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個性的な餃子のパラダイスが味わえるお店【PAIRON @飯田橋(東京都新宿区)】

僕は餃子が好きだ。

普段一緒に働いている人には申し訳ないが、僕は次の日職場に出勤する予定があろうが平気で中華屋に行って餃子は注文するほど餃子が好きだ。さらに僕は昼休みの時間、午後になったらまた職場でいろんな人と仕事をしなければいけないのにもかかわらず、1ミリの背徳感もなく餃子に入ったニンニクを雑念0%の気持ちで美味しくいただけるほど肝が据わっている。ぶっちゃけ会社にこんなヤツがいたら、きっと厄介者に違いない。


しかしもし自分の職場で僕の隣にニンニクくせーヤツが座ってたら、オイオイくっせーな。お前出勤して来るくせになんでニンニク食ってんだよ。頭イカれてんのか。それとも嗅覚がイカれてんのか。どっちなんだよ、お前のニンニク臭のせいで仕事集中できんわ。とか考えそうな気がする。他人に対してはそう思う。でも僕は餃子が好きだから食べたい時に餃子が食べたい。たまたま隣に座ったヤツのことなんてどうでもいい。隣の人が浜辺美波とか橋本環奈とかじゃない限り、しょせん当たり障りのない話しかできないような隣の人にニンニクくせーヤツだと思われたって僕は構わない。それにそもそも、全員テレワークにすればいいだろって思う。僕の仕事なんて出勤しなくてもできる仕事であるはずなのに、一体なぜ出勤させられているんだといつも思う。みんなテレワークになれば、隣のヤツの体臭を気にすることなんてないし、他人様からの目線も気にする必要がないはずだ。もし僕が毎日ニンニクがたっぷり効いた餃子を食べて職場に堂々と居座ってやれば、僕のニンニク臭を嗅がないために上司がテレワークを推進してくれないだろうか、なんてことを考えてしまうこともある。餃子は大好きだけど、僕は出勤は大嫌いだ。



そんな僕はある日の昼休み、僕は飯田橋駅にやって来た。僕は飯田橋駅近辺で働いているわけではないが、仕事の合間を使ってわざわざ飯田橋駅まで電車に乗ってやって来たのだ。

なぜ飯田橋駅なのか。そんなの、餃子を食べるために決まっている。ここ飯田橋駅の近くには、何やら変わった餃子を出すお店があるらしい、という情報はだいぶ昔に『かりそめ天国』を観た時に知った。その時からずっとGoogleマップに保存していたお店に歩いて向かう。

ちなみに飯田橋駅の近くには、絶品の餃子がいただける「おけ以」というお店もある。

飯田橋駅から10分ほど歩くと、この日のお目当てのお店にたどり着いた。やって来たのは「PAIRON」というお店。白い看板にあからさまに目立つように「ぎょうざ」と書かれており、入口の扉の枠は自分で塗装したのかと思うような雑多な塗り方で赤く染められている。お店の入口からして少し変わった雰囲気のお店だと感じた。人気店にありがちな店前の行列はできていない。このお店は食べログ百名店にもノミネートされているので多少の並びは覚悟の上でやって来たが、お店は意外と空いているようだった。

お店の外観

その赤い扉を開けて入店。中に入ると黒人の外国人の店員さんが流ちょうな日本語で僕をカウンター席に案内してくれた。こういう中華のお店で外国人が働いている場合、なんとなくアジア系の方が多いようなイメージがある気がするが、ここはどうやらこの黒人の店員さんのワンオペで営業しているらしいことが意外だった。

お店は混んではおらず、カウンター席に3人、テーブル席に2人のお客さんが座っている。ちなみにカウンター席のうち2人も外国人のお客さんだった。店員さんが外国人だから、外国人のお客さんが入ってきやすいのかなとか想像してしまった。



店員さんに案内されたカウンター席に腰かける。席の目の前にはQRコードが貼ってあり、注文はこれを使ってモバイルオーダーで受け付けるようだ。

QRコードの隣にはメニューが並んでおり、メニューをよく見るとかなりの数の餃子メニューがあることが分かった。しかもそのメニュー名も独特で、白龍餃子や黒龍餃子、レッドドラゴンなどなんだかよく分からないけどモンハンみたいなカッコいい名前の餃子メニューが多く並んでいた。また、クアトロきのこ餃子やニラ玉餃子(肉なし)といった他の餃子屋さんではまあ見かけないであろう餃子もあるらしい。餃子好きにとってはこの時点でかなりワクワクするシチュエーションであるが、これだけ餃子の種類が多いと何を頼めば良いか迷ってしまう。餃子メニューの迷路に迷い込んでしまった僕だったが、その迷路の中からそんな迷える餃子ラヴァーのためといっても過言ではないメニューを発見した。

