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ニュー新橋ビルの地下にはサラリーマンのオアシスがあった【喫茶フジ @新橋】

ニュー新橋ビル。飲食店を多く抱え込む新橋を代表するビルであり、SL広場を行き交うサラリーマンの胃袋を支え続けるビルと言っても過言ではない。

そんなニュー新橋ビルの地下一階に、1971年にオープンしてから変わらずビジネスパーソン達の憩いの場となっている喫茶店がある。お店の名前は「喫茶 フジ」。名前からも昔ながら感が湧き出ているこのお店の名物はなんといってもホットケーキ。ホットケーキが名物の老舗喫茶というだけでレトロ好きにはたまらない要素が詰まっている。

新橋駅で降りてSL広場に出る。コートを着たサラリーマンが多く行き交っている。やはり新橋といえばサラリーマンの町という印象が昔から強い。そしてそのSL広場を左に曲がると見えてくるのがニュー新橋ビル。本当に新橋駅のすぐそばにあるビルだ。

ビルの中に入ると途端に左右に立ち並ぶ飲食店。新橋のサラリーマンたちはこのビルに通い続けるだけでも一生飽きなそうなほどランチの選択肢が多いということだ。そしてニュー新橋ビルは東京のど真ん中にあるような建物にもかかわらずその内装は時代の流れに逆行するかのような古めかしさを保っている。このニュー新橋ビルがいつか改装されてショッピングモールのような内装になってしまったらそれはそれでがっかりしそうだ。そんな景色を眺めながら階段を下って地下一階へと下る。

地下に下るとすぐに目当てのお店の場所が分かるかと思ったが、地下に行っても飲食店の数が多く、なかなか目当ての喫茶店を見つけられなかった。喫茶店を探して地下で彷徨っていた僕はきっと新橋の空気に馴染めていないのがもろ分かりするような歩き方をしていただろう。そうして2〜3分地下を彷徨い、ようやく目当ての喫茶店を見つけることができた。大きなスモークガラスが立ち並び、入り口そばにはナポリタンやホットドッグ、カラフルなフロートなどの食品サンプルが並んだしょーケースが置かれている。お店の見た目はあまりにも景色に馴染み過ぎており、昔からずっとお店がこの場所にあるというのがよく伝わってくる。こういうお店はこれから先の日本では希少な存在になっていくのかもしれない。

お店の外観

店内に入ると、なんと席は満席。どこにも座れる席がない。店内を見回すと席は全部ソファ席であり、それぞれの席では昼休みであろうサラリーマンが新聞を読んでいたり商談のような会話をしたりしている光景が目に入った。一目見て、最近流行りのインスタ映えするような若い女性客がおしゃべりするために集まるようなカフェとは違うということがすぐに分かった。またこのお店は喫煙可能のお店のようで、ガラスを隔ててちゃんと分煙できるようスペースが用意されており、ガラスの向こうではタバコ民のオアシスができあがっていた。

席が満席だということが分かったので、お店の入り口近くで席が空くまでしばらく待つことにした。ほどなくして席が1席空き、僕も席に座ることができた。席のソファの座り心地の柔らかさはそのソファの年季を感じさせるものだった。テーブルの向こうの壁では大きな富士山の写真が光っており、店名の「フジ」という言葉を思い出させる。

メニューを眺める。といっても僕はもうここでホットケーキを頼むと決めている。店員さんが席に来たタイミングですぐにホットケーキを注文した。注文するときに驚いたのは、ホットケーキはコーヒーもセットで付いてくるということ。そして値段は800円。このご時世に東京でコーヒーとホットケーキを食べて800円しか払わなくてよいのか。老舗喫茶店のメニューに驚きながら注文を済ませた。待っている間、タバコの香りはまったく感じない。タバコを吸わない人にとってもここは都会のオアシスであることが分かった。

注文してから5分ほど待っていると、僕のもとにホットケーキが運ばれて来た。ホットケーキだから時間がかかるかと思っていたが5分くらいで出て来たのは意外だった。店名にちなんでかホットケーキには富士山をモチーフにしているであろう可愛い刻印が刻まれている。サイズはそこまで大きいものではなく、食後のデザートには多すぎないとてもちょうど良いサイズだ。

そのホットケーキは生地がふわふわ。昔懐かしい美味しさだ。シロップとバターを塗ったら尚更レトロ感が増す。ホットケーキ自体の甘さは控えめでバクバク食べ進められてしまう。大人ならコーヒーと一緒にもうちょっとゆっくりと食べればいいものを。だって美味しいんだもの。

ホットケーキ

これがコーヒーとセットで800円で食べられるなんて今時の東京においてまさにオアシスと呼ぶに本当に相応しいお店な気がする。ガラスの向こうの喫煙席のサラリーマン達を見ると、尚更そう思えてくるような気がした。コーヒーは結構濃いめでミルクを入れると苦味の強さがちょうどよく抑えられて飲みやすかった。


コーヒー

そして老舗喫茶店では珍しく、フリーWi-fiが完備されておりさらにはコンセントがある席もある。こんな雰囲気の良い場所でちょっとした作業もできるのか。驚きだ。他の席に座っているサラリーマンたちがなかなかお店から出て行かないのにも納得がいく。そんな環境だからこそ結構ゆっくりしていきたい気分ではあったが、僕には次の予定があったためそんなにゆっくりはしていられなかった。入店してから20分ぐらいで会計をしてお店を出た。


僕はタバコは吸わないけど、タバコが吸えるお店というのはある程度残っていても良い気がする。タバコが吸える昔ながらの喫茶店の存在というのも、ある種日本の文化の一つな気がする。時代の流れ的には禁煙のお店がどんどん増えてきているけど、このお店のようにタバコを吸う人も吸わない人も同じ空間で気持ちよくなれるような、そんなお店はこれから先も少しだけでいいから残っていてほしいと思う。


今回行ったお店


喫茶フジ

●住所:東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル B1F
●アクセス:新橋駅烏森口から徒歩1分
●営業時間:
 [月~金]:10:00~19:00(L.O.18:30)
 [土]:10:00~18:00(L.O.17:30)
●定休日:日曜・祝日
●支払い方法:現金、クレカ、QRなど
●駐車場:あり(ニュー新橋ビルのP)


頼んだメニュー


●窯焼きホットケーキ ¥800
 コーヒー付き

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