【#1】効果的なアンケートの作り方・集め方についての考察
コミュニティにおいて、メンバーの希望や満足度を収集するひとつの方法として「アンケート」があります。(コミュニティに限らずあらゆるサービスに言えることですが)
ただ、意外とそのアンケートが雑に作られていてあまり意味をなしていなかったり、逆に詳細に作りすぎて回答する気分を阻害していたり、「適切なアンケート」を作成・提供しているケースは少ないです。
今回はどういう検討をすればより良いアンケートが作れるかを事例を挙げたりしながら紹介していきます。
①アンケートを取る目的は?
アンケートを取る目的って何でしょうか?当然ですが、それは何に対するアンケートかで目的は変わってきます。
今回はコミュニティによくある「イベント後のアンケート」に絞って考えてみましょう。
イベントに対する事後アンケートにおいて目的となるのは、主に「効果測定」「改善材料の収集」でしょう。
僕の体験からするとこの二つのうち効果測定に比重を高くおいているアンケートが多いと感じます。
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でも、正しくいえば「効果測定」というのは測定することで現状把握をしたり何かを考察したりするわけで、あくまでそれは「手段」ということになりますね。
現状把握にせよ改善材料収集にせよ、基本的には何かしら把握・考察的な目的があって、手段としてアンケートを用いると言えます。(何のために把握・考察するのか?とか更に考えていくこともできますが、果てしないので一旦やめておきます)
そうであれば、「どんな把握・考察がしたくて、そのためにどんな情報が欲しいか」を考えながらアンケートを作成していけば方向性は間違わなさそうですね。
②質・量は適切?
僕の経験上、質と量が適切に思えないアンケートを多く見てきました。「これは良いアンケートだな」と感じることは非常に稀です。(オンラインサロン「議論メシ」の黒田さんが作るアンケートは感銘を受けました)
イベントではないのですが、最近「これはヤバいな(悪い意味で)」と思ったのがガストのアンケートです。
タッチパネルで注文してしばらく過ごした後にアンケートへの協力を依頼するボタンが出てくるタイプで、近所のガストを利用したときに試しに回答したのですが、回答を終えたときにはガストに軽く腹が立っていました。(回答前は食事に満足してガストに好感を持っていたのに)
というのも、アホみたいに細かく聞いてきて回答量がめちゃくちゃ多いんですよ。こちらは「ちょっと協力してあげようかな」くらいに思っていただけなのに、延々と質問が飛んできて。
最初からその期待値だったら良いんですが、ネコ型配膳ロボットのエルモのイラストが「アンケートに協力してね!」みたいにデザインされたアンケートからは僕は「軽いアンケートだろうな」と期待値を設定していました。
うろ覚えですが確か進捗状況も確認出来ないデザインだったので、ほんとにいつ終わんねんという感じで。
これはほんと記憶に残る最悪のアンケートでした。
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そんな例があるように、どれくらいの量にするかはきちんと検討しなければいけません。最悪でも多すぎるよりは少ない方が良いでしょう。(不快に思われないために)
もし項目数が多いなら最初からボリュームを提示したり、予想回答時間を提示して期待値を調整するのも大事でしょう。
もし長時間の回答になる場合、例えばガストだったらサービス券・割引券を発行するとか、労力に見合った対価を差し出すというのもひとつの手段だと思います。
量にしても質にしても、自分が回答者の身になって想像するのがとても大事ですよね。(あるいは誰かに回答者役になってもらってヒアリングするとか)
さて、量の話はこれくらいにして、質の話を少し。
先述のように無駄に長いアンケートにならないように、質問項目は必要最低限にすることが大事です。(あるいは、「できれば聞きたい程度の質問」は任意回答項目にするとか)
例えばイベントにおいて、仮にあなたが主催者だったら何を知りたいでしょう?参加してくれた方が楽しんでくれたか、また来たいと思ってくれているか、どういうところが良かったかなど色々と知りたくはなるでしょう。
じゃあそんな風に思ったからといって以下のアンケートを作ったとします。(結構ありがちなパターン)
僕はこれ、あんまり良い質問項目ではないと思うんです。というのは、①③に関していえば結構性質が似ているんですよね。(もちろん違いはありますが)