それが「5大餃子ランチ」というメニュー。このお店の「5大餃子」と言える、5種類の餃子を1つずつ食べられてかつご飯やスープ、一品料理まで付いたお得なセットメニューだ。せっかくなので色々な種類の餃子を食べたい僕はこのセットを注文することにした。ついでに、定食のご飯をプラス100円でルーロー飯か鶏肉飯に変更できるとのことなので、鶏肉飯に変更することにした。モバイルオーダーの操作はまったく難しくなかった。

メニュー

待っている間、カウンターの壁に貼られた貼り紙を見ていた。このお店のカウンターにはQRコードとメニューの他に、餃子の食べ方について記載された貼り紙が貼ってある。それを見ると、このお店の餃子の賞味期限は15分だということが書かれていた。賞味期限が15分の料理なんて、未だかつて聞いたことがない気がする。たった15分というのは料理の常識では考えられないような短さな気がするが、よくよく考えてみたらどんな料理であれ完成から15分も経てば大抵ちょっと冷めてしまう気がする。つまり完成から15分経った後の料理は一番美味しい瞬間を過ぎてしまっているのだ。だから「一番美味しい瞬間」を食べる期限がその料理の賞味期限だと考えれば、このお店が提示している15分というのはどの料理においても妥当な時間な気がする。それに僕がもし料理人の立場だったら、自分が丹精込めて作った料理の前でお客さんがおしゃべりに夢中で15分以上も全然食べ進めなかったらちょっと悲しい気がするし、料理人の立場じゃないにしても、例えば行列のできるお店でお客さんがおしゃべりやスマホに夢中で全然料理を食べ進めないような状態が15分以上続いていたら、正直他のお店行ってくれないかな、とか思ってしまう。

餃子をおいしく食べるコツ

貼り紙を見てそんなことを考えていたら、黒人の店員さんが僕のもとにスープを運んできた。

溶き卵が入ったよくある鶏ガラスープだ。こういう鶏ガラスープって結構さっぱりとした味で出すお店が多い気がするが、このお店のスープは結構味が濃かった。ガツンと油のパンチを感じるスープだった。美味しいからいいけど。卓上のお酢を少しかけたらさっぱりする味になった。

鶏ガラスープ

続いてやって来た冷奴も美味しい。

冷奴

そしてそれから5分ぐらい経った頃だろうか、本日のメインである5大餃子が僕のもとに運ばれてきた。

四角い皿の上に5つのカラフルな餃子たちが雑多に乗せられている。どれも見たことがない見た目の餃子で、この皿1枚がまさに個性的な餃子のパラダイスを表しているといっても過言ではなさそうだ。この5つはそれぞれ白龍餃子(豚肉)、青龍餃子(ニラ)、黒龍餃子(ニンニク)、赤龍餃子(辛)、セロリ餃子らしい。セロリ餃子だけかっこいい名前が思いつかなかったのだろうか。先ほど言ったとおりこれらの餃子の賞味期限は15分。モタモタしている暇はない。

5大餃子

まずは一番左にあった緑色の餃子に箸を伸ばした。箸が滑ってなかなか掴むのが難しい。そのため掴む時に多少力を入れたら持ち上げる時に肉汁が結構溢れてしまった。ああもったいない。最初に食べたこの餃子がたぶん青龍餃子(ニラ餃子)なんだと思う。後述するがこれとセロリ餃子の違いがよくわからなかった。

食べてみると皮は分厚くてモッチモチ。見た目以上に皮が厚かった。そして中のタネからは香辛料の味が結構する。たしかに、ラー油はそんなに付けなくても餃子自体の味だけで十分美味しいな。最初の一個で、ここの餃子はクオリティが高いことを確信した。この時最初に食べた餃子のピン写真は撮り忘れた。


次にキムチのようにやや赤く染まった赤龍餃子に手を出す。読み方はレッドドラゴン餃子だ。かっけぇ。食べてみるとたしかにピリッと辛い。ラー油の辛さではなく、餃子そのものから舌を刺激する辛味を感じる。めちゃくちゃ辛いわけではない。ほんの少しピリッとする感じがするだけだ。辛党の僕としてはもう少しガツンとした辛さを期待してしまっていたが、単純に餃子が美味しいので不満はなかった。

赤龍(レッドドラゴン)餃子

続いていただいたのは白龍(豚肉餃子)。おそらくこれが一番スタンダードな餃子なのだろう。こちらも皮がモチモチで中から肉汁がたっぷり出てくる。美味い。最初に食べた餃子よりもたしかに肉感が強い感じはする。スタンダードも美味いじゃないか。

