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備忘録 「疲れる本」

 図書館は閉館中なので、インターネット予約で本を借りて読みます。実物を開いて選ばないので、いざ借りてみると、なんだか重苦しいタイトルが並んでいました。

歴史

高橋 年男 ・原 義和 (2018「消された精神障害者」:ドキュメンタリー映画「夜明け前のうた 消された沖縄の障害者」を検索していて見つけた本です。ドキュメンタリーの原案になった本です。

 あまりにも現代史を知らない私は、沖縄の歴史も知らないので、手に取りました。あまりに衝撃的で、読破するのに時間がかかりました。沖縄は戦後、米軍に統治されていたので、日本の医療、法律が及ばず、本土との時差が生まれたとは、考えてみたことがありませんでした。精神科看護学では、私的監置については、最初の授業で、サラッと勉強した程度でした。

社会学

 鈴木陽子(2020)「病者」になることとやめること―米軍統治下沖縄におけるハンセン病療養所をめぐる人々 」:社会学の本です。ハンセン病については看護の教科書で学んだぐらいの知識でした。離島での病者の生活は、私の想像をはるかに超えたものでした。無知でした。

 地道に研究調査を積み重ねて書かれた力作です。やはり学者になる人は、違うなぁと思いました。それにしても読み進めることができません。時々飛ばし読みをしますが、読みたい部分出会っても、数行ずつしか読めないのです。

 内容もボリュームの濃度も、重力級のパンチ力なので、噛み締めて読む体力がありませんでした。博士課程で研究する人の格の違いを感じました。何度も沈没、脱落しそうになりながら、とりあえず最後のページに辿り着きました。

看護学

  村岡潔・山本克司編著「医療・看護に携わる人のための人権・倫理読本」:学生時代に学んだ時より、倫理的なテーマが格段に増えていました。当時はインフォームド・コンセントの出始めの時代で、脳死問題などを考えた記憶があります。

 25年近く過ぎると、尊厳死、生殖医療、移植、個人情報、認知症・・・多種多様の項目が増えていて、急激な時代の移り変わりを、ひしひしと感じました。こんな世の中だからこそ、倫理や哲学についてじっくりと議論していく必要があると思うのですが、国家試験には関係ない科目なのでね。深めるのは難しいだろうな。

マンガ

 よしながふみ「きのう何食べた?18巻」。不要不急の用事があり、久しぶりに都会に行きました。帰りの本屋で見つけた最新刊です。作中にも、うっすらとコロナウィルスの流行を感じられる箇所がありました。

 好きな人と一緒に食べるご飯は「生きること」そのものだと感じました。「食」と「生」のテーマは、若い時には興味が湧きませんでしたが、50歳を超えてから興味が向いてきました。この作品で描かれる日常は、愛しく、居心地の良い作品であります。

 私は表紙カバーを外して本を読むことがありますが、恐ろしいほどの紙が薄くペラペラになっていました。なんだか貧乏くさく寂しい変化でした。それにしても、ヘビーな内容の本の後に読むと、心が安らぎました。

 それにしても、今年発売された、よしながふみの「大奥」の最終巻を未だに読んでいませんし。毎年恒例の発売日に購入していた、西原理恵子の「ダーリンは75歳」も読んでいません。現在もコロナウィルスは私の読書生活を狂わせています。

チューニング

 文章の調律の意味を込めて、本棚の奥底で見つけた、愛読書である佐藤春夫「小説 智恵子抄」を読みます。もう読み返すのは何度目になるのでしょうか。智恵子の見ていた「本物の空」を想像しながら読みます。10代の頃からずっと、安達太良山の裾野に立ち、空を見上げようと願う私がいます。いつか必ず、見に行きたいです。

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