イベントに満足してくれたら基本的にはまた参加したいと思うだろうし、友だちにも勧めてくれたりとかする可能性につながるわけで。その逆も然りですよね。
なので僕だったら質問数を減らすためにこういう質問は統合してしまいます。(とか言いつつ僕は点数付けは基本的にはしないタイプですが)
で、次に「良かったとこはどこ?」という質問ですが、「良かったところあったでしょ」っていうのが前提になっちゃってるんですよね。
そうなると、回答者さんによっては「しいて挙げればここかな」程度のものを書いたりもするわけですよね。(書てくれるだけありがたいのですが)
でもそれだと、どの温度感で良いと感じたのかっていうのがいまいちわからなくなるじゃないですか。
それを回避するには、「良かった点や気になった点があれば教えてください」みたいな任意回答の質問にするのがベターだと僕は考えます。
任意回答の質問にしたことで、「特になければ書かなくて良いよ」ということを表明しているので、まず無理やりひねり出す確率は下げられます。で、ネガ・ポジどっちでも回答していいよとすることで更に「良い部分を書かなきゃだめ」という必須感も下げられます。
あとはまぁ、どっちかっていうと良かった部分より至らなかった部分も拾えた方が次につながるという意味では大きいよねっていうのもあるんですが、長くなっちゃうのでこれくらいでやめておきます。
まぁこんなことを考えながら、アンケートも回答者の身になって推敲してみましょうってことです。で、収集してみて「意図した回答の量・質が得られたか」を評価して、また改善してみてっていうのをどんどん試していくのがいいと思います。
③アンケートを依頼するタイミングは適切?
アンケートにおいて最も難しいなと感じるのは「依頼するタイミング」です。いつどういう風に依頼すればより多くの人が丁寧に回答してくれるか、というのはまだ僕の中でも必勝法が見つかっていません。
回答率を上げるには、イベントのクローズ前の依頼が良いでしょう。僕の経験的にも一日でも日をまたぐと回答率はグッと下がりますし、イベントを終えてから依頼メールを送ってもいまいちだったりします。
中にはイベント最中に回答時間を設けるイベントなんかもありますが、それによって回答率は上げられますが、丁寧さは下がってしまう可能性があります。(丁寧に回答するだけの時間を設けていたらイベント自体冗長になってしまいますし)
理想的には、イベントを終えた時にはアンケートフォームが参加者の手元にあって、積極的に回答に協力してもらいたい。
そこを目標にあれこれと施策を打ってみるのが良いでしょう。
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例えば僕の経験で言えば、メッセージを送れる相手であれば「参加者にイベント参加のお礼メールを送りつつアンケートの回答を依頼をする」という方法が割と有効だったりします。(テンプレ的に送らずに、個別感のある文言を入れる方がベター)
他には先にも挙げましたが、何らかの対価を提供するという方法とかですかね。(次のイベント優先購入権とか割引券とかだとリピーター獲得にもつながるのかな?)
④結果からどう考察する?
さて、結局のところアンケートはこれに尽きます。『どう考察するのか』。(あ、エビデンスが欲しい場合もあるか。そういう場合を除く)
せっかく良い情報を収集しても、そこからきちんと分析して新たな仮説や改善案を出せないと、質の変わらないアウトプットになってしまいます。
考察するノウハウとかは、なんかわかんないですがマーケティングの本とかに書いてありそうなのでそちらで勉強してみてください。
とにかくちゃんと考察して次にトライして検証することを繰り返すことで、人はちょっとずつ学習していきます。徐々に考察力も高まるし、検証するときの実験もイメージ通りに進行できるようになっていくでしょう。超地道ですが、そのステップをめんどくさがらないようにしたいですね。
その過程で陥りがちなのは「自分は考察力あるから」と過信してしまうこと。他人の見解を聞かなくなっちゃったりするのは自分の柔軟性を狭めるので、できればフラットに考察を語り合える仲間・相手がいるといいですね。
おわりに
さて、書いていたら想定より長くなっちゃいましたが、でも要はアンケート一つ取ってもこれだけ検討することがあるよ(しかもこれはその一端でしかない)ということです。
雑にやればそれでも形にはなりますが、わかる人には見透かされて見放されてしまいます。そうなるとそこに集まる人の質も雑なものになっていきます。
良い集まりにして良い循環の生まれる未来を作っていくためにも、一つ一つを丁寧に取り組んでいきたいですね。
(おわり)