白龍餃子

そして黒龍という名前の雨雲みたいな色の餃子はニンニクベースの味付けらしい。食べてみると、そこまでニンニクの味は感じなかった気がする。きっと本当は他の餃子に比べたらニンニクが強めに入れてあるのだろう。しかし他の餃子からもニンニク感をあまり感じなかったため、基本的にここの餃子はニンニクが弱めなのかもしれない。まあ美味しいから良いんだけれども。

黒龍(ニンニク)餃子

最後に食べたのは、たぶんセロリ餃子。青龍(ニラ餃子)とセロリ餃子は見た目がそっくりなのでどっちかわからない。加えて食べてみるとセロリ感は全然分からなかった。僕にとってセロリはあまり得意ではない食材の一つであるため、セロリが入っているならもっと敏感にセロリを感じてしまうものだと思っていたが、正直セロリの風味は分からない。もしかしたら最初に食べた方がセロリ餃子だったのだろうか。それとも、タネではなく皮にセロリが含まれている、ということなのだろうか。まあ結局のところこれも美味しい。

たぶんセロリ餃子。

定食のご飯をプラス100円して鶏肉飯はまず運ばれてきたときにパクチーが乗っていたことにすぐに気づいた。僕はパクチーが大の苦手だ。匂いを嗅ぐだけでも不快だし、口にしたら体調が悪くなってしまうほどパクチーが嫌いだ。だから鶏肉飯にパクチーが乗っていることを確認した僕はすぐに店員さんにパクチーを抜いてもらうよう、お願いした。店員さんは優しく、嫌な顔一つせずにパクチーを抜いた鶏肉飯を持って来てくれた。申し訳ない。この鶏肉飯はご飯の上に蒸したさっぱりとした味付けの鶏肉が乗っており、パンチのある味の餃子によく合う相棒になっている。美味しい。卓上のラー油をこの鶏肉飯にかけて食べても美味しかった。

鶏肉飯(パクチー抜き)

また、定食には餃子とは別に一品料理がついてくる。店員さんに「これはなんですか?」と聞いてみたところ

「一品料理です」

としか言われなかったのでこの料理がなんなのかは分からなかった。ナスやネギが入ったご飯が進む系の味で美味しかった。

セットについてきた一品料理。

食べている途中は後ろのテーブル席に座っている若い女性2人組の会話がよく耳に入った。彼女たちはすでに食事を終えたようだが、会話が止まらないようでまだまだお店を出る様子はなさそうだった。2人は空になった皿たちを目の前に、

「私佐藤栞里とか弘中アナとか、絶対性格悪いと思うから好きじゃないんだよね~」
「うん、わかる~」

といった会話をしていた。僕は餃子を食べながらその会話を聞いて、一体お前たちに芸能人の何が分かるっていうんだよ。大体餃子屋でもう食べ終わってるにもかかわらず周りにも聞こえるような声で芸能人の悪口を話しているお前らのその性格こそどうなんだよ、なんてことを思ってしまった。彼女たちは結局僕が食べ終わった後もおしゃべりを続けており、お店を出ていきそうな様子はなかった。この様子を見る限り、2人はきっと15分以内に餃子は食べなかったに違いない。餃子を作った店員さんがちょっとかわいそうな気がした。あとこんなヤツらに悪口を言われている佐藤栞里と弘中アナにも同情した。


そんなことを考えながら食べ進めるうち、僕は15分以内に完食した。本当、全部美味しかった。たしかにここが名店と言われる理由がわかるクオリティだった。


大満足な気分で会計を終えてお店を出た。このお店の餃子はやはりニンニクがあまり効いていなかったのか、お店を出てしばらくした後も口の中にニンニク感が残る感じはあまりしなかった。

職場に戻った後は、一応申し訳程度にミンティアは食べておいた。餃子の後のミンティアは美味いから食べてやっても良いと思っている。しかし結局のところ僕は昼に何を食べようと、周りの人からの目線を気にしなくていいような暮らしがしたいと思っている。そのためにまずはフルリモートの仕事に移って、これでもかというほどニンニクが効いた餃子を食べた後に家で一人でくっせぇオナラをしながら仕事をしていたい。

職場に縛られない生活の魅力を思い出してくれたのは、一皿の餃子だった。



今回行ったお店


PAIRON 飯田橋本店●住所: 東京都新宿区新小川町8-32
●アクセス: 飯田橋駅から徒歩10分
●営業時間:
月曜日〜金曜日
11:30〜15:00 / 17:00〜23:00(L.O22:30)
土曜日
12:00〜23:00(L.O22:30)
日曜日、祝日
12:00〜21:00
●定休日: 不定休
●支払い方法: 現金、クレカ、QRなど
●駐車場:なし


頼んだメニュー


●五大餃子ランチ ¥1000
●鶏肉飯に変更 ¥100

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