【短歌】 Strawberry moon ―苺月の夜― その壱
「月」
すれ違い
気づかないまま
歳を経て
ちがう場所で
月を見ていた
月満ちて
パズルのピース
合うように
ふたりは出会い
いまを生きてる
黒髪の
あなたの像は
うかばない
銀髪のきみ
この胸抱く
かたわらの
あなたの髪に
触れてみて
愛しさあふれ
指撫でおろす
見上げれば
今宵の月は
苺月
はじめて過ごす
満月のよる
あとがき
ある日、電車から見た月が、あまりに大きくて、美しかったので、創作上の男女を歌に詠みました。短歌で物語を表現するために、どうすればいいかを考えました。1首で場面を詠み、数首を束ねて、物語風に仕立ててみました。
黒澤明の「七人の侍」では、7人の侍の設定は、1人ノート1冊にも及んだそうです。1人づつ、どのような両親から生まれ、どのような環境で育ったかを詳細に書いたそうです。そしてシナリオを執筆したそうです。このエピソードが好きで、ドラマや映画を見るときに、よく思い出します。黒澤明監督には恐れ多いですが、今回の男女も、私なりに設定をつくってみようと思います。
なお私は「七人の侍」を見ていません。これは、脚本家の先生から聞いたエピソードです。
大学院での2年間は、指導教授から、自分で書く文章を、ことごとく修正されて枠に押し込まれてきました。出来上がった原稿は私の文章とは思えませんでした。この反動がnotoで爆発しています。書きたいこと、エッセイもどき、ショートショート、短歌と自由気ままに書いています。いつかシナリオにも挑戦してみたいです。とにかくリハビリのつもりで、飽きるまで書きます。