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光に堕ちた涙 -もしくは運命に踊らされた悲しみの系譜

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私の回顧録。 不定期で更新。
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2020年7月の記事一覧

第十六章 醜いアリは美女の残り香で"餌"を探す

第十六章 醜いアリは美女の残り香で"餌"を探す

見たことのないホステス、金持ち、従業員。
その誰もが義務教育はおろか、人としての尊厳を捨てたと言っていいほどの狂気に包まれていました。

店内のグラスがほぼ使われていたので、私はアライグマのようにせっせと目の前のグラスを洗っていました。

そこにやってきたのは付き人の男性(ほぼ黒人)。
「兄ちゃん、なんか飲みもんくれや。」
ここをスポーツバーと勘違いしているのでしょうか。
ちゃんと席につき、席ごと

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第十五章 貧乏人は二度死ぬ

第十五章 貧乏人は二度死ぬ

仮装した男たち。
耳障りな猫撫で声を発しながらシャンペンを飲むホステス。
トイレットペーパーのように金を使う成金。
困惑した表情の貧困大学生。

大阪カースト制度の模範解答がそこにありました。

私は震えた手つきでグラスを口に運び、宴の行く末を見守っていました。

金ピカに光るミラーボールがステージ上を卑猥にチカチカと照らします。
もくもくと焚かれたスモークからバニーガールの男たちが登場。
一斉に

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第十四章 泣いてない。いつもより炭酸が強いだけ。

第十四章 泣いてない。いつもより炭酸が強いだけ。

扉が開く音と同時に現れたのは"お金の愛人"社長Aさん。
強欲、支配、権力が融合し、服を着て歩いているような男性。
迎えにいった戦士たちも後に続きます。
その顔は、ミッドウェーに向かう兵士の"それ"でした

その後に雪崩れ込むキャバ嬢たち。

全員食べても歯応えすらなさそうなガリガリな腕、竹ぼうきのようなマツエク、大きく盛られた髪の毛は孔雀が求愛する時のようになっていました。

その後ろをついてきた

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第十三章 ホンマもんは、美女の匂いを嗅ぎながらティッシュ片手に米二合を喰らう

第十三章 ホンマもんは、美女の匂いを嗅ぎながらティッシュ片手に米二合を喰らう

兵隊の一員となった私。
心の自分が慟哭していました。
しかし、あくまでこの状況を楽しんでいるかのように振る舞わないといけません
(※慟哭とは声を出して激しく泣くこと)

ハイパーVIP来店イベントの警戒レベルは西日本豪雨以上。

"命を守るための最善の行動をとってください"と私の脳は全神経へと通達。

"今すぐに武器を持ち、戦いの準備をして下さい。目の前の戦いから逃げないで"と社畜メンタルは真反対

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第十二章 北新地 金と女としばしば社畜

第十二章 北新地 金と女としばしば社畜

大学と北新地を往復する生活を始めて約半年。
たばこはエコーからハイライトに変わったと言うのに私の心は半年前よりもっと荒んでいました。

"プロ"との初出勤、Jさんのバースデー、グラスと心が割れたあの日、そして若者の憤死。

それ以外にもクソ女に投げられたタバコの空き箱、頭からかけられたシャンパン、罵詈雑言とクレーム。
その一つ一つが、私の心を確実に痛めつけました。

二十余年前、大阪に爆誕した私。

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