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「富士山チャーハン」という料理【芳葉 @海浜幕張】

ある日、とあるテレビ番組を見ていたときのこと。番組名は覚えていないけどたぶんグルメ系の番組。最近はテレビを付ければどこかしらのチャンネルで何かしらのグルメ番組がやっているから、おそらくそのどれかだろう。その番組では、ある町中華について特集されていた。

町中華、といえば日本に数ある飲食店の中でも僕がトップクラスに好きなジャンル。都心にある景色の良いオシャレレストランよりも、シミだらけできったねぇ看板がトレードマークの町中華の方が、個人的にはそそられる。僕は町中華が大好きなので、そのテレビ番組のことを覚えているんだと思う。

その番組はたしか町中華の人気メニューについていくつか紹介する、的なよくある内容だったと思う。最初に店の外観を紹介し、続いて内観、店主さんを紹介、そして料理を何品か紹介するといった王道な構成である。まあ町中華だし、チャーハンや餃子、ラーメンあたりが順番に紹介されてくんだろう…なんて思っていたら、なんとも意外性のある料理が紹介され始めた。それが「富士山チャーハン」だ。

その「富士山チャーハン」は、名前のとおり普通のチャーハンではない。普通のチャーハンは、皿の上にドーム型に盛られているものが多い。「富士山チャーハン」は、盛り付け方からして特徴がある。皿の上にチャーハンを盛る際に、チャーハンの真ん中に空洞を作る盛り方をするのだ。通常のチャーハンは皿の真ん中に向かって高くなっていくが、一方の「富士山チャーハン」は皿の外側に向かって高くなっていく。そしてその真ん中にできた空洞に、レバニラ炒めや生姜焼きなど、別の料理を乗せるというなんとも斬新なチャーハンなのだ。

お店の方いわく、富士山の噴火口をイメージして作ったので「富士山チャーハン」という料理名にしているそうだ。僕はこの料理をテレビではじめて見たとき、衝撃を受けた。どういう衝撃かというと、あえて言葉を選ばずに言うのなら、なんだこのアホみたいな料理は…と思ってしまった。もちろん軽蔑しているわけではない。発想がわんぱく過ぎてビックリしてしまったのである。

そんなアホみたいな料理がとても印象的だったので、僕はそのお店をGoogleマップにピン留めしておいた。そのお店は京成幕張駅の近くにある「芳葉」というお店だ。


Googleマップにお店を保存してからどれほどの月日が流れたかはまったく分からないが、とある2024年の7月、僕はその「富士山炒飯」を食べに京成幕張駅で電車を降りた。

駅からお店までは歩いて5分ほど。住宅街の狭い道を歩いていたらすぐにお店に着いた。この時11時20分ごろ。お店の開店は11時半ということで、まだお店は開いていなかったが、11時半になるとすぐにオープンした。


お店の外観。これはまだ開店前。

ほかに開店前から並んでいるお客さんはおらず、たった一人で開店とともに入店。お店に入ると店員さんが何やら雑談をしていたようだったが、

「いらっしゃいませ〜」

と挨拶はしてもらえた。女性の店員さんの案内で、お店奥のテーブル席に通された。

テーブルの上に置かれたメニューには、ラーメンや餃子、チャーハンなど王道な町中華のメニューが並んでいる。特にチャーハンに関してはチャーハンだけでも7種類もあるようで、チャーハン好きの僕としてはとても魅力的に見えた。また、このメニュー表以外にもお店の壁には別のメニューが貼られており、カレータンメンやカレーチャーハンなど、これまたそそられる料理名がたくさん書かれている。カレーもいいなぁ。

いやでも今日は「富士山チャーハン」を食べると決めてここにやって来たのだ。他のメニューに浮気するわけにはいかない。僕がほかのメニューを食べるのは、ここに再びやって来たときだ。そんな固い意思の下、僕は再度メニュー表に視線を移した。メニュー表には割とデカデカと「富士山チャーハン」と書かれており、やはりこのメニューがお店の名物であることが窺える。富士山の火口にあたるチャーハンのくぼみ部分に入れる料理は、8種類の料理の中から選ぶことができる。八宝菜やレバニラ、生姜焼きなどそれ自身が定食のメインになりうる料理ばかりだ。

メニュー。「富士山チャーハン」が一番目立つ。

僕はしばらく考えた末、「富士山チャーハン」の「タレ焼肉」トッピングを注文することにした。あとついでに焼き餃子のハーフも注文した。ほかのメニューに目移りはしたが結局ちゃんと富士山チャーハンを注文することができた。

注文後、厨房の方から中華鍋を振る音が聞こえてくる。この音が食欲を掻き立ててくるし、料理への期待値も自然と上がってくる。そんな感じで10分ぐらい待っていると、今回の目的である「富士山チャーハン」が僕の目の前に姿を現した。

僕は目の前で料理を見て改めて思った。やはりアホみたいな料理だなと。しかし生で見たときはそれだけではなかった。チャーハンと肉炒めという、決して交わらそうな2つの料理が皿の上で造形美を作り出している。ちょっとした芸術性すら感じてしまう一品だ。

この日の目的、「富士山チャーハン」。

そのチャーハンの壁をスプーンで崩し、いただいてみる。口に入れてまず思ったのは、シンプルにチャーハンが美味い。パラパラ感がやや強めで米一粒一粒の食感がよく際立っている。あとネギを噛んだときのシャキシャキ食感がとても心地良い。味としては塩味のパンチが強めだけどしょっぱ過ぎない良い塩梅。とても美味いわ。

パラパラ感がとても良い。

富士山の噴火口部分に堂々と居座っている焼肉炒めにも手を出してみる。やや甘辛の味付けでこちらも塩味が強め。コイツ単体でご飯がバクバク進みそうな味がする。だが今日のコイツのお供は白飯ではない。富士山の噴火口を形取ったチャーハンだ。この2つが相性が良いということにも驚く。

このお肉、火口に見えなくもない。

続いて餃子もやって来た。餃子はやや大ぶりでタネのシャキシャキ感がよく目立つ餃子だ。割と食べごたえのある餃子だったので、ハーフにしたのは正解だったと思う。そんなことを考えていたら、隣のテーブルで別のお客さんが僕と同様に「富士山チャーハン」を注文していた。やはり人気のメニューのようだ。

1個1個が割と大ぶりな餃子。食べ応えがある。

テレビで見たあの「富士山チャーハン」が乗った皿は、気づいた頃には空になっていた。最初はその見た目と発想の奇抜さに度肝を抜かれた一品だったが、いざ食べてみると夢中になって食べ進められる美味しい料理だった。

会計は、1200円。安い。都内だったら1500円はとられてただろうな。


そこそこの満腹感でお店を出た。町中華の魅力は、行けば必ずといって良いほど満腹感を得られることだ。たまに注文し過ぎてしまって苦しい思いをしてしまうのもまた魅力である。

ここで摂取したカロリーを消費するため、このあと一人で幕張公園まで散歩したりした。それにしても、7月でもう猛暑日か。8月はいったいどうなってしまうのだろう。


今回行ったお店

芳葉
●住所:千葉県千葉市花見川区幕張町5-477-18
●アクセス:幕張駅から徒歩4分
      京成幕張駅から徒歩5分
●営業時間:11:30〜14:00
      17:30〜22:00
●定休日:日・月
●駐車場:なし


頼んだメニュー


●富士山チャーハン ¥1000
●餃子 ハーフ ¥200


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