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カルマの行方

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サラリーマン丸井和彦は平和な街"高槻市"に億劫としていた。 その丸井の前に現れた日雇い労働者宇賀はある仕事を持ちかける。                          ➖「あ…
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#ハイボール

第八話 金玉取られたアントニオ

第八話 金玉取られたアントニオ

"サンクチュアリ"。看板にはそう書かれていた。
 三階の一番奥に小さな看板を掲げた店だった。
入り口には大阪府知事広保貴之の選挙ポスターが貼られているが、黒のマジックで大きく"✖︎"と上から書かれていた。
 ソ連崩壊後の東欧を彷彿させる飲み屋。
 バイオレンスが何よりの表現技法である東大阪においてそれほど珍しい光景ではないが、"平和な街"高槻で暮らしている丸井にとっては、ハンマーで殴られたような衝

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第二話 タバコはフィルターまできっちりと

第二話 タバコはフィルターまできっちりと

タクシーが止まった。やっと目的地に着いた。精神と時の部屋かと思うほど、この1時間は長かった。
 宇賀が吐き出す吐息は2歳未満の子供ならショック死するほど臭い。
 タクシーの運転手はダッシュボードから取り出した有機溶剤作業者用の防毒マスクを装着している。
 「ここがワイの街や。震えるなぁ。ただいま、西成」
 大阪市西成区。度重なる暴動と薬物が蔓延する日本最大のスラム。酒、暴力、性が全てを支配する街。

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第一話 その男"丸井"につき

第一話 その男"丸井"につき

 背中で泣く男がいた。
 名は丸井和彦、職業会社員、牡馬、人生未勝利。
 今日もロボットのように無機質な仕事を淡々とこなし帰路についていた。
 月初の金曜日というのに、この高槻市に活気と呼べるものはなく、疲れ果てたサラリーマンの溜息が街全体を包み込んでいた。

 「大阪のスイス」 吹田市、高槻市など北摂地域を総じて人はこう呼ぶ。東大阪市の隔離政策、西成暴動などで治安悪化に悩んだ大阪府が、特別治安向

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