り、心に刻み込む。いつしかその心に焼き付けられた印画紙の数々が想い出となり、人を強く大きくしていくものだ。
だから旅はやめられない。次はどんな旅の物語に出逢えるだろうか。