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変革をします。

2024年度から株式会社LegalOn TechnologiesでChief Design Officer(CDO)の任務を拝命した矢野です。
2021年の11月に契約書をクラウドストレージで自動的に管理する「LegalForce キャビネ」の開発チームにデザインリードとして参加してから現在約2年目となります。主に現場でUI設計を手掛けつつ、1年目からは平行してデザインチームのマネジメントを手がけてきました。
割と現場よりの人間だった私が経営という責任を担うことになったわけですが、自分がこれからやることをこのタイミングでまとめて粛々と執行する準備をしたいと思い立ちました。どうぞお付き合いください。
この記事が、将来的にCDOになってみたかったり興味があるかたに対しても有益だとうれしいです。

変革の本質は「現状をより良い状況へ変化させる」こと

私のミッションは端的に言うと「変革すること」に尽きます。変革ってそもそもどういう意義があるのか、改めて整理してみます。以前と違う状態にすること。という印象はありますが変革の本質は「現状をより良い状況へ変化させる」ことです。
英語で言えば【Transformation】。生物の世界ですと昆虫が成長の過程で環境に適応できるように形態はおろか生態まで一変させる営みを意味します。
この変革について、CDOの業務範囲に適用するようにリスト化すると以下のようになります。

  1. 顧客体験を変革すること

  2. 顧客視点を取り入れた経営に変革すること

  3. デザイン組織を変革すること

です。 次に3つのリストがどのように関連しているのかについて説明します。
1番目の顧客体験の変革は最重要の業務です。プロダクトが顧客に提供する価値は体験の質に影響を受けます。大事ですね。
2番目の顧客視点を取り入れた経営に変革することは、顧客体験の変革を実現するための環境づくりと位置付けることができます。
さらに3番目のデザイン組織の変革は、顧客体験の変革の基盤となります。基盤の状態はデザイナーという人材の質に左右されます。デザイナーが継続して成長できるよう、組織を良い状態へ変化させる必要があるのです。
この3つが三位一体となることで価値あるプロダクト提供のチャンスが生まれるわけです。 が、ここからが問題です。これらのイシュー、実に粒度がでかい。アクションプランを立てるには1つ1つを細分化する必要がありそうです。

その前に、ここで物事をより良い状況へ変化させる(変革する)ための具体的なプロセスについて考えましょう。基本的には

  • 課題を特定する

  • 目標を設定する

  • 施策を実行する

この3つを循環的に行うのが改善のプロセスです。変革とか大きいことを言う割にめっちゃ単純で簡単そうです。

ところが、課題を特定するための手段を間違えたり、設定した目標の種類が欲しい結果とマッチしていなかったり、不適切な目的のもとで施策を実行してしまい、やることをやっていても顧客体験は一向に改善しない。ということはよくあります。

3つのリストそれぞれについて、もう少しアクションプランが見える程度に細分化して整理してみましょう。

変革のためのアクションプランの骨子

顧客体験を変革するための3つのアクション

  1. 製品認知から製品の利用更新までの道筋を整理する。

  2. 道筋の中で顧客が達成したいことを把握する。

  3. それぞれのステージごとに施策を整理して施策ごとに測定可能な改善指標を設定する。

デザイナー的ステージごとの施策の整理の例。いわゆるカスタマージャーニーマップ。ステップを俯瞰することは誰もがやっていることですが、ここからどのように施策を仕上げるかがプロの腕の見せ所ですね!

顧客体験はSaaSの場合だいたい5つ程度のステージに沿って時間の流れとともに積み上がっていきます。製品そのものの体験以外も顧客にとっては体験です。このステージごとに、課題を特定、目標を設定、施策を実行して改善を回します。

顧客視点を取り入れた経営にするための3つのアクション

  1. 顧客の関心ごとを時間、品質、パフォーマンスに分類する

  2. 分類ごとに測定可能な目標を設定する

  3. 顧客側の結果として望ましい状態を目標として設定し、経営判断に用いる

目標設定が特に重要なので、具体例を出して説明します。

顧客の時間に関する目標の例
「顧客が製品を購入してからオンボーディングにかかる期間を短縮する。」

顧客が求める品質に関する目標の例
「顧客の操作ミス率を減らす。」

顧客のパフォーマンスに関する目標の例
「顧客が改善に成功した業務プロセスの状態を把握し、より改善する。」

単純ですが、このように「お客さんにとってよかったこと」「お客さんの利益」を事業自体のKPIにすることが顧客視点を経営に取り入れるということになります。その視点をもとに、課題を特定、目標を設定、施策を実行して改善を回します。

お客様に価値を提供して市場で1位になる!という目標は典型的な企業ステイトメントですよね。で、あれば、顧客視点で企業がどう業績を上げるか?が執行役員の関心ごとになるのは当然のことでしょう。
ただ、管理職がこのような典型的なミッションから、お客様にとって本当に重要な要素を反映する具体的な尺度に変換することは、ちょっとコツがいります。が、このように顧客の気持ちになって顧客の関心ごとを分類し、よく考えを巡らすだけで、変革がちょっとやりやすくなると思いませんか?

デザイン組織を変革する3つのアクション

  1. 採用基準を明確化する

  2. 人材教育方針を作る

  3. 評価のプロセスを明確化する

このパートはやや説明が長くなりそうなので今回は細分化するだけにとどめますが、継続して学び、成長できる環境こそが優秀な人材にとってイノベーションの武器になることは誰もが納得するところだと思います!そのうち別途記事にしたいです。
これらのアクションについても、定期的に課題を特定、目標を設定、施策を実行して改善を回します。

デザインの力で事業を推進しよう!

以上がCDOに求められるミッションの一部の説明でした。
いかがでしょうか?整理してみると、デザインのミッションなわりにあまりエモくないといいますか、もっと成果物よりの話を含めると良かったのですが、今回はデザインの領域で経営に関連が強い範囲で整理をした結果エモさの表現に課題が残りましたね。それに範囲の整理ならAIでもやってくれそうです・・。推進力でならAIに勝てるでしょうか。とにかく明るく楽しくやっていこうと思います。

また、これら「変革」の実現に際しては1つのKGIを形成する関連KPIが他部門にまたがって設定され得る場合もあるので、どうしても「リーダーシップ」というスキルを重くみられることになります。そこが現場デザイナーにとってCDOという職務をちょっと重めに見せてしまう部分ではありますが、私としてはデザイナーが管理職となって顧客視点を経営指標に取り込む企業がたくさん増えると世の中楽しくなるだろうな〜ウフフ。と考えたりしています。これには明確な理由があります。
人間が何をきっかけに行動をおこすかというと「法」と言いたいところではありますが、じつは「気分」です。
その「気分」に大きく作用するものが「デザイン」なのです。デザイナーは買っていただいたり、活用していただいたり、知っていただいたり、興味を持っていただいたりという行動をデザインという手段でドライブさせられる能力を持っています。この能力こそが、事業の推進力になると私は信じています。

最後に、変革の示す意味はわかったがなぜ企業に変革が必要か?について整理します。まさに蝶やカブトムシ同様、人間も、特にビジネスの世界においては市場環境の変化(ルールの変化や価値観の変化などなど・・)に適応するためにその形態、生態をも変化させる必要があります。人間として個体は一代でそう簡単に変質しないですが、組織であれば意識して感知すれば、昨日うまくいっていたことが、今日うまくいかない・・ということに気づくことができるはずです。センサリングして、気付いて、変わる。企業が環境に適応して生きながらえるために変革が必要なのだと思います。

これからも、CDOの仕事がわかるような情報を共有していきます!
デザインの力で事業を推進する人が増えますように!

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